22 因果応報、そして定められた物語の歯車にもっと「ひび」が入った
投稿ペースを上げようとしたら、少ししか上げれなかったことにお詫び申し上げます。
「お~~~よく来てくれた、助けに来てくれて嬉しいぜ~~?」
ウルフェンはとても素晴らしい笑顔で冬先を迎える。
「ハッハッハッそうかそうか、それはよかった。・・・でも気を付けろよ~~、今日の俺は調子が悪いからウルごと斬っちゃうかもしれんからな~~~ハッハッハッ。」
そして冬先も素晴らしい笑顔で答える。
「奇遇だなあ、俺も今日は調子が悪いからお前ごと噛みちぎっちまうぜ~~。気ぃつけろ~~。」
2名はとても良い笑顔をしているが2名の間にはどこかトゲトゲしいものがあった。
「・・・なに?アンタ達って仲が悪いの?」
「当たり前だ!!!こんなクズ野郎のどこが仲間だ!俺のこと直ぐに見捨てやがって!!少しでも信頼した俺がバカだったぜ!!!」
「ああ?!元はと言えば、お前が無能なせいでこうなったんだろうが!!」
そんなトゲトゲしさを感じたオレンジが2名の仲を質問すると、予想通りに冬先とウルフェンはいがみ合った。
「ほう、どうやら先にこのクズ野郎から倒す必要があるらしいな。」
「いいぜ?やってみろよこの犬っころ。」
冬先とウルフェンはオレンジのことなど視界に入ってる様子がなく、敵を目の前にしながら何故か味方同士で睨み合っている。
「あんたら味方同士なんじゃないの・・・っていけない、アイツらペースに乗せられてる場合じゃない。・・オイ!そこの変なお面をつけているアンタ!さっきアタシと同じくらいの男子が逃げていただろ、ソイツはどうなったんだ!!」
冬先とウルフェンの睨み合いに毒気を抜かれたオレンジだったが、すぐに気を取り直すとさっきまでウルフェンから逃げていた冬先の安否を目の前にいる冬先に尋ねた。
「?・・・ああ、あの男ね。さあ、どうしたっけ、なあ?」
冬先の相手を煽るような声に、オレンジは目の前にいる敵がお面で表情が見えなかったが、きっと悪い顔になっているに違いないと直感した。
「・・・うわぁ性格クズ野郎だなてめえ、引くわあ。」
「悪役に言われたくはねえよ?!」
ウルフェンは事情を知っているためか、冬先に対してドン引きであった。
「なんてヤツ・・とりあえず、アンタから先に蹴っ飛ばす!!」
一方で怒りに燃えていたオレンジは冬先に目がけてまっすぐに突っ走る。
「え?、ちょ、まっ・・!」
「待たない!!」
冬先が突然のことに驚き制止しようとするも、オレンジはお構いなしに冬先の顔面に向かって飛び蹴りを入れる。
「あっっぶねえええええ!」
「まだまだああ!」
「は?!ふざけ・・おわああっ!!」
「はああああっ!」
間一髪で冬先がオレンジの飛び蹴りを避けるも、反撃する暇も与えずにオレンジの怒涛の攻撃が冬先に降り注ぐ。
「ぐっ・・・、ハアッハアッハアッ・・・おいウル!」
「おう、頑張れ~。」
(あの犬っころ・・・!!)
息を切らしながらも必死に逃げる冬先はウルフェンに助けを求めようとするも、ウルフェンは助ける様子もなく、観戦を決め込んでいた。
「はあっ!」
「!、ガッ・・・!!!」
そして体力が落ちてきた冬先に、オレンジの容赦ないパンチが冬先の体をぶっ飛ばし建物の壁にめり込んでいく。
「全く、コソコソ逃げ回るのもこれで勘弁することね。」
「・・・・っ?!」(ハッ・・え?何だ?痛みはないけど頭がクラクラする。・・・ああ、やばいな、あいつが何か言いながら歩いてくるけど何を言ってんのか分かんねえな・・ただ、あいつが躊躇なく俺を殺そうとするってのは分かる!!やばい、ヤバイヤバイ「殺される」!!・・・ナンデ?なんで殺されなきゃいけねーんだ?)
