44 可愛い子がストーカーしてると なんか許しちゃうよね
はい、久しぶりです!(いつもの)
そして久しぶりで悪いが、バトル展開は次回です!(バトル展開を楽しみにしてた方、すいません)
「なあなあ、青瀬さんっていつ見ても美人じゃね?」
梅雨も明けたある日、タツキと冬先が学校の休み時間に教室で話をしていた。
「え?・・・・ああ、あの青い髪の人か。」
青瀬と言われて一瞬だけ誰の事か分からなかった冬先だったが、「青」という単語で青色の長髪が特徴的な青瀬ルナだと分かった。
「青い髪って・・・もしかして知らなかったのか?」
「いやいや、人の名前を覚えるのが苦手なだけだよ。」
「・・・・それは大丈夫なのか?」
気楽に人の名前が覚えられないことを打ち明ける冬先に、タツキは呆れる。
「うーん、まあ、一度も話したことないし、俺ごときが美人な青瀬さんと関わることなんてないと思うから大丈夫だろ。」
というか、関わりたくもないけどな。
青瀬ルナ、まだスマイルハピネスに覚醒してないのか。もしかして彼女はスマイルハピネスではない?いやそれはありえない!!!だって髪が青いじゃん!おかしいだろ!俺も含めてほとんどの人の髪の色は黒か茶色だぜ!?
絶対にアイツはスマイルハピネスになる!スマイルハピネスのアニメなんて一瞬しか見てないけど!
でも確信しかない!あの青髪に誓ってな!!!
これといった証拠はないが、冬先には謎の確信があった。
「いやいや、流石にマズくね?・・・いや、大丈夫、なのか?つーかさ、リュウトって俺の名前おぼえてる?」
「さすがに何回も話した相手の名前は覚えるよ。タツキだろ?」
タツキに自分の名前を聞かれた冬先だったが、さすがに知っていると言わんばかりに笑いながら答える。
「へー・・・名字は?」
「・・・・・・・・・。」
ただ、名字も聞かれると冬先は真顔で無言になる。
「おいおい頼むぜリュウト?岩倉、俺の名前は岩倉タツキだよ。」
岩倉は呆れながら、今さら付き合いがそこそこ長い冬先に自己紹介をする。
「う・・・じ、じゃあタツキは俺の名字を知ってんのかよ?!」
「冬先だろ?」
「俺が全面的に悪かったです。すいませんでした。」
岩倉に呆れられ、冬先はムキになって自分の名字を知っているのかと反論するも、知ってて当然のようなテンションで岩倉に名字を言い当てられたので、冬先は素直に頭を下げて謝罪した。
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「そういえば、きららちゃんって青瀬さんがあの名女優の青瀬カレンさんの娘さんだってこと知ってる?」
「え、ウソ?!あの「恋は螺旋のように」で有名なカレンさんが母親なの?!」
「そーそー。アタシも初めて知った時は驚いたよ。でもあの綺麗な青瀬さんなら「なるほど」って納得したけどね。」
一方で夢見きらら、赤羽りんか、日向さちも青瀬るなの事について話をしている。
「うわ~、あの美しいことで有名なカレンさんが母親だなんて、なんか羨ましいな~。」
キラキラした目で、夢見は遠くの席に1人で読書している青瀬るなを見つめる。
「気になるんだったら話しかけてきたらいいじゃん。」
それを察した赤羽が、青瀬に話しかけるよう提案する。
「ええ?!ムリムリムリ!私なんかが話しかけにいったら、こう青瀬さんの美人オーラで、こう、グワーッてなっちゃうよ!!」
「いや何を言ってるのか全然わかんないんだけど・・・。」
赤羽の提案を夢見は慌てて拒否したが、その理由が赤羽には支離滅裂に聞こえ、少し呆れていた。
「サチは、きららちゃんの言おうとしてることが分かる気がするなあ。青瀬さんって、すっごい美人さんだから、なんか雲の上の存在みたいで何を話していいのか分からなくなっちゃうんだよね!」
「そうなんだよ!さっち~~~~!!」
だが日向は夢見の言おうとしていることが理解できており、そんな日向の意見に夢見は激しく同意した。
「そういうものなの?アタシだって毎日ほど話しかけてるわけじゃないけど、喋った感じ普通だったよ?」
