21 なんとなくの友情に裏切りはつきもの
言い訳をさせてくれ!!
みんなもFE風花雪月をやればわかるんだ!!!
「な、なんだあ?!」
八百屋の店主は今日だけで2回も今までの人生最大に驚く。
1回目はウルフェンの恐ろしさに、2回目は・・・・
(噓だろ?!こんなんで負のモンスターってできるの?!)
八百屋の店主の隣で絶賛パニック状態になっている冬先が事故で作り出してしまった負のモンスター、その名も「ベジタバーン」である。
「ベジタバ~~~~ン!!!」
ベジタバーンは八百屋の中にあった野菜がたくさん集まってできたせいなのか、そのサイズはとても大きく、八百屋には収まりきらずに屋根を突き破って飛び出してきた。
「キャアアア!」「今度は何?!」「あ、あれを見ろ!や、野菜のバケモノだーーー!!!」
商店街の人々も緑色の巨大なベジタバーンに驚く。
「な・・・・・!」
それは近くにいたウルフェンも同じ気持ちだった。
(あれは負のモンスターじゃねーか!!リュウトの野郎、何考えてんだ?!)
ウルフェンは冬先の方を見る。すると冬先は頭を下げ、手をウルフェンの方に向かって頭の上で手を合わせて申し訳なさそうにしていた。
(なんだあれ?「いただきます」?・・・いや、ちがうな。なんとなくだが、なるほどな・・・あの野郎やりやがったな?!)
ウルフェンは冬先が事故で負のモンスターを作ってしまったことをなんとなく察した。
「野菜を食わねえ奴はいねえがアアアアア!!」
「うわあああ!!」「キャアアアア!」
だからといって今の状況が収まるわけでもなく、ベジタバーンが叫びながら腕を振り上げると、人間でいうところの「手」にあたる部分がハンマーの形をした大きな大根になっており、それを怯えている人々に振り下ろそうとしていた。
「チッ、仕方ねえ・・・オラアッ!!」
しかしベジタバーンが大根を振り下ろす前に、ウルフェンが攻撃することでベジタバーンの攻撃が止まった。
「ん、なんだあ?オマエもヤサイを食べないのかーーー!!!」
しかしベジタバーンはウルフェンの攻撃をまともに受けたのにも関わらず、気にすることなくウルフェンに攻撃をしかける。
「うおっ!全然効いてねえ?!」
ウルフェンは紙一重で避けるも自分の攻撃がベジタバーンに全く効かないので、どうすればいいのか分からず八方塞がりであった。
「み、みんな逃げろーーーー!!!」
「ヒイイイ・・・・。」「もうダメだあ。」「誰か助けてぇ・・。」
(ヤバイヤバイヤバイ・・!みんな恐怖で動けなくなっている。このままじゃ俺のせいで・・・。)
それは冬先も同じ状況であり、商店街の人達に避難の声をかけるものの、人々は恐怖で動けず何もすることが出来なかった。
「・・・ハピネスショット!!」
そんな時だった。突然ピンク色のエネルギー弾がベジタバーンとウルフェンに目がけて降り注がれた。
「ベジタバーーーーーン!!!ダレダ~~ヤサイに攻撃する奴は?!」
「いってえ!!・・・クソ!このタイミングで来るのかよ!!」
ベジタバーンはその体の巨大さ故に何発も受けてしまい、ウルフェンは一発受けてしまうも、その痛みにかまっている暇はなく、自分を攻撃してきた方向を見た。
最早ウルフェンに体のダメージを気にする余裕はなく次の脅威にどう対処するか?を考えることで精一杯スマイルピンクだった。
「もうこれ以上、私たちの町で好き勝手させない!!」
そう、ウルフェンにとって次の脅威、スマイルピンクこと夢見きららであった。そして後ろには当たり前のようにスマイルオレンジとイエローの赤羽りんかと日向さちもいる。
「チッ!1人だけでも厄介だってのに3人もいるのかよ・・・!」
ウルフェンはもう万事休すかと思った。だがしかし、この状況を「好機」と捉えた男が八百屋の中にいた。そう冬先である。
