23 異世界転生される奴って、人生勝ち組じゃなかったっけ?
注意、今回は戦闘しません
「おい、リュウト起きろ!!大変なことになってんぞ!」
5月のある日の朝、ウルフェンがベットで寝ている冬先
を叫び起こす。
「?!どうした、何があった?!」
冬先は慌てて目を覚ます。
「今、10時だぞ、学校に行く時間とっくに過ぎてるぜ。」
「・・・・なんだそんなことか、ハァ・・・おやすみ。」
ウルフェンが警告するも、何も問題はないかのように冬先はまたベットで寝始める。
「ハァってリュウト、お前はいいかもしれんが、リュウトの母ちゃんが心配すんだろ。」
「いいの、今日は休日だから。」
「はあ?!何を言ってんだよ、今日は平日だろ?」
冬先の言葉にウルフェンは戸惑う。ウルフェンの考えでは今日は水曜日、いつも通りなら冬先が学校に行く日、つまるところ平日、決して土曜日や日曜日といった休日ではないのだ。
にもかかわらず、冬先は休日のような振る舞いにウルフェンはリュウトの頭がおかしくなったのかと思った。
「ん?・・・ああそうか、もしかして、魔界にはゴールデンウィークなんてのはないのか。」
「・・・・・・?」
「ゴールデンウィークってのはな・・。」
「いや、違う、そうじゃねえ。」
冬先がゴールデンウィークの説明をしようとすると、ウルフェンが待ったをかける。
「なんだよ?」
「いや、ゴールデンウィークも分かんねえんだが、・・・魔界ってなんだ?」
「・・・・・。」
違和感。そう、今まさに冬先の頭の中を表現するとしたら「違和感」だった。
その違和感がなにかと言えば、ウルフェンが魔界の存在を忘れていることだろう。確かにそれはおかしい、変だ。
ただそれ以上に「何か」がおかしかった。「何か」が何のことかは分からないが、一瞬、全身に悪寒が走ったのを冬先は実感した。何かがおかしいと。
「魔界って・・あれだよ・・・ウルが住んでたところ・・・・。」
「は?俺が今まで住んでたところはマイナスランドだが?」
「・・・・・ああ、うん、そうだったな。」
「なんだ?寝すぎて頭がおかしくなったのか?}
「く、何も言い返せないのが、腹立つわあ。」
だが次の瞬間、冬先の頭の中から「違和感」は消えていた。
(くっそう、何言ってんだ俺は、ウルはマイナスランドにいたんじゃねえか。寝すぎで頭がおかしくなったか?)
「それよりリュウト、「ゴールデンウィーク」ってなんだよ?」
「簡単に言うとだな、今日から1週間くらい休日になるってことだ。」
「な・・・・!」
冬先の説明にウルフェンは呆気にとられている。
「俺みたいに日常を頑張っている人達へのご褒美ってところだな。」
「バカな・・!いつも家でダラダラする人間の恥のような男をさらにダラダラさせるとは・・!人間界はバカなのか?!」
ウルフェンは驚愕した。
「おい、人間界をバカにしているように聞こえるが、俺のことをバカにしてるなお前?」
「当たり前だ、そんなに暇なら、外に出てマイナスエネルギーを集めるのを手伝えよ。」
「嫌だよめんどくせえ?!こちとらもう、マイナスエネルギーでマイナスモンスターなんか作りたくねえんだよ?!」
冬先は外に出るのを心底いやがっている。
「どっちにしろ、外に出ねえじゃねえかよ。」
「当たり前だ、俺は家でダラダラ過ごすのが好きなんだよ・・・・・・なあ、俺、さっき変なこと言わなかった?」
何気ない会話、何気ない日常のはずが冬先には何かひどく気持ち悪く感じた。
「あ?家でダラダラ過ごすのは変に決まってんだろ。やっと気づいたか。」
「フ、いつもの俺だったらウルをぶっ飛ばしているところだったが、今日の俺はゴールデンウィークで気分がいい。てなわけで、おやすみ。」
「結局てめえがさっさと寝たいだけだろ。」
きっとこの気持ち悪さも何かの間違いだろうと思い、再び冬先が2度寝しようとした時だった、
「りゅうと!まだ寝てるの?!!」
冬先の母が大声でドアを開けて入ってきた。
「ハイ!起きております!!」
冬先は反射的に返事する。
「そう、ならいいけど?本当、目を離すとすーぐに2度寝とかするんだから。」
