42 青瀬ルナ
先に言います。今回は短いです。申し訳ない
6月、それは梅雨の季節。
雨が続くこの季節は色々と面倒だ。
主に学校の登下校は雨に濡れるから気分が落ち込む。
「・・・・・。」
雨は好きじゃないけど、なぜか雨が降る日はいつもより窓のガラス越しから雨の景色を見ている。
冬先は雨が降る景色を見ていた。ーーーーーほうきを片手に立ったままの状態で。
今、光が丘中学は全校生徒による掃除の時間である。
冬先は教室の掃除担当なのだが、絶賛サボり中であった。
「ちょっとそこの男子!」
「?!」
すると後ろの方から女子の声が聞こえた。
冬先は自分が掃除をサボってたことが見つかったのだと思い、ビクッ!と体が反応した。
「サボってないでちゃんとやってよね!」
「だってめんどくせーんだよ。」
「それに雨ばっかで全然外で遊べてないしさ。」
だが女子の声の娘は冬先に注意したわけではなく、近くにいた数人の男子グループに対してだった。
男子グループは雑巾を丸めてボールのようにして、ホウキをバットのように持っていた。
恐らく雑巾とホウキを使って野球みたいなことをして遊んでいたのだろう。
よかった、自分が怒られてるわけではなかったのだ。
一安心した冬先だったが、次は自分も注意されるかもしれないと思い、サボってた掃除を再開する。
「ほら!リュウトくんはちゃんと掃除やってるよ!」
男子グループを注意している女子が冬先を指差しながら言った。
・・・・・いやいや、自分もサボっていたのだが。
もしかして自分の存在が認識されてなかったのか?だとしたら、今怒られてる男子たちより惨めな気持ちになる。
ああ、だめだ。別に目立ちたがりではないけど、なんか泣きそう。
「リュウトは真面目かもしんねえけどよお。他の男子だって遊んでるのばっかりだぜ?」
男子グループの1人が女子に注意されっぱなしな状況に不満を抱き、反抗的な態度をとる。
・・・・・いや、自分も君たちと同じで掃除が面倒くさくてサボるような一般男子生徒なんだが。
そして当然のように自分の存在は認識されてないらしい。
別に目立ちたいわけではないのだが、冬先は心が少し傷ついた。
「騒がしいですね。今は静かに掃除をする時間ですよ?」
冬先がセンチメンタルな気分になってる中、男子グループを注意していた女子と違う女子が男子グループに向かって淡々と歩きながら冷めた声で注意する。
「青瀬さん。」
先ほどまで男子グループを注意していた女子が歩いてくる女子に視線を送る。
「う・・・。」「あ、青瀬さんに見つかってしまった・・・。」
男子グループの顔が、こちらに向かってくる少女の影響で顔が青ざめる。
青瀬と呼ばれる少女は氷のように鋭い目をしており、歩く姿勢はピシッとしていて、その姿勢には「品行方正」「誠実」といった言葉が似合う。
ーーーーーそして美しい青色の長い髪が特徴的だった。
「あなたたち、他の人がちゃんと掃除をしているのに対して恥ずかしくないのですか?」
青瀬は冷たい声で男子グループに向けて言い放った。
その鋭い目は、静かに怒っていることを分からせるには十分な目つきだった。
「「「す、すみませんでした。」」」
先ほどまでの威勢はどこへやら、男子グループは青瀬に向かって謝罪をすると、しぶしぶと掃除をし始める。
「ありがとう、青瀬さん。」
「当然のことをしただけです。」
少女は明るい声で青瀬に感謝をする。
しかし青瀬にとっては当たり前のことなのか、平常心で受けごたえした。
「でも青瀬さんの掃除の場所って階段だったよね?どうして教室に?」
「そちらの掃除は既に終わりました。ただ時間も余っていたので、ついでに教室の掃除を手伝いに来ただけです。」
そう言うと青瀬は教室の掃除を始める。
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青瀬ルナ。少女を一言で表すなら「完璧」だ。
クラスの学級委員長であり、生徒会の役員で学業成績は堂々の1位。教員からの信頼も厚く、クラスでも彼女の右に出るものはいないと言われ、尊敬と畏怖の眼差しがある。
まさに完璧という文字が生きているかのような人間だ。
明らかに俺とは正反対もいいところだ。
だから自分と青瀬が関わることなどない・・・・・と、言いたいところだが、恐らく、いや絶対に不本意ではあるが彼女との接触は免れないだろう。
青瀬ルナはスマイルハピネスだ。
あの普通の人とは違った髪の色は間違いなくスマイルハピネスだ。別にスマイルハピネスのアニメは一瞬しか見てないからアニメの先の展開なんてものは知っているわけではないが、あの青色が確たる証拠だ間違いない。
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