朦朧とする意識の中、冬先が顔を上げるとオレンジが喋りながら歩いてくるが、冬先には何を言ってるのか聞こえなかった。
ただ1つだけ分かることがある、それは自分に対して「死」が迫ってきているということが冬先の肌が察知していた。
「これで!・・・・!!」
オレンジが冬先にとどめをしようとすると、鋭利な爪がオレンジの背後に襲いかかったが、危険を察知したオレンジは素早く避ける。
「チッ、やっぱり避けやがったか・・・。」
「フンッ、そうやって何回も同じ事をしたって、やられるようなアタシじゃないよ!!」
攻撃したのはウルフェンであった。ウルフェンはオレンジが自分の攻撃を避けたことに悪態はつくものの、特に悔しがる様子はなく、むしろ自分の攻撃が避けられるのは当たり前だと言わんばかりの落ち着きぶりであった。
「ハッ、俺と今はそこの壁で寝ぼけている奴が一斉に攻撃すれば、いくらスマイルハピネスでも1人じゃキツイだろ。」
「アンタら仲が悪かったんじゃないの?」
「あ?悪いに決まってんだろ。」
「え~~・・・はぁ、だとしても、アタシはあんた達に負けるつもりは・・・。」
そしてウルフェンが軽い脅しを入れ、オレンジがそれにビビることもなく2名が相対しようとした時だった。
「・・・ハハハ。」
突然どこからか笑い声が聞こえてきた。
「なに?」
オレンジが笑い声のする方を見ると、そこにはヨロヨロと立ち上がりながら笑う冬先の姿があった。
「ハ、ハハハ、アハハハハハハハハ!!」
段々と笑い声が大きくなっていく。
「な、何がおかしい?!」
「うるせえ!俺はお前に怒ってんだ、少し黙ってろ!!!」
オレンジが質問すると、何故か冬先は先ほどまで「笑って」いたのに「怒っている」と言いオレンジに対して怒鳴った。
「・・・・。」
最初オレンジは冬先に理由が分からないまま怒られたことで、言い返そうかと思った。
だが気づけば、自分の言葉が思うように出せずに困惑している。何故?、と思ったが分からずにいた。
そんなことはお構いなしに冬先は喋り始める。
「だってよー、ハハ、おかしいだろ?!こっちは結構大変な状況で命がけになってんだぜ?!それなのに魔法少女様ときたら命がけじゃねえのに簡単に俺たちを殺せる、ハハ、不公平だろこんなの!!大体さあ?俺はちょっと悪ふざけしただけなのになんで殺されなきゃいけねえんだよ?!俺そんなに悪いことしてたかなあ?!アハハハハハハハ?!」
言葉だけでいえば、怒っているように思える。だが冬先は笑いながらそのセリフを明るく話す。
「な、なんなのよ、アンタ・・・。」
オレンジは自分が何故あの奇妙なお面をつけている、あのマイナスランドの刺客に対して何も言い返せなかったのかが分かった。
それは「恐怖」を感じていたからだ。笑いながら怒る、狂いに狂ったような表情の見えない敵が怖くなったからだ。
今、自分はなにかヤバイ者と戦っているのではないか?、とオレンジは少しだけ身震いする。
(・・・・リュウトの奴、怒りすぎで頭がバカになってんな。)
しかし、冬先の性格をある程度は知っているウルフェンからすれば、冬先の狂人的な行動に納得するし、なんなら引いていた。
「ハハハハハ・・・・はぁ、スッキリしたあ。人間、恐怖に追い込まれると笑うらしいんだわ、何でだろうな?」
「「・・・・・。」」
そして、笑い終えた冬先は、急に元のテンションに戻り始める。
そんな「奇妙」とも言える冬先の状態に2名は、お互いが抱いている感情はさておき、何も言えずに沈黙のみが続いていた。
