40 決着!ドッジボールの勝者は誰だ
お久しぶりです。いやー、就活は大変だ。
バーラが外野になったことで、いよいよ後がなくなってしまったマイナスランドチームだったが、一切戦力にならない冬先とは違い、バーラはマリーが投げるボールをキャッチすることができたため、その後お互いのチームは激しい一進一退の攻防を繰り広げる。
(はあ、これでしばらくは大丈夫だな。)
そしてマイナスランドチームの外野はバーラが担うことで、冬先の役割は実質的になくなり、心に余裕ができた。
「ねえ、アナタって名前はなんていうの?」
しかし冬先の平穏も束の間、突然バーラが冬先に話しかけてきた。
「え?!い、いや、えと、その・・・・。」(も、もしかして俺が人間だってバレた?!)
実は初対面ではないにしろ、今まで真面目に話したことがなかったバーラに、まさか話しかけられるとはこれっぽっちも思ってなかった冬先は、自分の正体が実は人間だとバレたのではないかと焦り、頭が真っ白になる。
「ああ、ごめんなさいね。別に無理に言ってもらわなくてもいいのよ。」
「え?!・・・あ、ありがとうございます。」
だが、バーラがこれ以上の追求をしなかったことに冬先は驚き、思わず丁寧に感謝の言葉を述べた。
「ウフフ。そんなに丁寧に感謝するなんて、アナタって少し変わってるわね。」
バーラは大人の笑みで冬先に笑いかけてきた。
「す、すいません。」
まだ冬先は慌てていたため、バーラに対しては丁寧な言葉遣いであった。
「大丈夫よ、誰だって言いたくないことはあるんだもの。」
(め、めっちゃ優しいーーーー!!!え、これホントに悪役?!部下になりたいくらい優しい人なんだが?!)
冬先はバーラの器の大きさに尊敬の眼差しで見つめる。
「それにしても、オレンジはともかく、さっきからピンクがボールを投げることに積極的じゃないのだけれど・・・アナタ、何か分かるかしら?」
冬先の目線を知る由もなく、バーラはピンクが全力を出してドッジボールをしていないように見えてたらしく、冬先に問いかける。
「え・・・あ、すいません、分かんないです。」
しかし先ほどまでドッジボールの球を避けるのに精一杯だった冬先にピンクの様子などを観察する余裕などあるはずもなく、バーラの問いには答えられなかった。
「そう・・・。」
(・・・・あ、これもしかして怒らせちゃった?!)
冬先の答えに一言つぶやいたバーラに、冬先は自分がバーラの望む回答ができなかったからバーラの不満を買ったのでは?と思い焦る。
「私の思い違いかしら?でもさっきまでは普通に投げてたし・・・もしやピンクの体力は限界に近いのか?!ならばまだ勝機はある!」
(あ、よかった、そんな気にしてなかった。)
しかしバーラは気にする様子もなかったので、冬先の心配事は無用だった。
「キャハハハ!オレンジのお姉ちゃんのボール速くて楽しい~~~♪それに比べて・・・キララお姉ちゃん、全然ボール投げないからつまんな~い。」
マイナスランドチームの外野で冬先とバーラのコンタクトがあった中、内野コートではマリーがオレンジとのドッジボールを楽しんでいた。しかし、ピンクとのドッジボールには不満がある様子であった。
「ハァ、ハァ・・・ピンク、大丈夫?」
息切れによって体力の限界を感じさるオレンジが、ピンクの体調を心配をする。
「う、うん。大丈夫・・・わ、私がここで決めるから!」(そうだ!全力で投げないと!マリーちゃんはマイナスランドの刺客で、悪い人たちなんだ・・・!!)
