45 弱きを助け強気を挫く!スマイルブルー誕生!!!
1か月ぶりですか・・・・すいませんでした!
ナイトメアと名乗った男は、青瀬るなにゆっくりと近づいた。
「え?あ、あの、誰ですか?」
突然、見知らぬ男が近づいてきたことに青瀬は驚いた。だがそんなことはまるで気にしないと言わんばかりに、グイグイと男は近づいていき青瀬との距離、わずか5㎝くらいの距離まで近づいた。
「へえ・・・キミ、人間のクセに中々美しいね。少なくとも、あのナマケモノでノロマなジェンダーよりも圧倒的に価値があるね。」
ナイトメアは青瀬の質問には答えず、代わりに青瀬よりも身長が高いナイトメアは自分の顔を近づけて青瀬の顔を近くで見ると、美しく色気のある声で青瀬るなの美貌を褒めた。
「え・・・あ、ありがとう、ございます?」
自分が役者の練習をしていたことが他人に覗き見されてたことに慌てており、冷静な対応ができない状態にあった青瀬は、ナイトメアの言葉がよく理解できなかったが、なんとなく褒められてはいるのかなと思い、とりあえず感謝の言葉を述べた。
「フフ・・・そんなキミのマイナスエネルギーはとてもキレイなんだろうねえ。」
「!!!」
だが、次のナイトメアの一言に青瀬は背筋が凍りつくような感じがした。ナイトメアの言葉は理解できずとも、青瀬の体が「危険」だと直感した。自分の目の前にいる男は人智を超えた、とてつもなく恐ろしい「何か」なのだと。
しかし、青瀬は動けなかった、声をあげることもできなかった。それは恐怖からくるものでもあったが、それと同時に目の前にいる男の美しさに魅了されているのもあった。
そんな動けない彼女にナイトメアの手が彼女の顔に触れようと近づいてくる。
「ハァアアアアア!!」
だがナイトメアの手が青瀬の顔まで、あと数センチのところで女性の叫び声と共に常人離れした速さの拳がナイトメアに襲い掛かった。
「ん?誰だい?ボクの邪魔をする者は?」
ナイトメアの手は後一歩のところでギリギリ触れられることはなかったが、ナイトメアに襲い掛かった拳は華麗に避けられた。
「青瀬さん!大丈夫ですか?!」
「あなた・・・・・もしかして、夢見さん?」
突如として現れた奇妙な格好をしている女子に青瀬は理解が追いつかず固まってしまうが、どこかで見たことがある雰囲気に青瀬は直感的に目の前にいる少女が夢見きららだと見抜いた。
「あ、あの!えっとね?別に悪気があって青瀬さんを観察してたわけじゃなくてね?!えと・・その・・・・とにかく、ごめんなさい!!!」
「は、はぁ・・・・。」
夢見は青瀬の後をつけていたことを謝罪するが、当の本人はそれどころではなく、目の前の現状に思考が追いつかなくなっていた。
「ピンク!危ない!!」
「!!!、っ・・・・!」
ピンクと青瀬が会話をしていると、突然オレンジが叫び声をあげ、それを聞いたピンクはいつの間にかナイトメアが間合いを詰めていたことに気がつき、反射的にナイトメアの斬撃をギリギリで避けた。
「なるほど。凡人のような見た目をしているが、少しはできるようだね。あのバーラを何度も退けただけのことはある♪」
ナイトメアは自分の攻撃が避けられても顔色1つ変えず、むしろ余裕の笑みを見せる。
「あれは・・・・細長い剣?」
ピンクはナイトメアが手に持っている武器を見ると、それはフェンシングに出てきそうな針のような剣、「レイピア」だった。
「ピンク!大丈夫?!」
「アイツ・・・強そうだ、3人で一緒に戦った方がよさそうだ・・・!」
「イエロー!オレンジ!・・・うん、大丈夫。一緒にいこう!!」
オレンジ、イエローがピンクと合流し、スマイルハピネスは全員でナイトメアに立ち向かう姿勢を見せる。
「あの・・・あなたたちは?」
一方で事情を知らない青瀬は今の状況が分からず、どう反応していいのか分からなかった。
なので率直な疑問として、青瀬は目の前に現れたピンクと似ている格好をしているオレンジ色と黄色の髪が特徴的な少女たちに誰なのかを聞いた。
「あ、ゴメンね?悪気はなかったんだけど、つい気になって後をつけちゃって。」
「ご、ごめんなさい!で、でも、青瀬さん、すっごくかっこよかったです!」
青瀬に声をかけられ、オレンジは他人の秘密を覗き見してしまった罪悪感から申し訳なさそうに謝り、イエローも頭を下げて謝罪したが、すぐに顔を上げると青瀬に向かって憧れの眼差しを向ける。