「いえ、本日はまだしておりません!故に、俺は今から2度寝します。おやすみなさい。」
「あらそう、おやすみ・・・ってなるかあ!」
冬先の母は一瞬だけ部屋から出ようとしたが、すぐさま違和感に気づき、リュウトに怒り始める。
「チッ、ダメか。」
冬先は母から逃げれなかったことを、悔しそうにしながら舌打ちする。
「当たり前でしょ?!ただでさえ家でダラダラ過ごしているアンタが、ゴールデンウィークのせいで更にダラダラ人間になるのよ?!まったく、人間はなんてものをこの子に与えてしまったのかしら。」
母はリュウトがゴールデンウィークのせいで、更に堕落していくことに嘆いていた。
「へいへい、悪うございましたね、出来損ないの息子で。」
リュウトは表面状の言葉では謝っているように聞こえるが、態度は「適当」そのもので、全く反省してるようには見えなかった。
「はぁ、そこまで言ってないでしょ。いい?ウルちゃん。今後りゅうとが遅くまで寝ていたら、私の代わりに起こしてね。なんなら噛みついて起こしてやって。」
「ワン!ワン!」
母の指示にウルフェンは嬉しそうに答える。
「おい、ちょっと待て。何で俺とウルの間でそんなに態度が違うの?俺一応あなたの息子なんだけど。」
リュウトは母が自分とウルフェンに対する態度の違いに不満を漏らす。
「当たり前でしょ?りゅうとは寝てたりゲームしてたりするだけで気づいてないかもしれないけど、ウルはちゃんと家の手伝いとかしてくれてるのよ。」
「ワオーン。」
「よ~しよし、いい子ねえ。」
母がそう言いながらウルフェンの頭をなでていると、ウルフェンは嬉しそうにしていた。
「俺も一応やってるんだけど・・。」
「りゅうとは言わなきゃやってくんないでしょ?アンタと違ってウルは自分からやってくれるのよ。」
「そーですか、まあいいや。俺は遅めの朝ごはんでも食べてるよ。」
「そうそう、そのことでちょうど話があるのよ。」
興味なさそうに、冬先はその場を立ち去るために立ち上がろうとしたが、母に止められ一旦その場にとどまり話を聞くことにした。
「何?」
「これ。」
そう言うと、母は1枚のチラシを冬先に渡した。
「チラシ?・・・家族で食べる流しそうめんパーティー?」
「今日は子供の日でしょ?それにちなんで、近くの山の方で子供連れ限定の流しそうめんが無料で食べ放題なのよ!」
「えええ・・・・ここ最近、野菜ばっか食ってんのにそうめんって・・・質素すぎませんかねえ。」
「文句言わないの、それじゃ直ぐにでも出かけるから、りゅうとも速く準備とか済ませておきなさいよ。」
そう言い終わると、母は部屋から出ていった。
「はあ、めんどくさ。」
「いいじゃねえか、いつも家でダラダラしてるリュウトにとっちゃ、外に出るいい機会だ。」
「うっせ、ほっとけや。つーかウルって、いつの間に母さんに手なずけられてたんだよ。さっきの様子だって完璧に犬だったろ。」
「な?!ち、違うぞ!あれは怪しまれないようにしているだけでだな!!け、決して喜んでなんかいないぞ?!」
尻尾を激しく振りながら、ウルフェンは先ほど自分がリュウトの母になついていた様子を演技だと言う。
(めちゃくちゃ尻尾ふりまくってる奴のセリフじゃねえだろ・・・・はあ、行きたくないなあ。)
冬先はめんどくさそうに出かける準備をした。
「ん~~~、いい空気ねえ。来て今日は天気もいいし、絶好の流しそうめん日和ね、お父さん。」
「そうだね、お母さん。心が洗われるようだよ、りゅうともそう思うだろ?」
「ハイハイ、ソウデスネ。」
あれから出かける準備を済ませた冬先は父と母、それにウルフェンと一緒に流しそうめんパーティーが開かれる会場の山に来ていた。
「なんだ、楽しくないのか?りゅうとは覚えていないかもしれないけどな、お前が生まれて、まだ1歳くらいの頃はな、いきなり立ち上がったかと思えば、凄く外に行きたそうに窓の方をずっと眺めていたんだぞ?」
「そうね、あの頃はまだ可愛いかったわあ・・・それに比べて今のりゅうとときたら、どうしてこうなっちゃったのかしら。」
りゅうとの父と母は懐かしそうに、りゅうとが赤ん坊だった頃の思い出に浸る。