(いや、むしろ今が一番いいタイミングだ!!!)「助けが来たぞ!今ならアイツらの注意は彼女たちに向いている!逃げるなら今しかねえ!!!」
冬先は恐怖で動けない人々を逃がす為に、人々からすればいきなり現れた敵か味方かも分からないスマイルハピネスを「助け」と称して人々をこの場から逃げさせようとしていた。
事実、スマイルハピネスは人々を助ける為に参上し、負のモンスターの注意も人々からスマイルハピネスに変わっている今この瞬間が、人々が逃げるには絶好のタイミングである。
「そうだ!!みんな速く安全なところへ逃げるんだ!!!」
そしてオレンジも人々に対して避難を呼びかけたのが決定打になった。
「よ、よし!みんな逃げろ!子供とかお年寄りは誰か助けながら走るんだ!!」「逃げろーー!!」「おばあちゃん、僕の背中に乗って!」「あ、ありがとよ~。」「うわあああああ!」「ママーーーー!!」「はやくこっちに来るのよ!!」
人々は大混乱の中、必死にベジタバーンから逃げていく。
「そうだ、速く逃げろ!!!」
商店街の人々の避難誘導をしながら冬先も逃げていく。
「!!!・・・。」(リュウトの野郎、逃げるって言うのか?!・・・だが、このまま俺達が負のモンスターを操れるとは思えねえからな・・・・・いや待て?!そもそもアイツ俺を見捨てて逃げやがったーーー!!!)
冬先は逃げていく人々に混ざりながらウルフェンを見捨てて逃げていくことにウルフェンは少し遅くに気付く。
(あれ?この声ってどこかで・・・。)
そして冬先の声にスマイルピンクが反応するも、冬先はベジタバーンやウルフェンの陰で見えなかったため、ピンクは少しの違和感しか感じず、それ以上は考えずに頭の片隅に追いやった。
「ウオオオオオオ!!!」
「・・っ!今は街の人を守らないと!」
スマイルハピネスはベジタバーンに相対する。
一方で冬先は商店街の人々が集団で逃げているのをいいことに、その中に混じって逃げていた。
(とりあえず、このまま逃げれば後はスマイルハピネスが負のモンスターを倒してくれるだろ。それにしても危なかったああ、まさかあんな簡単に負のモンスターができちまうなんて。つーかダークネスハートを作った奴は絶対に頭がおかしいだろ!!)
冬先は安心しているせいか、心の中で不満が募っていく。
だが神様はそんな冬先をゆるさないのだろうか、冬先の後ろの方から何かが追いかけてくる音がする。
安心しきっていた冬先は安心すぐに後ろを振り向いた。たとえ誰が追いかけてきたのか分かってたとしてもだ。
それは、「もしかしたら自分が思っている奴ではないのでは?」「ただの逃げ遅れた一般人かもしれない」という希望があったのかは冬先以外には分からない。
ただ1つだけ分かるのは、ウルフェンが追いかけてきた、という事実であった。
ナンデキタノサ?
オマエをジゴクにオトスため☆
「ん?なんか後ろの方から・・・うわあああああ!さっきの狼だあああ!!」「キャアアアア!」「助けてーーーー!!!」
逃げ惑う人々が恐怖にさらされていく中で、一番に恐怖を感じていたのは他ならぬ冬先であった。なぜならばウルフェンの殺意が冬先に集中されていたからである。
「待てえええええ!!」
しかしここで状況が一変する。スマイルオレンジがウルフェンを追いかけてきたのだ。
「行って、オレンジ!街のみんなを!!」
「こ、この野菜のお化けは私とピンクでなんとかするから~~~!」
そう、ウルフェンが冬先を追いかけていったのをスマイルハピネスは逃げていく人々を追いかけていったと勘違いし、ベジタバーンをピンクとイエローで応戦し、オレンジにウルフェンを追いかけるように判断したのだ。
(よし、これならウルフェンから逃げ切れる!!)
