３０ 球技大会という強制参加な運動
お久しぶりです。
「行きなさい！キラービー！」
「ビ～～～～～～！！」
とある５月の日、バーラが巨大な蜂の姿をしたマイナスモンスターに突撃の命令をすると、「キラービー」と言われるマイナスモンスターは鋭い針をスマイルハピネスに襲いかかる。
「来るよ！２人とも避けて！！」
「うわっ！」「ひいっ？！」
「わわわ、い、痛そうキュ～～～！！」
オレンジがピンクとイエローに指示をすると、咄嗟のことだったためにオレンジ以外の２人はキラービーの攻撃をギリギリで避けると着地の姿勢を崩してそのまま地面にダイブした。
「はああっつ！」
攻撃を避けたオレンジがカウンターで反撃するためにキラービーに飛び蹴りで突っ込んでいく。
「甘いわ、分裂しなさいキラービー！」
「ビビビ～～～～～～！！」
しかし、オレンジの攻撃がキラービーに入る直前、キラービーは巨大な１匹の蜂から無数の小さな蜂に分裂した。
「キ、キラービーが小っちゃくてたくさんいるキュ？！」
「な？！」
突然のことに驚いたオレンジは攻撃をやめようと思ったが、既に飛び蹴りの態勢だったので空中でブレーキをかけることは不可能だったため、そのまま無数の小さなキラービーの群れの中へ突っ込んでいった。
「「「「「「「ビビ～～～」」」」」」」
キラービー達は攻撃を避けると着地した隙を狙って一斉にオレンジに向かって攻撃していく。
「え？ちょ、まっ・・・イタタタタタタタ？！」
オレンジは自分に向かってくる数え切れないほどの無数の小さな針を避けることができずにくらってしまい、逃げようと全速力で頭を抑えながら走るも、小さなキラービ達は想像以上に速くオレンジに針で攻撃しながら追いかけてきた。
「いった～～・・・。」
「速く逃げるキュ！針がたくさん追いかけてくるキュ！！」
「アルちゃん？・・・ん？あれって、オレンジ？」
そして着地に失敗したせいで一部始終を見れなかったピンクやイエローが立ち上がろうとすると、アルクが何か騒いでいるので何事かと思っているとオレンジが何か巨大な塊と無数の羽音と共にこちらに走ってくるのが見えた。
「助けて～～～～～～！！」
「「「「「「「ビビ～～」」」」」」」
「「～～～～～～～～～！！！」」
ピンクとイエローは無数の蜂がこちらに迫ってくるという状況を認識するやいなや、気が動転して声にならない叫び声を上げる。
「いたたたたた！」「キャアアアア？！」「イヤアアアア！来ないでえええ？！」
スマイルハピネスはキラービーから全速力で逃げている。
「オーッホホホ、いい気味ね！そのまま永遠に逃げ回ってなさい！！」
バーラはその様子を見て笑っていた。
そして今回のマイナスランドとスマイルハピネスの戦いを少し離れたところから観戦している者が２名いた。
「よし、今なら俺が飛びだしていけばスマイルハピネスを倒せるかもしれねえ。」
「いや、今行ってもウルが巻き添えくらうだけだろ。」
そう、一応この物語の主人公である冬先とウルフェンであった。
２名はスマイルハピネスとバーラが戦いを始めた時のエネルギーを感知してから家を出たので少し遅れてきたのである。
「リュウト、一見スマイルハピネスが負けそうに見えるんだが、こっからでもスマイルハピネスが勝つと思ってんのか？」
「スマハピが勝つね。」
ウルフェンはいつものように冬先にどちらが勝つか質問をすると、冬先は迷いなくスマイルハピネスが勝つと確信を持って即答した。
「即答かよ。どう見たってスマイルハピネス・・・・・スマハピの方が負けそうなのにどっからその自信はでてくんだよ。」
（ウルの奴、いちいち「スマイルハピネス」って言うのがめんどくさくなったな。）「まあ確かにスマハピが負けそうに見えるよな。それともあれか？ウルは俺がスマハピの味方でマイナスランドの敵だとでも思ってんのか？」