「その話し方・・・赤羽さん?それと・・・・・日向さん?」
青瀬は話し方からオレンジの正体が赤羽りんかだと悟り、その隣にいるイエローは赤羽と仲がよさそうに話している日向さちだと推測した。
「アルクもいるキュよ!」
「え・・・えええ?!は、ハムスター?が、浮いてる・・・・。」
「ハムスターじゃないキュ、アルクだキュ!!」
「あ、アハハハハハ・・・・・・・。」
ようやく今の現状に慣れてきて落ち着きを取り戻した青瀬だったが、いつの間にか隣にいたアルクに話しかけられた。
すると青瀬は「常識」というものがたった今話しかけられた宙に浮いている未知の生物に破壊されたような気持ちになり、再度思考を停止させた。
「フゥン、3対1か・・・・・なら全力をだす必要はナイかな♪」
「!・・・余裕でいられるのも今のうちだよ・・!ハァアアアアア!!」
だが青瀬にとって人生最大の驚愕が起ころうとも、事態は急転していく。
ナイトメアは3人のスマイルハピネスに敵意を向けられても余裕の表情を見せ、それを見たオレンジは少しムキになるとナイトメアに攻撃を仕掛ける。
「イエロー!私たちも!!」
「うん!」
オレンジに続いてピンクとイエローもナイトメアに攻撃を仕掛けていく。
「ハァ、これだから人間は美しくないな。まるでイノシシみたいに突っ込んでくるだけで芸がない。」
だが3人から一斉に自分に向かって襲い掛かかられている状況にも関わらずナイトメアは少しの焦りもなく、それどころかスマイルハピネスを呆れた表情で審査するように見ていた。
「な?!誰がイノシシだーーーー!!」
ナイトメアの言葉に怒ったオレンジがドロップキックをナイトメアに向かって放つ。
「「やああああああああ!!」」
オレンジに続いてピンクとイエローもパンチをナイトメアに向かって放つ。
「ふう、やれやれ。」
「「「?!」」」
だがナイトメアが一言つぶやいた瞬間、スマイルハピネスにとって予想外のことが起こった。ナイトメアが3人の攻撃を避けたのだ。いや、ただ避けるだけなら3人は驚くことはなかった。
問題はナイトメアがスマイルハピネスの攻撃をゆっくりと避けたことだ。
素早く避けられたのなら納得ができる。だが、スマイルハピネスが全速力で攻撃を繰り出したのに対して、ナイトメアはヒラヒラと近づいてくるアゲハ蝶を避けるかのように十分な余裕をもったノロマなスピードで避けたのは、スマイルハピネスからすれば異常だったのだ。
「チョウのように舞い・・・・」
「「「ハァアアアアア!!!」」」
スマイルハピネスは3人で一斉にナイトメアに襲い掛かるが、ナイトメアはゆっくりと流れるような動きで避け続けていく姿に、3人はナイトメアが実体のない者に攻撃しているような不安感に駆られる。
「ハチのように刺す!!」
「「「?!、がぁアアアアア?!!!」」」
しかしスマイルハピネスの攻撃のラッシュが止んだ瞬間、ナイトメアが手に持っていたレイピアの先端でスマイルハピネスに反撃してきた。
しかもナイトメアは腕を伸ばしてレイピアを突き刺す、腕を曲げて力を溜める、また腕を伸ばしてレイピアを突き刺す、この一連の行動が尋常じゃないほど速いため、1本しかないはずのレイピアがナイトメアの圧倒的な速さで繰り出される残像のせいで、スマイルハピネスは10本くらいのレイピアが同時に襲い掛かってくるほどの錯覚を起こした。
「ああ!!」
「よ、避けてキュ~~~!!」
ナイトメアの反撃で吹き飛ばされたスマイルハピネスを見て、青瀬は絶句しアルクは不安な表情を見せる。
「フン、スマイルハピネスとはいえ、初戦は人間。ボクの敵じゃないな。」
「くっ・・・!」
「つ、強い・・!」
「ふえ~~~・・・。」
立ち上がれないスマイルハピネスをナイトメアは侮蔑の目で見下していた。
「こんな奴らにバーラは負けていたというのか?いや、彼女のマイナスエネルギー収穫は素晴らしい・・・つまり本気で彼女たちとは戦わずにマイナスエネルギーを集めることに集中しているということか?・・・・・まあいい、ここでボクがスマイルハピネスを倒せばいいだけのことだ♪」
「・・・っ!くっそ~!!!」
ナイトメアがスマイルハピネスにトドメを刺そうと近づいていくが、スマイルハピネスは誰1人として立ち上がれなかった。
スマイルハピネス万事休すかと思われた次の瞬間、
