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魔法少女の悪役のなかには、平和に生きたい奴もいる  作者: なかそね
第1部 魔法少女アニメ転生
42/51

41 ドッジボール対決!相手はマリーちゃん?!

タイトルは・・・まあ気にしなくても大丈夫です。

「は、はぁあああああああ?!」


 体育館に叫び声が響き渡る。

 マリーは自分が負けたという事実に納得がいかなかった。

 あんな偶然の事故のようなもので負けたなどと理不尽だ。


「やったじゃん!ピンク!!」


「すごいね!あれって狙ってたの?!」


 啞然とするマリーの側をイエローとオレンジが走り去ってピンクの元に向かう。


「え?!ち、違うよ!たまたまだよ!!」


 マリーをアウトにさせたボールは狙って投げたのか?という2人の問にピンクは偶然だと答えた。

 ピンク自身、先ほどのボールは投げたというよりも転んだ拍子にどこかへ飛んでいったボールが偶然にもマリーの頭に当たっただけだからだ。


「フフン!今回もボクたちの勝ちだキュ!」


 スマイルハピネスが楽しそうに話している中、アルクはドヤ顔でウルフェンにスマイルハピネスの勝利を宣言する。


「え?・・・お、おう。そうだな・・・。」


 ウルは悔しがったり悲しんだりせず、ただ納得したとも少し違うが、スマイルハピネスの勝利を肯定した。


「え~っと・・・今日は私たちに手伝ってくれて感謝するわ。」


 一方で、マイナスランドチームの外野コートではバーラが冬先に今回のドッジボール対決でマイナスランドチームとして参加してくれたことに感謝の言葉を送った。


「あ、はい。・・・でも正直言って自分は足ひっぱってただけなので、バーラさんには迷惑かけてしまったので申し訳ないです。」


 いやいやいや、今回の自分はドッジボールでなんの戦力にもならなかったモブだ。

 多少の不満は言われるだろうと思ってた。

 だが、まさかの逆に感謝されたことで冬先は申し訳なくなり、丁寧に謝罪する。


「ーーーーーしよ。」


 そして皆がアニメ1話分で考えたら残り3分くらいの空気になり、それぞれの居場所に帰る雰囲気になる中、1人ドッジボールの決着に納得がいかない子供がいた。


「あんなのナシよ!!!」


 マリーが大声でドッジボールの決着に異議を唱える。


「おかしいわ!だってあんなのボールを投げたことになんてならないわ!やり直しよ!あんなのやり直しだわ!!!」


 ルール上はマイナスランドチームの負けだ。

 しかしマリーは無茶苦茶な理屈で駄々をこねまくる。


「落ち着いてくださいマリー様!今回は我々の負けです!!」


 バーラがマイナスランドチームの外野コートからスマイルハピネスの横を通り過ぎてマリーの近くまでかけより、窘めようとする。


「何よ!アンタ、マリーに逆らう気?!!!」


 マリーはバーラに脅し気味に怒りをぶつける。


「し、しかし、今回の我々は正式なルールに則って負けました。それを無しにするというのは・・・。」


 鋭い目で睨みつけられながらも、バーラは取り乱すことなく冷静に諭そうとする。


「言っとくけど、パパに言いいつけちゃえば、アンタなんかどうとでもなるんだからね?」


「それは・・・・・。」


 だが、己の主とも言えるキングサタンを引き合いに脅されたことでバーラは言葉を失う。


「ウフフ、ねえマリーちゃん。」


 マリーとバーラの間に沈黙ができると、突然イエローが慈愛の笑みでマリーに話しかけた。


「・・・何よ。」


 優しい笑顔で話しかけられたことに驚き一瞬、言葉を失ったマリーだが、すぐさま威圧的な態度でイエローに目を合わせる。


「マリーちゃんって、お子ちゃまなんだね♪」


 するとイエローはマリーが子供だと言った。

 確かにマリーの見た目は8~9歳くらいの人間の子供である。

 しかしイエローの言葉を聞いた全員が、イエローはそういう意図で言ったわけではないと直感し、それどころか表情とセリフが全く合っていない、違和感しかないと感じた。


「ハァ~~~~?!マリーのどこが子供だって言うの!!!」


 この言葉にマリーは対抗心を剥き出しにする。

 次に言葉を発した瞬間に噛みつかんとする勢いだ。


「だって、ちゃんとルール通りにして負けたのに、やり直しだあって子供みたいに駄々こねてバーラさんに迷惑かけて。それのどこが子供じゃないの?」


「この・・・・・!!!」


 イエローが満面の笑みで言い放った言葉にマリーは怒りが頂点に達し、飛びかかろうとする。


「そもそも、マリーちゃんが当たったボールって、マリーちゃんがピンクを・・・きららちゃんをバカにして油断していなければ避けられたよね?」


「な・・・・・!」


 だがイエローの感情がこもってない優しい口調のセリフにマリーは絶句した。

 言い返せなかった。

 イエローの言う通り、マリーにヒットしたボールは投げたというにはあまりにも威力が弱く、しかも山なりに飛んだので注意すれば避けることはおろか、キャッチすることだってマリーにとっては朝飯前だった。