「いや、リュウトみたいなゴミ人間に限ってそんなことするとは思ってねえよ。」
「おい、そこまでハッキリ言うと清々しいなコノヤロー。」
２名はいつものように憎まれ口を言い合っていた。
「いたたたたた！！」「ひいいいいい？！」「うわああああん！さち、虫とかダメなのーーーー！！」
一方でキラービー達から全速力で叫びながら走るスマイルハピネスは、まるで地獄絵図のようだった。
「・・・本当にスマハピが勝つと思ってんのか？今にも負けそうだが？」
「勝つね。」
「どっからその自信はくるんだよ・・・。」
スマイルハピネスが絶体絶命のような状況に陥ってるにも関わらず、冬先はスマイルハピネスが勝つと自信満々に答えるのでウルフェンは少し呆れていた。
「・・・スマハピが正義のヒーローだからさ。」
「？」
「まあ、そろそろどっかで逆転するだろうから見とけって。」
冬先がそう言うと、偶然にも事態は動き出していた。
「イタタタタタ！！クッソ～～！こんな奴ら、アタシの力なら１発なのに～～！イタタタタタ！！！」
「キャアアアア・・・・・って！、オレンジ、このたくさんのマイナスモンスターを倒せるの？！」
「アタシのハピネスシュートならね！だけど、技を出そうとするとコイツ等に刺されるし！イタタタタタ！！」
オレンジは無数のキラービーに刺されながらも、逃げ回りながら必死にピンクと会話する。
「・・・・・分かった！私とイエローでマイナスモンスターの注意を引きつけるから、後はお願い！」
「？！だ、ダメだよ！そんな危険なこと！アタシが何とかするから！」
「でもオレンジなら何とか出来るんだよね？！大丈夫、信じて！！！」
「！！！、・・・う、うん！！！！」
ピンクの強い意志にオレンジは思わず力強い返事をする。
「イエロー！今から私と２人でマイナスモンスターの注意を引きつけるよ！！」
「うえええ？！さちは虫とかダメ！ムリムリムリムリムリ！！」
ピンクの作戦に必死に逃げ回りながらイエローは反対する。
「お願い！私も怖いけど、さっちーとならきっとやれる！！」
「うう・・・分かったよぅ・・。」
しかしピンクの必死なお願いに、イエローは半ば自暴自棄ぎみに承諾した。
「そうと決まったら！ハピネスショット！！」
「うう、もうどうにでもなれ！ハピネスサンダー！！」
ピンクとイエローの２人は必殺技を無数のキラービーの群れに向けて放った。
「「「ビビビ～～～～？！！！」」」
しかし、２人の必殺技は今回の戦いでは余り向いていなかった。ハピネスショットは約８発ほどのピンク色のエネルギー弾をショットガンのように撃つのだが、キラービーの群れには当たるものの、全ての無数のキラービー達を１度に全滅させることは不可能なのである。そしてイエローのハピネスサンダーも、空から降る雷はパワーこそあるものの広範囲に広がる技ではないため、ハピネスショットと同じくキラービー達の群れを１度に全滅させることはできないのである。
「「「「「ビ？！ビビビ・・・ビ！ビビビビ～～～～！！！」」」」」
しかし、流石に何発もくらえば倒されることには違いないので、身の危険を感じたキラービー達は２手に別れて敵のターゲットをピンクとイエローに絞った。
「～～～～～！！ヒイイイイイっ？！」
「うわああああん！やっぱり怖いよーーー！！！」
追ってきたキラービー達からピンクとイエローは必死に逃げる。
「オーホホホッ。何を考えているのか知らないけれど、やるだけ無駄なのよ。」
バーラは依然として高笑いをする。
「それはどうかな？！」
「・・・何ですって？」
しかしキラービー達のターゲットから外されてノーマークになったオレンジの言葉にバーラの高笑いは止まる。