ベジタバーンから逃げていたはずの冬先がいつの間にかウルフェンから逃げているが、とりあえず冬先は安心する。
「・・・・・・・フッ。」
しかしウルフェンは焦るどころか笑みを浮かべた。
(え?笑った?しかもただの「笑み」じゃねえ、悪い事を考えついた時の笑みだ!なんだ?嫌な予感がするが分からねえ。)
笑みを浮かべるウルフェンを見て冬先はウルフェンの狙いを考えようとするも分からず、困惑する。
「オイ!そこの青いフードパーカーのニンゲン!!」
そんなことなどお構いなしに、ウルフェンが突然に叫び始める。
(?、俺のことか?確かに今は紺色のフードパーカーを着ているが・・・。)
そう、いつも紺色のフードパーカーを着ているファッションセンスの欠片もない冬先は今日も同じ格好をしている。
「お前のその格好・・・!」
(は?格好・・・・あの野郎まさか?!)
冬先は察する。いつもの自分の格好がスマイルハピネスと戦っていた時の格好だということに。そしてウルフェンが自分の正体をオレンジに伝えようとしていることに。
冬先の変身した姿は、今の冬先の紺色のフードパーカーに黒色のズボン、そこに無表情なお面をつけた格好なので言ってしまえば、ただお面をつけただけの一般人である。
だが今はそんなことは問題ではなく、問題なのは冬先の今の格好がスマイルハピネスに見覚えのある格好なのでウルフェンに冬先の正体を言われることが問題である。
別に冬先はスマイルハピネスに顔を見られているわけではないので、ただ一言「違う」と言えば問題ないだろう。
だがしかし!スマイルハピネスもとい夢見きらら達と冬先琉斗の通う学校は同じ!!冬先の安定的な日常にヒビが入るのは確かなのだ。
「よ~~~し、こっちに来ようか狼くーーーーん?!!!」
危険を察知した後の冬先の行動は速かった。逃げる人々の集団から離れ、人通りのない道にウルフェンを誘導するように走っていく。
「おうそうか!乗ってやるぜニンゲンさんよーー!!」
ウルフェンは冬先についていく。
「な?!待ちやがれ!」
当然オレンジもウルフェンを追う。
「この・・!ハピネス、シューート!!!」
そしてオレンジがウルフェンを倒すために出した、太陽のように燃えるボール状のものを蹴る必殺技「ハピネスシュート」をウルフェンめがけて繰り出す。
「!、うおッ!!・・・ったく、なんてやつだ・・。」
ウルフェンは紙一重のところで避けると、スマイルオレンジを注視する。
「そこまでだ!これ以上、悪さしようってんならアタシがアンタを蹴っ飛ばす!!」
オレンジはウルフェンに向かって指を指しながら叫ぶ。
「ハッ、舐めるのもいい加減にしやがれ!お前1人で何ができるってんだ?!」
「そうだね、今すぐにでもアンタをたおせ・・・・あれ?そういえば変なお面をつけてたのは・・・・!!!」
オレンジが台詞を言っている最中に、突然オレンジの死角から1人の人影がオレンジに斬りかかる。
だが、あと一歩のところで気づいたオレンジは人間離れした反射神経で避ける。
「チッ、外したか。奇襲が成功しないほど力の差があるとか、どんだけ世界は都合のいい正義の味方なんだよ。俺の前世の世界もそうあってほしかったわ。」
男はブツブツと文句を言いながらウルフェンのそばに近寄る。
「・・・やっぱりアンタもいるのね。」
オレンジは一言そう呟くと2名を警戒する。
「・・・どうもこんにちは。決して人類の味方ではない悪役で~~す。」
紺色のフードパーカーに黒色のズボン、そして無表情のお面をつけた男はダルそうに挨拶をする。
はいということで1か月以上もかかりましたごめんなさい。
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