赤羽は2人に青瀬との会話は、ごく普通のものだったと伝える。
「え?!りんかちゃん、青瀬さんと喋ったことあるの?!」
「さ、さすがクラスで明るい人ランキング上位の人!!」
しかし2人は青瀬の人となりは普通の印象だった・・・というよりも、赤羽が青瀬と話したことがあるという方に興味深々だった。
「いや同じクラスなんだから話すことだってあるでしょ!ていうか、明るい人ランキングってなに?!」
赤羽はキレのあるツッコミをする。
「いや、まあどんなものかは想像がつくけどね。正直2人と話している方が斬新で疲れるわあ。」
赤羽は青瀬と話すよりも、夢見と日向との会話の方が大変だと呆れていた。
「え~?なんか照れるなあ!」
赤羽の皮肉は夢見にはまったく響いていなかった。
「別に褒めたわけじゃないんだけど・・・ま、でも2人との会話は楽しいし退屈はしないんだけどね。そういえばさっきの話で思いだしたんだけど。青瀬さんと会話する時って、なんて言うのかな・・・あまり親しく話した感じがしないんだよね。でも嫌われているって感じでもなくて、う~んなんていうのかな。」
赤羽は青瀬との会話である違和感を思い出したのだが、それをうまく表現することができず、悩み始める。
「見えない壁があるってこと?」
「そう!そんな感じ!!」
しかし日向の一言で赤羽は「それだ!」と悩みが解消された。
「わ~!なんかミステリアスでカッコイイね!!」
そんな青瀬の他人を寄せ付けないという印象に、夢見は目を輝かせる。
「そ、そうなの、かな?」
「きららちゃんは前向きだからねえ。」
夢見お言葉に赤羽は頭を悩ませ、日向は優しい笑みで対応していた。
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「で、なんでアタシ達は青瀬さんの後を見つからないように付いていってるの?」
それは放課後で下校時間の時だった。
青瀬るなが部活に入ってないことを知った夢見きららが、同じ帰宅部である赤羽りんかと日向さちを誘って青瀬るなの後をコッソリ付いていこうと言い始めたのがキッカケだった。
「だってだって気になるじゃん!青瀬さんの私生活!!」
夢見は純粋な子供のような目を輝かせながら訴える。
「確かに。サチもちょっとワクワクしてきたよ!」
日向も夢見につられて、青瀬の行動に興味を持ち始めた。
「それになんか探偵っぽくてキラキラしない?!」
「探偵キュ?!ボク「探偵メイソン」をテレビで見てるから楽しみだキュ!」
「だよねだよね!」
夢見とアルクはアニメの影響でかなり盛り上がっている。
「いや、別にこんなことしなくても青瀬さんに直接聞けばいいんじゃないの?」
赤羽は2人に青瀬に話しかけて私生活のことなどを聞けばいいのでは?と正論な提案する。
「ダメだよ!サチ達が青瀬さんに気軽に話しかけるなんてムリだよ!」
「うん!さっちーの言う通り!!」
「探偵☆探偵だキュ!!」
「え~?だ、大丈夫なのかなあ?」
だが2人に謎の理論で論破(?)されてしまい、「話しかけるのは無理なのに尾行はいいんだ?」という疑問を押し殺しながら赤羽は夢見達についていく。
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「あれ?アオセって子、家に帰らずに山の方に入っていくキュよ?」
青瀬を尾行していた夢見たちだったが、彼女たちの予想外の行動を青瀬はしていた。
青瀬は家に帰宅するかと思っていた彼女たちだったが、青瀬は町の近くにある山を道なりに登っていく。
「え?い、一体、何をしに山なんかに・・。」
「なんだかんだ言って、リンカちゃんも気になってるじゃん♪」
「し、仕方ないじゃん!ここまで来たら気になっちゃうし・・・!」
青瀬の行動に興味深々な赤羽を見ているのを日向はニマニマした笑顔で見て、赤羽は軽く動揺する。
「2人とも~置いてくキュよー。」