 しかしピンクが転んでボールが上に飛んでった時、マリーはピンクが転んだことに対して自分の勝ちを確信し、油断し、笑った。

 結果として、その慢心によって自分の頭に偶然にもボールが落ちてきてることに気づかず、そのままボールが頭に当たったのだから。


 ーーーお、大人げない。


 イエローの容赦のない正論にピンクとオレンジは少し引いた。


「うぅうぅうううう!!」


 マリーは言い返すことができず、ただ唸っていた。


「マリー様・・・。」


 それをバーラは焦りながらも黙って見てるしかなかった。


「フン!今日のところはマリーの負けにしといてあげるわ!でも次はないんだからね!!」


 マリーは負けを認めるのが悔しかったので上から目線な態度をとりながら自分の負けを認めた。

 その後マリーが何もない空間に手をかざすと黒紫色、例えるなら野菜のナスの色をした円状のモヤみたいなものが現れた。


「ほら!さっさと帰るわよ!」


 マリーはバーラについてくるように命じるとモヤの中に消えていった。


「ハイ!マリー様!!・・・あれ、そういえばウルと・・・あの子は?」


 バーラもモヤの中に入る直前、ウルと仮面を被った謎の男のことが気になって辺りを見回したが、2人の姿はどこにもなかった。

 一応ジェンダーから2人は人間界に潜伏できる特殊な者たちと聞いているので、2人は帰ったのだろうと思い、バーラもモヤの中に消えていった。

 そして体育館にいる者はスマイルハピネスとアルクだけになった。


「うおお!サチ、カッコイイっキュ!」


「そ、そうかな。」


 アルクはイエローがマリーをマイナスランドに追い返したように見えたため、自分の目にはイエローがカッコよく映ったため、日向サチをほめる。


「アタシはむしろ少しサチが怖いね。」


「うん。私もビックリしちゃった。いつものさっちーじゃなかったもんね。」


 逆に夢見キララと赤羽リンカは苦笑いしながら日向サチを見つめていた。


「ええ?!な、なんでそんなこと言うの?!ひどいよ2人共~~~!!」


 サチは2人の言葉にショックを受けながらも顔を膨らませながら少し怒った表情になる。

 だがその顔は2人からすれば小動物のような、いつものサチ特有の可愛さが感じられた。


「「・・・・・。」」


 さっきまでとは雰囲気がまるで違うサチを見て、2人は狐につままれたような表情でお互いの顔を見つめあった。


「「プッ、アハハハハハハハ!」」


 2人はいつものサチの雰囲気に安心し、今までの緊張が解けたせいか、2人は笑いあった。


「もう~~~!何で笑うの~~~~?!」


 サチは自分を笑う2人に怒るが、さきほどのマリーと対面した時のプレッシャーみたいなものは微塵もなく、体育館には温かい空気ができていた。



 ************




「あ~、つっかれたあ。」


「オメー何もしてなかったじゃねえか。」


「いやマジであのバケモノたちの遊びに放り込まれるモブの気持ち分かる?!ほんと普通に死ぬかと思ったわ!」


 ドッジボールが終わった瞬間、すぐに体育館から抜け出していた冬先とウルフェンは、お互いにいつも通り他愛のない話をしながら道を歩いていた。


「はっはっはっ、残念ながら今の俺様はオオカミみたいな姿になっちまってるからドッジボールで死にそうになる気持ちは分かんねえなあ♪」


 ウルフェンは愉快に笑いながら話す。


「てかお前、ドッジボールの審判してた時、なんで俺と目線を一切合わせようとしなかったんですかね?」


 冬先はドッジボールの最中、ウルフェンに助けを求めようとアイコンタクトを試みるも、当の本人が一切こちらとの目線を合わせようとしなかったことに自分の五体満足な無事は諦めたのだと思い、その追求をする。


「・・・・・・。」


「おい、なぜ無視をする。」


 冬先の追求にウルフェンは虚無の表情で無視した。


「ハァ、にしても、せっかくウルフェンと契約してなんか凄そうな力を手に入れたと思ったのにスマハピの足元にも及ばんとは。宝の持ち腐れにもなりゃしねえ。」


 ホント笑える話だ。

 せっかく異世界・・・いや、アニメの世界に転生したところで俺の立場はモブとかどんなジョークだよ。

 こういうのって、なんかスゲー力とか手に入れて数多のヒロインに好かれるのが王道じゃねえのかよ。

 まあ、現実は甘くないってことなのか?・・・いやいやいや、ファンタジーに夢あってもいいだろコンチクショー!