「ふ~ん、とりあえず、速く行こうぜ。そろそろ始まる頃だろ。」
「なんだ、りゅうとも流しそうめん食べたいの?」
「違うよ、速く食べてとっとと帰ろうってこと。」
まるで自分が小さかった時のことなど覚えていないかのように立ち振る舞っている冬先だが、噓である。
この男、アニメの世界に転生されて1歳の時に前世の記憶の半分くらいは思い出しているので、意識も言葉もしっかりとしていたのだ。
(「覚えていないかもしれない」だって?ああ、覚えているさ、覚えているとも!つーか忘れたかったわ、あんな記憶!!あの時は自分が異世界転生するなんて思ってなかったから、柄にもなくはしゃいじまった。だが!特にこれといって変わったところはなく、だらだらと14年が経ち、これって異世界転生ではなく生まれ変わりでは?と思ったなあ。まあ、生まれ変わりはないだろうなあって思ったのは10歳くらいの時だけど、この世界の人は皆、前世の人より甘くて優しすぎる。・・・・これ以上、自分の黒歴史に関することは考えたくないな、忘れよう。)
りゅうとは苦虫を嚙み潰したような顔をしながら、流しそうめんパーティーの会場に急ぎ足で歩いていく。
「は~~い、それではこれより第1回、流しそうめんパーティーを始めま~~~す!!!」
開始の合図と共に、流しそうめんパーティーが始まった。
このパーティーの概要は、山の斜面を利用したもので、とても長い竹の器に水とそうめんを流す、この設備が3セットもあるので結構大規模なイベントとなっている。
「結構人がいるもんだな・・・もぐもぐ。」
「そうだな、人間ってのは皆「ソウメン」って食べ物が好きなのか?」
予想以上の人だかりに、ウルフェンとりゅうとは少し面食らった。
「どうだろうな・・・もぐもぐ、そうめんって・・もぐもぐ・・あんま味しねえからなあ・・もぐもぐ、うまくもなけりゃまずくもないかな・・もぐもぐ。」
「リュウト、意外とそうめん食ってるよな。お前、最初は行く気すら無かったじゃねえか。つーか喋りながら食ってんじゃねえよ!聞き取りづらいんだよ!!」
りゅうとは流しそうめんを食べながら説明しているため、言葉の歯切れが悪かった。
「悪い悪い。まあ俺も行く気は無かったけど、せっかく来たんだ。少しは楽しまなきゃ、俺のせっかくの休日が無駄になっちまう。」
そう言うと、りゅうとは一杯のお椀に流しそうめんを入れる。
「そうかよ。というか、俺にも「ソウメン」ってやつを食わしてくれよ!どんな味がすんのか確かめてえ!!」
ウルフェンは流しそうめんを興味深々な顔で見る。
「ああ、いいぜ。あと余り大きい声はだすなよ、ばれると面倒だから。ってかウルって、そうめん食べれたのか。・・・いや待て、今思い出したけどウルって食い物とか食わなくても生きていけれたよな?」
「そうだ、マイナスランドの者はマイナスエネルギーで生きているからな。そんなことよりよ、速く「ソウメン」とやらを食わしてくれよ、リュウト!」
ウルフェンは今か今かと待ちきれないのか、無意識に座って舌を出している。その姿はまるで、
(まるで、ご主人に餌を求める犬のペットだよなあ。「お手」とか「待て」とかやったら従ってくれそう・・・後で噛まれそうだから止めとくか。)
りゅうとの悪だくみは実行されることはなく、そうめんはウルフェンの口の中に入っていく。
「もぐもぐ・・・ん?!これは・・・確かに味はあんまりしねえが、この食感は初めてだ!なんていうんだ?「みずみずしい」っていうのか?やっぱ人間の食い物は、いつも俺を驚かしてくれる!!」
ウルフェンは満足そうに、そうめんを味わっている。
(本当に何でも食うな・・・いつもはウルの飯って、1部の野菜や肉をわざわざ親が作ってくれてたけど、これならいつもの晩ご飯をウルの分も作れば親に2度手間させなくて済むな。・・・・・いや、大丈夫か?流石に何でも食べる犬ってのは疑われるよな・・・・・うちの親なら大丈夫だな。なんせ今まで詐欺に会わなかったのが奇跡レベルの善人だもんな。)
「おーい、りゅうと!ちゃんとそうめん食べてるかーい?