そんな2人を気にすることなく夢見は青瀬の尾行を続けるために山に入っていき、アルクに呼ばれたことで2人も気づいて後に続いて山に入っていった。
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少し山を登っていくと、景色がよく見える見晴らしのいいところで青瀬の足は止まった。同時に夢見、赤羽、日向そしてアルクも足を止めて少し離れたところから草陰から見つからないように観察する。
「アオセはこんなところまで来て何をするつもりなんだキュ?」
「夜まで待って星をよく見るためとか?」
「この町の風景をスケッチするためとか?」
「そこに山があったから?」
アルクの疑問に夢見、日向、赤羽は独自の意見を青瀬に聞こえないように小さな声で述べた。
しかし3人の予想とは違い、青瀬はカバンを降ろすとノートを取り出した。そして・・・・・・・
「にゃんにゃんにゃん☆ねーねー、私~~会長とデートに行ってみたいな~?」
突然、あざとい笑顔と声で話し始める。
「「「?!」」」
そんな青瀬に3人は一瞬、幻を見せられているのでは?と錯覚するほど、かなりの衝撃を受けた。
「あなた、そんなところも掃除を終わらせてないの?ハン!まるで使えないわね?」
しばらく目を丸くしていた3人だったが、今度は冷酷な感じの雰囲気を纏い、またも3人は衝撃を受ける。
「ええ、そうですわ。この中に!黄金のティアラを盗んだ怪盗アルセーヌがいますわ!」
そして次は真面目な雰囲気になり、3人は青瀬さんっぽいなと感じたところで赤羽は我に返った。
「もしかして、青瀬さんっていつもここで演技の練習でもしてるんじゃない?」
「あ、そっか。青瀬さんのお母さんって、あのカレンさんだもんね。」
「しかもさっきのって探偵メイソンのセリフじゃない?!じゃあ青瀬さんって女優を目指しているの!わ~、ステキ~~~~!!」
赤羽の推論に2人は納得する。
夢見に至っては憧れの眼差しで青瀬の演技を見つめていた。
「ジョユウって何だキュ?」
しかし、アルクは「女優」という単語を初めて聞いたので、3人の会話が理解できなかった。
「えっとね、女優っていうのはドラマで演技をしている人たちのことだよ。」
「ドラマってなんだキュ?」
アルクの疑問に日向が答えるも、アルクは「ドラマ」という単語に疑問を抱く。
「ほら、アルちゃんがいつも見てる名探偵メイソンに出てくる人たちを演じる仕事をしている人たちだよ。」
「演じる・・・・・え~~~~?!つまりメイソンはアルセーヌは実際にいる人たちじゃないってことなんだキュ~~~~?!!!!」
その生き物は信じていた。テレビというものに映し出されているモノは真実なんだと。だがその生き物は知らなかった。目に映るものが2次創作の作りものだということに。
「わわわ?!」
「ちょ!声が大きいって!!」
「し~っ、し~っ!」
アルクにとって人生でとてつもない衝撃はともかく、大声で叫んだので青瀬に見つかるのではと3人は冷や汗をかく。
「誰?!」
3人の不安は的中し、青瀬は自分の近くに誰かがいることを察知する。3人は急いで草陰に隠れるも、青瀬は声のした方を振り返っており、その草陰には夢見たちが隠れていた。
青瀬は夢見たちが隠れている草陰に向かって歩きながら少しずつ、だが確実に夢見たちに向かって近づいていく。
見つかる・・・・そう思った夢見たちだった。
「おや、見つかってしまいましたか、美しい人よ。」
夢見たちとは別方向から美しい声が聞こえ、青瀬は反射的に声がした方を振り向いた。そこには美しい顔、綺麗なボディライン、そして怪しげだが魅力的な目をした男が木の太い枝の上に優雅に座っていた。
青瀬は男の立ち振る舞いを優雅と思うと同時に、その男がどこか人間ではない雰囲気を持っているように思った。
「失礼、ボクの名前はナイトメア。この世界で一番美しい者の名前サ。」
男は「ナイトメア」と名乗った。
まあ投稿頻度は・・・・最近調子がいいから上げていきたいです。(3日坊主の言う言葉)




