33 努力というのは誰かと一緒にやるのが効率的だ
ちょっとバトル展開までまだまだかかりそうなので気長に待ってくれると嬉しいです
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ほの暗い夕暮れ時、なんでもない道を男女2名が歩いていた。
(うわーー、どうしよう。憧れのカケル君と一緒に帰れてアンハッピーじゃないけどさっきから一言も話してないよ~~~!!!)
2名のうちの1人である夢見きららは自分が興味を抱いている異性のカケルと共に下校できていることに喜びを抱く一方で、先ほどから一言も話していないため、話したくても緊張して喋れない自分にドギマキしていた。
「そういえばさ。」
きららが心の中で葛藤を繰り広げていると、カケルの方から話しかけてきた。
「え?!う、うん。どうしたの?」
逆に話しかけられたことできららは動揺するも、気を取り直していつもの明るいきららを見せる。
「夢見さんって今年から転校したけど、親の事情とかで?」
カケルはなんとなく疑問に思ったことを聞いた。夢見きららは今年から転校したきたからであった。
「あ・・・う、うん。まあそんなところかな。」
ただきららはあまりハッキリとは言わず、どこか誤魔化してるような感じだった。
「へえ。夢見さんは前の学校から急に転校することになって不安とかはなかったの?」
「ん?・・・・・少し寂しかったけど、今はりんかちゃんやさっちーもいるし楽しいよ!」
なぜか答えるのに少し間があったもののきららは明るく答えた。
「そうなんだ。てっきり僕は夢見さんが転校して来た時は不安だったんじゃないかって思ってたけど、夢見さんは強いんだね。」
「そ、そうかな?それよりも、夢見さんじゃなくてきららちゃんって呼んで。皆そう呼んでくれるし。・・・あ?!べ、別に嫌だったら夢見さんでいいけど。」
「?、嫌じゃないよ。」
「あ、そ、そうなんだ~。」
「あ、それじゃあ僕はこっちの方だからまた明日ね、きららちゃん。」
「!!、うん、じゃあね!」
そう言うと2人は別々の方向に歩いて行く。
「・・・エヘヘ・・。」
きららはカケルと別れた後、顔を緩ませながら歩いていった。
一方で冬先は自分の家のベットの上で死んでいるのかと錯覚するほど微動だにしなかった。
「今日は珍しく遅かったと思いきや、さっきから全然起きねえじゃねえか。」
そう冬先に話しかけるのはウルフェンであった。
「・・・・・疲れたんだよ。」
「あれか?キュウギタイカイってやつか?」
「そうだよ。マジで思いっきり体動かすのはキツイわ。なんで学校の勝手な行事のために走ったりボール追っかけなきゃいけねえんだよ。」
「ケッ、いいじゃねえか。いつも家に帰ってからダラけているだけのリュウトには丁度いいじゃねえか。」
ウルフェンは微動だにしない冬先を見ながら笑っている。
「ほっとけ。」
「ハッハッハッ。そうだ。キュウギタイカイの日、オレも見にいくから無様な様は見せんじゃねえぞ~。」
「あっそ・・・・待て今なんつった?」
ウルフェンが軽く自分も球技大会を見に行くと言ったので、冬先も思わず軽く返事をしたが、ウルフェンのセリフの内容にさっきまで顔を布団に沈めて微動だにしなかった冬先の顔がウルフェンの方に向けられた。
「?、だらけた体にはちょうどいいだろって・・。」
「いや、その後。」
「ん?ああ、キュウギタイカイは俺も見にいくって・・。」
「なぜウルが見に来るんだよ。」
「ヒマだから。」
「・・・・・。」
冬先は啞然とした。
「なんかマズイことでもあんのかよ?・・・ああ、他の人にはバレねえようにするから安心しろよ。」
「いやそうじゃなくてだな・・。」
「?、何だよ。」
「・・・・・。」
「?」
ウルフェンの質問に冬先はそっぽを向くと何も答えなかったのでウルフェンは不思議に思ったが冬先は内心それどころではなかった。
(ヤバイ!ウルのやつに球技大会での俺が見られるだと?!今の俺じゃまともにサッカーで活躍できるとは到底思えねえし、何より大会で俺の無様さを見られるのはキツイ!他の人なら俺なんかに見向きもしないだろう、どうせエースのカケルに注目がいく。だがウルは別!絶対に俺の方に注目する!!そうなると絶対ウルに笑われる!それだけは避けねば!!!)
冬先は心の中で球技大会の練習を頑張ろうと決意した。そして決意した翌日の放課後練習、冬先の熱意は練習に現れる・・・・はずだったと冬先は思っていた。
「うっ!!ぜはあ、ぜはあ・・・・!!」
今日の練習もいつものごとく冬先が他のメンバーよりも体力の限界がきていた。
(こ、これはマズイ!明らかに俺は他の奴らより体力が無い!)