「まあ、多分、恐怖に勝つために笑うんだろうな・・・おい、俺がコイツの注意を引きつけている間にウルは残りのスマイルハピネスをバケモノ野菜と協力して倒せ。」
「な?!」
だが、オレンジの沈黙は冬先がウルへの指示によって破れることになった。
「は?!」
それはウルフェンも例外ではなかったのだが、今のウルフェンにとっては先ほどの冬先の発言が信じられなかった。
(ありえねえ、あのリュウトが?!自分の危険は他の奴になすりつけるような、ありえねえ!!そもそも、俺とリュウトが目の前にいるスマイルハピネスを振り切れるわけが・・・・なるほどな、そういうことか・・・。)
最初は冬先の言動に戸惑っていたウルフェンだったが、冬先の思惑を悟ると、途端に冷静さを取り戻す。
だが、気づいた時にはもう遅かったと言うべきか、ウルフェンの目の前にはこちらに対して身構えているオレンジがいた。
「アンタを2人のところへは行かせない!!」
そう、オレンジは元々、逃げる人々を追いかけている風に見えたウルフェンを追ってきたのだ。(ウルフェンが本当に追いかけていたのは冬先のみ。)
そんなウルフェンをここで逃がして、2人を危険にするわけにはいかないと考えたオレンジは、ウルフェンを逃がさないように身構える。
しかし、オレンジは1つ思い違いをしている。
それは冬先ごときではオレンジを止められない。更に言ってしまえば冬先とウルフェンが協力したところで、1人のスマイルハピネスには遠く及ばないのである。
これは以前、全力を出してなお勝てなかった冬先とウルフェンのみが分かる弱者の理論だが、強者であるオレンジからしたら冬先とウルフェンは未だ未知数の敵である。
だがこれはオレンジの問題であってウルフェンの問題ではないのだ。
ウルフェンからすればオレンジと戦うつもりはなく、むしろ隙を見て逃げようとさえしているのだ。
今のウルフェンにとっては敵のターゲットが冬先からウルフェンに変わったということである。
(あの野郎、スマイルオレンジの注意をリュウトから俺に変えやがった。いや、戦う覚悟はあるんだが・・・一応リュウトを庇うつもりではいたが・・・・よし、あのクズ野郎が俺を見捨てて逃げたら、食ってやろう。)
ウルフェンの中に静かなる殺意が宿った。
「はあっ!」
「!、チッ、考える暇もねえのかよ。」
ウルフェンの思いとは関係なく、オレンジの飛び蹴りやパンチなどが次々とウルフェンに襲いかかり、ウルフェンはそれをギリギリで避ける。
「ハッ!」
「ガッ・・・!、グワウッ!!」
「クっ!!」
そしてオレンジの攻撃がウルフェンに入るも、負けじとウルフェンも反撃した。
「ハァ、ハァ・・チッ、分かっちゃいたが、強すぎるだろ。」
「このままじゃ、キリがない・・なら!」
「な?!」
突然オレンジの上空から太陽のように燃えるエネルギーのボールができ始めると、オレンジはそれに向かって高くジャンプする。
それは炎のボールをすごい蹴りで繰り出されるオレンジの必殺技、「ハピネスシュート」である。
「ハァアアアア!ハピネス・・・!、うわあ!!!」
だがオレンジが必殺技を繰りだそうとした、その時だった!刃の無い切れない刀がオレンジに向かって、凄い勢いで飛んできた。
空中にいながらも、なんとか間一髪のところで避けられたオレンジだったが、姿勢を崩し、そのまま落下。とても大きな音を出す尻餅を出す羽目になった。
「チッ、あの状況でも避けるとか、どんなバケモノだよ。」
「いったあああ~、ちょっと、アンタ一体なんのつもりよ!!」