りゅうとが父と母について考えてると、ちょうど少し上の方で離れたところから流しそうめんを食べていた父と母が、りゅうとの元へやって来る。
「食べてるよ。むしろ父さんと母さんはちゃんと食べてんのかよ?」
「当たり前でしょ?今日のお昼ご飯はそうめんしかないんだから。でも、ここは下の方だから、あまりそうめんは流れてこないわね。」
そう言うと冬先の母は少し寂しそうに上の方を見る。この流しそうめんパーティーは、とても長い竹を一直線にして、そこに水とそうめんを流しているのだが、そうなると決まって上の方にいる人達がそうめんを取りやすくなる。
冬先一家は流しそうめんのコースで言えば、そうめんが流れ終わる方の近くにいるため、流れてくるそうめんは必然的に上の方で余ったそうめんとなるのだ。
「しょうがないだろ、早い者勝ちなんだから。それよりも俺は、この日のために早めに場所取りしてた人の考えが分からんな、俺たちだってパーティーが始まる10分前にはいたのに、その時にはもう取れる場所が下の方しかなかったぐらい、人でいっぱいだったからな。」
りゅうとはそう言いながら上の方を見る。遠くにいるので詳しい様子は分からないが、楽しそうにしているのは分かった。
対照的に冬先一家がいる下の方は活気が少ししかない。
「ねえママ~~、もっとそうめんが食べたいよ~~~。」
下の方で子供の声が聞こえる。声のする方では、どこかの家族の5歳くらいの子供が母親のそうめんをねだっている。
「そんなこと言ったって、そうめんが流れていないんだから我慢しなさい・・・。」
だが母親の手元にはそうめんが無いため、子供に我慢を強要させるしかない様子だ。
「可哀想・・私、あのお子さんに私の分のそうめんをあげてくるわ。」
「そんな!それじゃママの分が減っちゃうだろ?あのお子さんには僕の分のそうめんをあげておくから、ママは食べてていいよ。」
「私なら大丈夫よ。むしろパパは今までの仕事の疲れがたまってるでしょうから、パパが食べなさいよ。」
子供の様子を見かねた冬先の父と母が子供にそうめんを譲ろうとするが、お互いどちらがそうめんを子供に譲るかで一歩も退かず、話が進まない。
「ハァ・・・ごちそうさま。」
すると冬先の父と母の様子を見たりゅうとは「ごちそうさま」と言うと、その場を立ち去ちさろうとする。
「え、もういいのかい?まだ始まって15分くらいだぞ?」
りゅうとの行動に父は困惑する。
「いいよ、あんま腹減ってなかったし。だから勢いでよそっちゃった、このそうめんはいらないから、2人にあげるわ。あと、ウルもそうめん食いたいらしいから、後でそうめんが流れたら少し分けてやってくれ、それじゃ俺はそこら辺を散歩してくるわ。」
言いたいことだけ言い終わった後、りゅうとはその場を立ち去った。
「どうしたんだ?子供にそうめんをわけたいなら、自分がやればいいのに、どうしてパパやママに頼るんだ?」
父はりゅうとの行動が理解できなかった。りゅうとが自ら犠牲になることで、りゅうとがこれから食べるであろう、そうめんの分が先ほどの子供の元にいくことは分かる。
だがそれならば、わざわざ回りくどく、しかも分かりづらい言い方をしなくても直接的に言えば効率的であり、むしろりゅうとが自分から子供にそうめんを分ければ「感謝」されるであろうというのに、その「感謝」を拒否しているのが父には理解できない。
「そうね、しょうがない子ね。」