冬先は他のメンバーより球技大会への熱意も無ければ運動能力も他の人より劣っていた。
「リュウトくん、大丈夫?」
そんな疲れ切って一歩も動いていない冬先にカケルが心配そうに話しかける。
「え?あ、ああ、大丈夫・・・。」
「本当に?無理せずに少し休憩した方がいいよ。」
「い、いや・・別に、その・・・じゃあ、すんません、少し休憩してくる。」
「うん。焦らずにゆっくり頑張っていこう。」
カケルの優しい言葉に冬先は一瞬で落ちた。
(・・・・ま、まあ、最低限の活躍さえすればウルに笑われることはないよな。それに球技大会まで時間あるし・・・・・うん、カケルの言う通り、ゆっくりと頑張ろう。うん、今日は家に帰ってから自主練しようかと思ったけど家に帰ったらゲームして寝よ。)
冬先は驚くほど自分の決意をあっさりと180度回転させた。一方で体育館の方ではバスケットボールの練習が行われていた。
「前から思ってたけど、2人って運動が苦手だよね?」
「「エヘヘ・・・。」」
「ハァ~~・・・。」
ため息をついているのは赤羽りんかであった。
なぜ彼女がため息をついているのかというと、昨日のバスケの練習で驚くほどバスケのバの字もできない人が2名いたからである。それが今りんかの目の前でバスケのドリブルを練習している夢見きららと日向さちである。他の人より圧倒的に運動音痴な2人を見たバスケットボールのメンバーは個別練習をするということになり、優秀な運動センスでバスケが上手でなおかつ2人と仲がいいということでりんかが2人の指導役になったのだ。
「うわ!ボールが変な方向に飛んでった?!」
「・・・・ぶへっ?!は、鼻に~~~~~!!!!」
だが赤羽の指導をもってしても夢見はドリブル中にボールがどこか見当違いの方向にバウンドし、日向にいたっては力加減を間違えて強くバウンドさせたボールが自分の顔面に直撃するという驚異の運営オンチっぷりを見せる始末で赤羽は頭を悩ませていた。
「う~~ん・・・これはドリブルは諦めてパスの練習だけにしよう!」
頭を悩ませたりんかが下した結論は、2人にはドリブルやシュートの練習はせずにパスの練習のみをするというものだった。
「ど、どうしてパスだけなの?」
赤羽の言葉にさちは問いかける。
「う~ん・・・これはあんまり言いたくないけど、2人の運動能力じゃあ皆の足を引っ張るだけだと思う。」
「「ぐふっ。」」
ぐうの音もでない正論にきららとさちのメンタルにダメージが入った。
「だからパスだけの練習をする。パスなら基本的に簡単だしパスは立ち止まって冷静にパスすることもできるから他の人に迷惑はあまりかからない、何よりドリブルやシュートは他の人に任せることができる。」
「な、なるほど。」
「・・・・・。」
りんかの説明にさちは納得した。しかしきららはそうでもない様子だった。
「きららは納得しない?」
「・・・・う、うん・・・。」
「・・・・・・カケルに自分がバスケできるところを見てほしいから?」
「うん・・・ってえええええ?!ち、違うよ?!!」
「図星じゃん。」
慌てているきららを見てりんかはまたため息をつく。
「な、何で分かったの?!」
「きららちゃん、顔に出やすいからねー。」
「ええ?!さ、さっちーにまで。」
さちにもツッコまれてきららは顔を真っ赤にする。
「うう・・・そ、それもあるけど、私、この学校に転校して皆と何かをするのは初めてなの。それに1回全力で頑張ったことを途中で投げ出したくないの!!!」
「・・・・・。」
「きららちゃん・・。」
だがきららの本気の表情に2人はいつの間にかきららの話を真剣に聞いていた。
「・・・・・で、1人で頑張るつもり?きらら1人でバスケのドリブルやシュートのやり方とか知ってるの?」
「うう・・・そ、それは・・・。」
しかしりんかの的確な指摘にきららは落ち込んでしまう。
「ハァ、仕方ない、付き合ってあげるかあ。」
「りんかちゃん・・・!」
「ただし!まずはパスができるようになってからね。シュートやドリブルの練習はそれから!」
「うん!」
しかし赤羽が練習に付き合ってあげることが分かると夢見は笑顔になった。
「さ、さちも頑張る!!!」
夢見の熱意に影響されるように日向も先ほどよりも真剣な表情を見せる。
「よし、やるか!言っとくけどアタシは厳しいよ~~!」
こうして3人はバスケットボールの練習をすることになった。
「・・・・・もうちょっと休憩してよ。」
それとは対照的に冬先は体力が戻ったにも関わらず休んでいた。
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