「なんのつもり?そらお前、隙があったから、遠慮なく横槍を入れただけですが?え?何?そもそも攻撃されないとでも思ったの?うわ~あんな隙だらけの攻撃でよくもまあ攻撃されないと思ったなあ~、身体能力もゴリラ並なのに頭までゴリラになっちゃったのかな~?」
気づけばウルフェンの横に立っていた冬先は、オレンジに向かってネチネチと煽り口調で話しかけていた。
「な?!こんのぉ・・。」
「お?いいのか?俺なんかに構っちゃって、その間にウルが残りの2人を倒しにいっちゃうよ?」
「く、卑怯だぞ!」
オレンジは冬先に攻撃しようとするも、冬先の言葉に惑わされ、なんとか言い返してみるが動けないでいた。
「よくもまあ、口だけはペラペラと動くな。お前とスマイルハピネスが戦ったら10秒でぶっ飛ばされるってのに。」
冬先の口先だけの言葉にウルフェンは呆れていた。
「うっせえなあ、それはウルも同じだろ。」
「けっ、そんくらい余裕があるなら問題ねえな。こっからどうするよ、まさか刀をぶん投げただけで終わったわけじゃねえんだろ?」
「・・・・・・。」
ウルフェンは冬先の余裕そうな見た目に安心し、冬先の作戦を聞こうとすると、冬先はウルフェンと目線を合わせず何も答えない。
「おい?なんで黙ってんだよ。」
「・・・・・。」
「まさかリュウト、何も考えずに自分の武器をぶん投げたのか?!」
そう、冬先は自分の唯一の武器を後先考えずに投げて失った。これがどういうことかというと、冬先は戦力外になったということだ。
「いや、その、一回やり返さないと気がすまないと思って・・・。」
そのことについては冬先も自覚しているのか、声が小さくなっていた。
「どうすんだよ!絶体絶命じゃねえか!!」
「まあ、うん・・・逃げよう。」
「お前、ハッタリだけはすげえな・・・。」
何も言い返せない冬先を見たウルフェンはこれ以上、責める気にはなれなかった。
(つってもどうする?俺とウルの力じゃ、逃げたくても逃げられねえ。)
万事休すかに思われた冬先だったが、次の瞬間、遠くの方で爆発が起きた。
「え?!なにが起こったの!!」
「「!!!」」
オレンジは反射的に爆発した方向を見る。
「!、あの方向は、2人の?!」
オレンジは驚く。先ほど爆発が起きた場所はスマイルピンクとイエローが戦っている場所であったため、オレンジは2人の間に何かあったのではないかと心配した。
だが、この数秒にも満たない行動がオレンジにとって決定的なミスとなった。
「でもアタシには・・・・・あれ?・・!、しまった、逃げられた!!」
気づいた時には遅かった。オレンジの視界から、冬先とウルフェンの姿はどこにも見当たらなかった。
その頃、ピンクとイエローは野菜の負のモンスターことベジタバーンと戦っていた。
「キャベ~~ツ、カッター!!」
「うわあああああ!」
「キャアアアア!」
ベジタバーンは大きなキャベツの葉をカッターのように鋭く飛ばして、スマイルハピネスに攻撃する。
「こっのーーーー!」
「ダイコ~~ン、シールド!!」
「いったあーーい?!」
ピンクが反撃しようとしたが、ベジタバーンは大根の盾でこれを防ぐ。
「きららちゃん、大丈夫?!」
「うぅ、手が痺れてるよ~~。」
状況的に少しづつではあるが、ベジタバーンがスマイルハピネスを追い詰めている。
「でも、どうしよう。さっちー達じゃ、あの野菜の負のモンスターを倒せないよ~~~!」
イエローは慌てふためいている。
「落ち着いて!諦めなければ、きっと何かあるはずだよ!!」
「でもでも、このままじゃどうしようもないよ~~!」
ピンクが落ち着かせようとするも、イエローが落ち着くようなことにはならなかった。