母も、やれやれといった感じだが父とは違って、理解できずに困惑しているようには見えず、逆に理解しているからこそ困惑しているように見える。
「!、ママにはりゅうとの考えが分かるのかい?!」
「ううん、私にもりゅうとの考えは分からないわ。ただなんて言うのかしら、あの子はひねくれているカッコつけって言うのかしら、とにかく分からない子なのよ。」
「う~ん?・・パパにも分からないなあ。誰に似たんだろうね?」
「そうね。・・・私、時々りゅうとのことが私たちの子供じゃないって思う時があるのよ。」
「?!な、何を言ってんだいママ?りゅうとは僕たちの子供じゃないか。ママは覚えていないのかい?りゅうとが生まれた日に家族3人で大泣きしたことを・・・?!」
母の発言に父はかつてない表情になる。
「もちろん覚えてるわ。・・・私、たまにママ友と話す時があるんだけど、子供の苦労話を聞く時にね?あの子のああいうところが大変だとか、微笑ましいとかで盛り上がるんだけど・・・決まって皆、「そこは父親ゆずりだ」とか「母親ゆずり」って言うのよ。だけど、私にはあの子性格がどちらに似ているのか分からない時があるの。」
「それは・・・・・。」
母の言葉を聞いて、父は強く否定したかった・・・否定したかったのに言葉が出なかった。父にも思うところがあったのかは、本人意外には分からない。
「でもね、なんであれりゅうとは私たちの息子よ、それは変わらないわ。それにあの子は根はとても優しいのよ。・・・自慢できるかって言うと、悩みどころだけど、それでも誇れる息子に違いないわ。」
「!!!!・・・ああ、そうだね。」
しかし母の上を向いている顔に目が覚めたかのように、父もいつも通りの穏やかな表情に戻る。
「・・・・・。」
そんな親の会話をウルフェンは黙って聞いていた。
そして親の会話が聞こえないほど離れたところで散歩している冬先は、物思いにふけていた。
(父さん、母さん、か・・・・・。俺には前世の記憶がある。だから「俺」はきっと違う親の下で生まれたんだろう。だけど今の俺は記憶があやふやで前世の親がどんな人だったか、あまり覚えちゃいない。だけど、今の俺の性格や生き様は、前世の俺だということはハッキリ分かる。だからこそ、この異世界転生のシステムが俺に罪悪感を植え付ける。「俺」という意識が目覚めたのは1歳くらいだったと聞いている。なら、それ以前の記憶は誰の記憶だ?0歳だから余り記憶力が無かった?違う、そんなんだったら1歳の赤ん坊が急に喋れるようになるほどの記憶力になるか?それはない。もし・・もしも、俺の仮設が正しければ・・・「俺の魂」は何らかの形で異世界転生されて、まだ1歳だった「冬先りゅうと」の体に乗り移った。要は、俺がこれから平穏に生きていったであろう、冬先りゅうとを殺し、それどころか冬先りゅうとの未来すら、俺が奪ったということになる。・・・・・クソ、誰だよ異世界転生なんて人殺しのシステムを考えた奴は。ロクな奴じゃねえ。)
今日は快晴である。人々を明るくするには、うってつけの天気だが彼の心は晴れなかった。
「・・・・・?!」
その瞬間だった。冬先は確かに感じた。何故?と言われても説明ができない。ただ「来た」という感じだ。
「この感じ・・・マイナスモンスターか。」
マイナスモンスターが、この流しそうめんパーティーのどこかに現れたのだ。
次はちゃんと戦います(冬先が戦うとは言わない)
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