「ふう・・・よし。２人とも！準備はできてるからいつでもいいよ！！」
「分かった！イエロー！！」
「ヒイイイイイ！！！」
オレンジの言葉に、バラバラに逃げ回っていたピンクとイエローはオレンジのところに向かって走っていく。
そして２人が並列に走ると同時に、２つの大きな集団だったキラービー達の群れも１つとなり２人を追いかける。
「よし！今だ！！」
それを見たオレンジが合図をすると、２人はそれぞれ左右に飛んでキラービー達の群れを避けた。
２人に避けられたキラービー達の群れは進路を修正して再び２人に突撃しようかとも考えたが、目の前にオレンジがいたので勢いに任せてオレンジに突撃しようとする。
「「「「「「「ビビビビ～～～～！！！」」」」」」
「ハァアアアッ！ハピネスシュート！！」
しかしオレンジは動じることなく、むしろ待ってましたと言わんばかりに気合いを入れると、オレンジの必殺技でもあるハピネスシュートをキラービーの群れに向かって放った。
「「「ビ？！ビビビビ～～～～！！！」」」
「やったー！さすがオレンジだキュ！！一発で決めてしまったキュ！！」
巨大な火の玉のようなハピネスシュートはキラービーの群れをまとめて倒すのは容易だった。そのままハピネスシュートはキラービーの群れを一掃した。
「そ、そんな？！くっ、覚えてなさい。次こそはアナタ達をマイナスエネルギーに染め上げてやるわ！！」
キラービーがやられるとバーラは分が悪いと判断し、その場を後にした。
「ふう・・・何とか勝てた。２人とも大丈・・・。」
「びえええええ～～～～っ！！」
「うわっ？！イエロー？！！」
「怖かったよ～～～～～！！」
オレンジはバーラがいなくなったのを確認した後、一息つこうとしたところにイエローがオレンジのところに飛び込み、そのまま泣きじゃくる。
「プッ、アハハ！そうだね。だけどさっちーのおかげで何とか勝てたよ。ありがとね。」
赤羽りんかは笑いながら日向さちの頭をなでる。
「なんで笑うの？！本当に怖かったんだから～～！」
「ゴメンゴメン。何か安心したら笑いたくなっちゃった。」
「ん～～～。」
日向は赤羽が笑っていることについて問うと、りんかは嬉しそうに謝るので釈然としない日向は顔を膨らました。
「お疲れ、りんかちゃん。」
「リンカ凄かったキュ！！」
そんなやり取りをしている内に、夢見きららとアルクが赤羽のところに向かってきた。
「そっちこそ、それよりさっきはゴメンね。マイナスモンスターを引きつける役目を押し付けちゃって。嫌いになちゃったでしょ、アタシのこと・・・。」
きららがやってくると、りんかは申し訳なさそうにきららがキラービーの群れを引きつける役目をしてくれたことに謝った。
「どうして？むしろりんかちゃんのおかげでマイナスランドから私たちの町を守れたじゃん！」
「そうだキュ。あの時のリンカかっこよかったキュ
！！」
「で、でも・・・。」
きららとアルクは赤羽を賞賛するが、赤羽はどこか負い目を感じていた。
「それに私、りんかちゃんなら何とかしてくれるって信じてたもん！」
「！！！、あ、ありがとう。」
赤羽は何か言おうとしたが、きららの眩しい笑顔に思わず「ありがとう」と言ってしまった。だがその表情はどこかスッキリとしていた。
「・・・バ、バカな・・・・・。」
一方でスマイルハピネスの様子を遠くから見ていたウルフェンは開いた口が塞がらなかった。
「ま、こんなもんだろ。帰ろうぜウル。」
ウルフェンとは対照的に同じように様子を見ていた冬先は、まるでスマイルハピネスが逆転勝ちするのは当然だと言わんばかりに冷静だった。
「ま、待ってくれリュウト！」
そしてそのまま帰ろうとする冬先はをウルフェンは呼び止めた。
「何だよ。」