「だけど、私たちが全力で戦ったら、商店街がアンハッピーになっちゃうし・・・。」
そう、別に戦力差で言えば、ピンクとイエローはベジタバーンに劣るどころか勝っているのだ。
だが2人が戦っている商店街は狭く、少しでも暴れれば町が傷つくところを、2人は守りながら戦っているため、あまり攻撃に転ずることができず、必殺技を出そうものならベジタバーンごと、商店街に被害が加わるだろう。
つまり2人は自分たちの安全より商店街を守ろうとしている。
「ナンデ、ヤサイを食べないんダ~~~!」
だがベジタバーンの攻撃は一向に収まる気配はなく、スマイルハピネスに降り注ぐ。
「うわあああああ!」
「キャアアアア!」
2人はなるべくベジタバーンの攻撃を避けずに、商店街に被害が及ばないよう、必死に受けている。
このままでは2人がやられるのも時間の問題かに思われた時だった。
「お嬢ちゃんたち!商店街のことを心配してんなら、俺の八百屋を巻き込んでくれて構わねえ!!」
八百屋の店主がスマイルハピネスに、自分の店ごとベジタバーンを倒すように嘆願した。
「ダメだよ!そんなことしたら、おじさんのお店がアンハッピーになっちゃう!!」
「構わんよ。俺は町の人に、いつまでも健康になってほしくて野菜を売ってんだ。それがどうだい、なんでかは分からねえが俺が売るはずだった野菜が人を襲っている。こんなの、俺や野菜たちの望んだことじゃねえ!!!だから頼む!」
「おじさん・・。」
しかし、それはピンクの意思に反することなので断るも、八百屋の店主はとても真剣な表情で訴え、ピンクはどうすればいいのか迷い始める。
「ナンダ?オマエもヤサイを食わないのかーーー!!!」
すると、店主の存在に気付いたベジタバーンが、地面からしなやかなゴボウを出し、それを鞭のようにして店主に襲いかかった。
「おじさーーん!!」
「くっ!」
店主はとっさに目をつぶって身を守ろうと丸くするが、そんなことでは防げるものでもない。
絶体絶命かに思われた時だった、
「させるかあああああ!!!」
「ギャアアアアアア?!」
オレンジ色の人影がベジタバーンをぶっ飛ばして店主を攻撃から守った。
「「オレンジ!!」」
「ごめん、2人とも!町の人は守れたけど、狼をにがしちゃった!!」
「ううん!助けに来てくれただけで十分だよ!!」
「そ、そうだよ!私たちだけじゃ、いっぱいいっぱいだったもん!!」
店主を助けたのはスマイルオレンジだった。オレンジはウルフェンを取り逃がしたことを謝罪していたが、2人はオレンジの加勢に喜ぶ。
「ごめん、ありがとう!それじゃいくよ、2人共!!」
「「うん!」」
オレンジが加勢に来てからは、状況は一変した。
最初は必殺技を出さないスマイルハピネス2人の攻撃を、片方にはダイコンシールドで防御し、もう片方にはキャベツカッターで応戦し、地面から鞭のようにしなやかな、ごぼうをつかうゴボウウィップでじわじわと追い詰めていたが、それでも互角だったため、そこにもう1人のスマイルハピネスが来たのであれば、負のモンスターが太刀打ちできるはずもない。
「「「はああああっ!!!」」」
スマイルハピネスはベジタバーンを圧倒した。
「ギャアアアアアア!!!!!」
ベジタバーンは爆発すると同時に、いろんな野菜がその場に落ちていった。
「はああああ、良かった~~~。」
ベジタバーンがやられたことを確認した、夢見きららは変身を解いた。
「一時はどうなるかと思ったよ~。」
「ごめんね。アタシが手間取っていたばっかりに。」