そう言ってピンクはマリーにめがけて、ボールを全力で投げようとした・・・・・はずだった。
ボールを投げる直前、マリーの顔を見たピンクは無意識にボールの威力を殺して投げた。
そして真っ直ぐにマリーに向かっていくボールを、マリーは難なくキャッチする。
ボールをキャッチされた瞬間、なんとなくではあるがピンクは子供の見た目をしているマリーに対して、無意識に力をセーブしていることを悟る。
いくら敵とはいえ、相手はまだ子供なのだ。子供に対して全力で投げたら怪我をさせてしまうのでは?と、心の奥底で懸念していたのだ。
しかしマリーがボールを持った瞬間、ピンクは全力を出さなかったことに後悔した。
「ハァ・・・もういいわ。マリー、つまんなくなったから、もう終わらせよっと。」
マリーがボールを持った瞬間、マリーの体から大量のマイナエネルギーが溢れ出す。
あまりの高密度なマイナスエネルギーなのか、それは紫色の炎のようにユラユラとマリーの体から溢れ出す。
「「「!!!」」」
マリーを除いた体育館にいるもの全員が、マリーのマイナスエネルギーに啞然する。
「と、とんでもないマイナスエネルギーだキュ!!」
アルクはマイナスエネルギーのプレッシャーに体が震える。
「これが、マリーの力!!!」
だがマリーと目の前で対峙しているオレンジには、アルク以上のプレッシャーがのしかかる。
(なんだアレ・・・俺の50倍くらいのマイナスエネルギーはあるだろ。見た目は子供でも中身がバケモンすぎる・・・。)
冬先も仮面の下で、大量の鳥肌と冷や汗が止まらなかった。
「それっ!」
マリー以外の体育館にいるもの全員がマリーのマイナスエネルギーに萎縮している中、マリーがオレンジに向かってボールを投げた。
「ーーーー!?」
そのボールは速いとかそういう次元ではなかった。
マリーが投げた瞬間、ボールはいつのまにかオレンジの目の前に現れた。
体育館にいたもの全員がそう錯覚するほどだった。・・・マリーを除いては。
「いっ?!・・あああああ!!」
オレンジは自分の反射神経では見切れない程のボールのスピードにキャッチするタイミングが合わせられず、ボールに当たってしまう。
しかし、ボールをキャッチできないと判断したわけではないが、オレンジは持ち前の運動センスで無意識にボールを床にバウンドさせた。
ボールはバウンドすると、そのまま天井まで届き、天井でバウンドするとスマイルハピネスの内野コートに落ちた。
「いった~~~!」
「オレンジ?!大丈夫?!」
「アッハハ・・・大丈夫大丈夫。」
大きなダメージは負わなかったものの、オレンジがアウトになったことで両チームの内野は残り1人となった。
(もしかしてこれってマイナスランドがスマハピを倒しちまうのか?!え、だってスマハピが負けるって・・・まさか、俺が何かやっちゃいましたか?という奴か?!・・・・・・あ、負けイベントってやつか?だけど・・・もしマイナスランドが勝ったらマリーが町で暴れるとかないよな?!)
冬先は慌てていた。
もしもマリーがスマイルハピネスをドッジボールで勝ってしまったら、マリーがこの後どうするのかを冬先は心配していた。
「・・・ここで頑張らないと、リンカちゃんやさっちーの頑張りが無駄になっちゃう!!・・・・ごめんね、マリーちゃん、本気でいくよ!」
ピンクは決意を固めると、マリーに向かって思いっきりボールを投げようとする。
「・・・・・。」
「っ!!って、キャ!!」
マリーは無言でピンクを見つめる。
そしてマリーの顔を見たピンクは決意が鈍った。するとピンクは転んでしまい、ボールは真上に弱々しく飛んでった。
「「「「?!」」」」
「プッ、キャハハハハハハ!い、いくらなんでも弱すぎだって!!キャハハハハハハ!!!」
ほとんどの者が呆気にとられ、マリーは爆笑する。
~~~~~~~~~ポカン・・・
だがその時!マリーの頭にボールが弱々しく当たった!!
「・・・・・え?」
マリーは自分がボールに当たったことが理解できずに、しばらく呆けていた。
「マリーアウト!よって勝者はスマイルハピネスチームだキュ!!!」
そしてアルクの声でドッジボールの勝者が決まった。
「「「「「えええええええええ?!」」」」」
スマイルハピネスチームの勝利に、マイナスランドチームはもちろんのこと、スマイルハピネスチームでさえ予想外の結果に驚いた。
しばらくは小説書くかも、youtubeのネタが切れたのでポケモン発売まで小説かく。