「い、いや・・・・・リュウトは本気でマイナスランドじゃスマイルハピネスに勝てると思ってねえのか？」
「無理だね。絶対勝てねえよ。」
ウルフェンの問いに冬先は即答した。
「じゃ、じゃあよ、リュウトはなんか考えとかねえのかよ、お前のその悪魔みてえな考えでよ。」
「無理だろ、仮に俺がマイナスランドに協力したところでモブ程度の実力しかねえ俺がスマイルハピネスには勝てねえよ。・・・つーか悪魔みてえな考えってなんだよ。」
「ほら、前にリュウトと一緒にマイナスエネルギーを集めた時によ、たしか「ヤオヤ」の野菜の店でだ。そん時のリュウトの作戦はずる賢くてかなり恐ろしかったけどよ、今なら役に立つかもしれねえだろ？」
「恐ろしかったって・・・別に普通に思いつくだろ。だとしてもだ、俺がどんなに頑張って作戦を考えてもどーせスマハピが「私たちのハッピーは負けない」とか言ってゴリ押しで勝つよどうせ。」
冬先は特に声色を真似する気もなくピンクの言葉を一部真似しながら否定した。
「ケッ、そうかい。・・・やっぱ俺が今の状態で強くなるしかねえか。」
ウルフェンは冬先が協力することはないと知っていたのか、すんなりと引き下がると何か決心がついたのか「自己を強くする」という決意を言葉にした。
「なんだよ、特訓でもするのか？」
「それを今考えてる最中だよ、まあ一番手っ取り早いのはマイナスエネルギーを取り込むことだけどな。」
「ふ～ん・・・・・は？いやいや、マイナスエネルギーなら俺が今ダークネスハートで集めているからそれをウルが取り込めばよくね？！」
ウルフェンの悩みに冬先は思わずノリツッコミをしてしまう。なぜならウルフェンの強くなる方法がマイナスエネルギーを自分に取り込むことならば、そのチャンスはかなりあったし、それどころか今冬先は自分が微量に発しているマイナスエネルギーをダークネスハートに集めているので、ウルフェンを強化するのは容易だと冬先は思ったからだ。
「それはできねえよ。それはジェンダーさんに渡すためのモンだ。」
「いやいや、戦力強化のためなら大丈夫だろ。」
「だとしてもだ、それはマイナスランドに必要なモンだ。」
「そんなに大事なのか？」
「さあな、だが俺たちが集めているマイナスエネルギーはキングサタン様を復活させるのに使われているって話だ。」
「そのキングサタンさえ復活すればスマイルハピネスに勝てるのか？」
冬先はウルフェンが自分の強化を無視してまで復活させようとするキングサタンについて質問する。
「俺も詳しいことはよく知らねえが、三幹部もキングサタン様を復活させるためにマイナスエネルギーを集めてるからよほどのことなんだろうよ。」
「へ～～。」
冬先は少し胸の中で何か引っかかるような感じがしたが、自分なりに勝手に納得するとすぐに興味を失った。
「興味とかねえだろ。どうせ明日の学校をどうやってサボるかしか考えてねえだろ。」
ウルフェンはそんな冬先の心をまるで通じ合ってるかのように間違いなく言い当てる。
「当たり前だろ、俺の人生はダラダラと楽に生きるのがモットーだからな。まあだからって明日の学校もいつも通りの・・・・・。」
先ほどまで気楽に話していた冬先の顔がみるみる青ざめていく。
「？、どうしたんだ？」
「・・・近いうちに球技大会が始まる。」
「キュウギタイカイ？何だそれは？」
「ああ・・・めんどくせえ。」
ウルフェンの言葉が聞こえていないのか冬先は気づかづに重い足どりで歩いていった。
ちょっと色々ありまして、書ける余裕がなかったんですけど、また頑張って再開します。何だかんだこの作品を読んでくれる人、恐れ多くもこの作品を待ち望んでいたかたには申し訳ございませんでした。
・・・・・・はい、じゃあこっからは普通に頑張ります。