日向さちと赤羽りんかも変身を解いた。
「でも、おかげで3人で商店街をアンハッピーにせずに済んだよね!」
緊張の糸が切れたのか、きららは満面の笑顔を見せる。
「お嬢ちゃんたち、ありがとよ!お陰で商店街は無事だ。恩に着るよ。」
「おじさん!」
「ほら、新鮮な野菜だ。もらってくれ。」
店主が新鮮な野菜を両腕いっぱいに抱えて持ってきた。
「そんな、いいですよ別に?!」
「遠慮せんでもええよ。よく分からんが、何かすごい力でこの商店街を守ってくれたんだろ?これはそのお礼さ。」
きららは、店主を気遣って受け取ろうとはしないが、店主も譲る気はなさそうだ。
「いいじゃん、もらっちゃおうよ!」
「きららちゃん、一番がんばってたもん!」
「2人とも・・じゃあ、ありがとうおじさん!ありがたくもらいます!!」
りんかとさちの後押しもあって、3人は八百屋の店主から野菜をもらって、その場を後にする。
「いい娘たちだったな・・・・さて、片付けるか。」
3人を見送った八百屋の店主は、その場に落ちている野菜を集めた。
少し時間が経った後、野菜をすべて集め終えた店主が家に帰ろうとした時だった。
「あの、すいません。」
店主を呼び止める声がした。
「ん?おお、あの時の兄ちゃんじゃねえか!無事だったか!!」
声の主は冬先りゅうとだった。
「ええ、まあ。ところで、その野菜はどうするんですか?」
「ああ、これかい?所々傷んでるから、残念ながら売り物にならなくなっちまったから、家で食べるのさ。」
「なら、自分が買ってもいいですか?」
冬先は店主にお金を差し出す。
「いやいや受け取れねえよ?!なんならあげようか?」
「いや、どうしても買いたいんです!実はあの変な犬・・いや、狼から逃げた後、心配になってこっそり様子を見ていたんですけど、おじさんの八百屋にかける思いに感動しました!これは八百屋の店主への礼儀だと思って下さい!」
「兄ちゃん・・・ならせめて、安くしとくぜ。」
店主は最初、冬先からお金を受け取ろうとはしなかったが、冬先の言葉に感動し、野菜を安く売った。
「じゃあ、代金はこれくらいで。」
そう言いながら冬先は明らかに貰った野菜を上回る代金を渡した。
「おいおい兄ちゃん!これじゃいつも通りの値段じゃないか!安くしたんだから、こんなに受け取れねえよ?!」
「ふ、おじさん、男がかっこつけてる時は、黙って受け取るもんですよ。」
「兄ちゃん・・・・ありがとよ。さっきのお嬢ちゃん達といい、兄ちゃんといい、いい子たちばっかりだな!若者の未来は明るい!!」
「そ、そうですね!ア、アハハ、ハハ・・・。」
八百屋の店主と冬先は笑いあったが、冬先の方はどこか罪悪感が感じられた。
その日の夜、冬先の家では晩御飯に大量の野菜炒めがでた。
「珍しいわね、リュウトが野菜を自分のお金で買ってくるなんて。」
「あ、ああ。ちょっと野菜が食べたくなってね。」
「ふ~ん、りゅうと、野菜は嫌いじゃなかった?」
りゅうとの母は疑いの目をかける。
「た、たまには嫌いなものが恋しくなるんだよ。」
「ま、いいけど。野菜は体の健康にいいものね。」
「そ、その通り!」(ああそうだよ。嫌いだよ!食いたくねえよ、ちくしょう、やっぱり悪役の味方したっていいことなんか1つもねえ!!)
こうして冬先はたくさんの野菜炒めを涙を流しながら食べた。
じゃあ、俺、FGOのメインストーリーやってくるんで、投稿ペース遅れるかもしれん。ごめん。
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