「こ、このアルクが相手になってやるキュ!!」
小さなぬいぐるみのサイズの見た目はハムスターに近い者が宙に浮き、全身が震えながらもスマイルハピネスを守れる位置でナイトメアの前に塞がった。
「なんだオマエ?」
ナイトメアはアルクに対して米粒ほどの興味もみせなかった。
「ぼ、ボクはアルク!クイーンミカエル様を守る立派な騎士だキュ!!」
「ミカエル?・・・ああ、キミがエンジェルランドの邪魔者か。」
だが「ミカエル」という単語を聞くとナイトメアはアルクの方をじっと見つめ始める。
「アルちゃん・・・・逃げて・・・。」
「イヤだキュ!!アルが皆を守るんだキュ!!」
それを見たピンクは力を振り絞ってアルクにこの場から逃げるように言うが、アルクに逃げる気は微塵もなかった。
「フン、見た目も力も美しくないものが出しゃばるなよ。」
「キュッ・・・!!」
そんなアルクをナイトメアは軽い一振りで殴り飛ばし、そのままの勢いでアルクは地面に叩きつけられた。
「さて、これで邪魔者はいなくなったし、はやく終わらせようか♪」
「・・・っ!」
ナイトメアの視界には反抗しようと立ち上がる者は誰1人としておらず、勝利を確信したナイトメアはレイピアを振り上げてスマイルハピネスに切りかかろうとする。
「・・・・・・・なんだ、それは?」
しかし次の瞬間、ナイトメアの動きが止まった。だがそれはスマイルハピネスが立ち上がったからではない。
「・・・アルちゃん?」
「なんなんだ?その光は?!」
殴り飛ばされて気絶しているはずのアルクの体が青く輝いていたからであった。
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アルクがナイトメアの前に立ちふさがっていた時、後ろの方で見ていた青瀬るなは心の中で激しい葛藤をしていた。
(私は・・・・何もできないの?あんなに小さな子ですら、みんなを守ろうとしているのに私は・・・・これじゃあ、私の憧れには・・・・!!)
青瀬はアルクのようにスマイルハピネスを守るために動こうとした。だが・・・頭では動こうとしても、体がそれを許さなかった。
そこには恐怖があった、そして自分が立ち向かったところで意味はないという冷静な分析力と理性が青瀬の足を止めていた。
「キュ!!」
(!!!・・・・私は、私は・・・・・・・!!!!)
しかしアルクが殴り飛ばされた瞬間、青瀬の心の中で何かが爆発したような気がした。そしてそれに呼応するようにアルクの体が青く輝き始めた!
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「なんなんだ?その光は?・・・・?、震えている?このボクが?」
ナイトメアは青く輝くアルクを見て驚いていたが、それ以上に自分の手が無意識に震えていることに驚いていた。なぜならその震えはまるで何かを「恐れ」ているようであったからだ。
そんなナイトメアの驚きを他所に、アルクの体から青い宝石のついた指輪が現れた。
指輪が現れるとアルクの体は元に戻っていた。そう、アルクの体が輝いていた理由は、今そこで気高く輝く指輪の光だった。
「あれって・・・。」
「うん。スマイルリングだ。」
「でもどうして?だってスマイルハピネスは私たちだけじゃ・・・・あ。」
スマイルハピネスは1人の少女に目線を向ける。
「あれは・・・・。」
その1人の少女である青瀬はスマイルリングの輝きに何故か目が離せなかった。まるでどこかに運命を感じているようだった。
そしてスマイルリングは青瀬の元まで飛んできた。
「これ、なんだろう・・・力が溢れてくるような・・・・・もしも、この力でみんなを守れるような、立派な・・・・!!」
青瀬が決意を固めると、それに呼応するかのようにスマイルリングが激しく輝き、その光は青瀬るなを包み込んだ。
「な、なんだ?!何が起こっている?!」
突然の出来事にナイトメアは驚き、あまりの眩しさに目を閉じた。
「・・・・・武士道とは、大切なものを守ることと見つけたり!スマイルブルー!!!」
スマイルハピネスが1人、スマイルブルーの誕生である。
投稿頻度は頑張ってあげていきたいです。10月15日までは真面目に書く予定です。
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