 あーあ!俺だって「何かやっちゃいました?」とか!「え、これくらい普通じゃね?」とかイキってみてえよおおおお!


「そういや確かにリュウトはスマハピと同じようにケイヤクしてるはずなんだがなぁ。力の差がありすぎるな。」


 ウルフェンは他人事のように客観的な視点で話す。


「え、スマハピって誰かとケイヤクしてんの?」


 冬先はウルフェンの何気ない一言に驚く。

 スマイルハピネスが同じケイヤクして強くなった?信じられない。

 よく分かんないけど、魔法少女と言えば魔法の変身ステッキみたいなものから力をもらって変身するのでは?


「そらそうだろ。リュウトだってスマハピと一緒で変身してるじゃねえか。まあリュウトのはスマハピみてえに派手な変身じゃねえけどよ。」


「そ、そうだな・・・言われてみれば俺だってスマハピのようなもんか。」


 なぜ気づかなかったのだろう。

 自分の変身だってスマイルハピネスと同じではないか。

 冬先はウルフェンの説明に納得する。


「たしかケイヤクって、ケイヤクする奴が自分のマイナスエネルギーの半分を人に与えて人をパワーアップさせるんだろ?てことはスマハピがケイヤクしてる奴はウルの何倍も強いってことか。」


「言い方がムカつくが、そうだ。スマハピも・・・いや、スマハピが変身する時にキラキラ光るヤツ、あれはマイナスエネルギーなのか?」


「そういえばそうだな。スマハピがキラキラ光りながら変身してるのに対して俺はモヤモヤっと、暗い感じに変身するな。」


 ウルフェンと冬先は悩んでいた。

 スマイルハピネスが変身する時はキラキラ光りながら変身しているのとは対照的に、冬先の変身は黒色の霧みたいなモヤが体にまとわりつきながら変身する。

 冬先がマイナスエネルギーで変身しているなら、スマイルハピネスもマイナスエネルギーで変身している、という理屈にしては余りにも見た目の印象が違いすぎる。


「あれじゃね?マイナスランドはマイナスエネルギーが力の源だけど、その、スマハピの・・・エ、エ・・・。」


 冬先はその先の単語の発言に喉がつまった。


「?、エンジェルランドのことか?」


「そう!うん!そう!だから・・・・うん、スマハピはマイナスエネルギーとは違ったエネルギーで変身してんじゃね?」


 恥っズ!なんだよエンジェルランドって!このいかにも少女アニメの単語を発音するのめっちゃ恥ずかしいのだが。

 冬先は「エンジェルランド」という単語の発音が何故か恥ずかしかった。

 なぜ?と聞かれると明確な答えはないが、とにかく言うのが恥ずかしかった。


「なるほど。エンジェルランドにはアイツらなりのエネルギーがあるのか。」


「ハァ。それにしても、スマハピはいいなあ!強い奴とケイヤクしてもらえてさ!俺だって強い奴とケイヤクして無双ゲームしてみたかったなあ!」


 冬先は誰もいない方向に向かって大きな声で独り言を話す。

 だが、その独り言はまるで誰かに愚痴を言っているかのようなトーンと声量だった。


「へーそうかい!そいつは災難だったな!だがケイヤクってのは人間にエネルギーを半分も与えるだけじゃなくて、ソイツに元々あったエネルギーを覚醒させるんだぜ!ケイヤクした奴のエネルギーが弱くても人間の方のエネルギーがすごかったら強いらしいぜ?きっとスマハピのアイツらは元々のエネルギーがすごいんだろうなあ!俺もケイヤクしたヤツが強かったらこんな苦労はしないんだろうなあ!!」


 ウルフェンも冬先と同様に誰もいない方向に向かって愚痴のようなトーンで大きな声で喋った。


「「・・・・・・・。」」


 2人の間に一瞬の沈黙が入った。


「上等だぁ!俺の元々のエネルギーってヤツをオメーに教えてやるわぁ!!」


「やってみやがれ!テメーごときの貧弱なエネルギーが合わさったところで、なんも怖くねえわぁ!!」


 こうして冬先とウルフェンはいつも通りの口喧嘩やらケンカやらをしながら平和な日常は今日も平和に終わった。

この調子で投稿頻度あげてきます。(ポケモンダイパリメイクきたらyoutube活動になるので11月までに完結させたい)

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