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魔法少女の悪役のなかには、平和に生きたい奴もいる  作者: なかそね
第1部 魔法少女アニメ転生
20/51

19 定められた物語の歯車にさらに「ひび」が入った

やあみんな俺はクリスマスにスマブラのオンライン潜ってたよ!!


クリスマスなのに案外簡単に人とマッチングできたからみんなクリスマスぼっちなんだなアハハ!・・・・・・・・・泣きそう。

「・・・というわけで、また新たにスマイルハピネスが現れました。」


 魔界に来た冬先とウルフェンはダークネスハートを手に入れる前にジェンダーの元を訪れ、ウルフェンがジェンダーに報告をしている中、冬先は部屋の(すみ)で壁に背もたれしながら床で座って聞いていた。


「なるほどな。バーラがえらく不機嫌そうに帰ってきたから何事かと思ったが、随分と大事になったもんだ。」

「バーラ様から聞いてたんですか?」

「いや、アイツ(バーラ)からはただ一言、新しいスマイルハピネスが出たとしか言わなかったからな。・・・しかしお前の話を聞く限り、なかなか厄介だな、その新しいスマイルハピネスとやらは。」

「ええ。・・・ところで今日はお願いがありまして。」


 ウルフェンは報告を終えると今度はジェンダーに頼み事をした。


「なんだ?」

「ダークネスハートが欲しいのですが。」

「ブフッ。」


 ウルフェンが「ダークネスハート」と口にすると部屋の隅っこにいた冬先が突然笑った。


「?、なんかあったのか?」

「え?ああ、いや、なんでもないっす。」


 ジェンダーが気にかけてくるも、冬先は笑いをこらえるのに必死だった。


「気にしなくていいっすよ。今日のリュウトはかなり変なだけですから。」

「それは普通に大変な気がするが。ま、本人も問題ないって言ってるから別にいいけどよ。」


 これ以上は追求されないだろうと思ったのか、冬先は一安心した。


「はい。ところでさっきの話なんすけど、リズに()()()もらいたいんで、ジェンダーさんからもお願いしてくれませんか?」

「別に構わねえが、リズのことだから無理かもしんねえぞ?」

「・・・やっぱそうっすかねえ。」


(リズって誰だ?)


 2名の話が進む中で冬先は「リズ」という者に少し興味を抱いた。


「あのー、そのリズって人がその・・・アレを作ってるんすか?」


 冬先はジェンダーに尋ねたが、「ダークネスハート」と口にするのが恥ずかしかったため、それとなく「アレ」と言った。


「ん、そうかリュウトが知らねーのも無理ねーか。リズは一応、俺の部隊にいる奴で、そいつがこの・・・どこやったっけな・・。」


 そう言ってジェンダーは自分の服の中を探す。


「あったあった、これがダークネスハートだ。」

「これがですか・・。」


 ジェンダーが(ふところ)から取り出したのは、透明なガラスで作られたかのような()()()()()()()()()()()()()()()()

 そしてそれにはトゲがある(くき)のようなものが巻き付いており、安易に触れない物であった。


「失礼ですけど、なんていうかあんまし禍々(まがまが)しい感じと言うかあんまし怖くないっすね。まあトゲがあるんで注意して持たなきゃいけないとは思うんですけど。」


 しかし冬先が最初に抱いた気持ちは「なんか思ってたのと違った」である。

「ダークネスハート」と聞いて冬先が最初にイメージとして思い浮かんだのは、なんか黒っぽいハートだったのが実際に見てみると、ハートの形はしているも、特にこれといった悪役っぽい感じもなくトゲのある茎が巻き付いているが冬先からすればチョットだけロック風にしました、ぐらいの感想であった。


「ああ、それは多分コイツ(ダークネスハート)がまだ人間の負のエネルギーを()()()()()()()()()()()()。」

「吸い取るんですか?」

「そうだ。お前らは負のモンスターを見たことがあるだろ。アレはダークネスハートで集めた負のエネルギーを人間界の何かで作っているらしい。俺は一回もやったことがねーから知らねえがな。」

「なんか、想像がつくようなつかないような感じっすね。」


 ジェンダーの説明で冬先は少し興味をもつ。


「そういや話を戻すが、ウルフェンはどうしてダークネスハートが欲しいんだ?」


 ジェンダーは説明を終えると話題をウルフェンの方に戻した。


「はい、今の俺は正直言ってリュウトと契約してしまって昔の俺の半分の力しか出せません。しかもリュウトは全く戦う気がない腰抜け野郎ですし。」

「おい、確かに俺はやる気がないが嫌味っぽく言わなくてもいいだろ。」

「ですが今の俺なら人間界に()()()()()()()。だから負のエネルギーも集めやすいかと思うんです。」


 冬先のツッコミを無視してウルフェンは話を続ける。


「なるほどな。確かに人間界に長くはいられない俺達よりかは、ウルフェンの方が負のエネルギーを集めやすいかもな。」

「え、ジェンダーさん達ってずっと人間界にいれるわけじゃないんですか?」

「そうだ。前にも言ったと思うが俺たち魔界の奴らが人間界に留まるには、人間界の負のエネルギーがいるんだが、今の人間界には負のエネルギーがあんましねえから、本気で力を出せば()()()()()()()()()()()()()()()。」

「け、結構大変なんですね・・・。」(魔法少女のアニメってこんなに重い話だっけ?)


 冬先は衝撃的な事実に言葉を失った。


「と言うか、ずっと人間界にいられるなら俺を除いた魔界の奴ら全員で人間界に行ってるだろ。」

「あ、確かに。」


 それもそうだ、寧ろなんで今まで気付かなかったんだと、冬先は納得した。


「だからこそ、人間界にずっといられる今の俺なら負のエネルギーが集めやすいってことだ。」

「そっか。よく分かんねえけど、ウルは俺と契約した時からほとんど俺ん家にいたもんな。」

「ああ。だから今日はダークネスハートを作ってもらおうと思って来たんだが、やっぱリズは作ってくれなさそうだしな・・・。」

「?、なんか足りない材料とかでもあんの?」


 冬先は前から疑問にあったことを口にする。


「いや、あの野郎(リズ)が「めんどくさい」からって言って作んねえんだよ。」

「・・・は?」


 冬先はなにか事情があるのかと思ったが予想外の答えに言葉を失った。


「そのまんまの意味だよ。なんていうかあいつは同じものをたくさん作るのが嫌な()()()()()()()()()()なんだよ。」

「そんなことある?」


 冬先は信じられないと思った表情をする。


「ああ、どっかの家でダラダラすることが好きなめんどくさがりな人間と一緒だよ。」

「なるほど納得した。」


 冬先は納得した。


「だがそうなるとダークネスハートをリズが作ってくれるとは思えねえから、今日は余り物でもないかと思って来たが・・・ジェンダーさん、流石に無いですか?」

「そうだな。俺が聞いてる限りはねえな。」

「やっぱそうですか・・・。」


 ウルフェンは少し残念そうな様子になった。


「ま、そんな気を落とすことでもねえよ。お前は俺なんかよりもよくやってくれてるだろ?なんなら俺のダークネスハート、()()()()()()。」

「はあ、ありがとうございます・・・・え、今なんて言いましたか?」

「?、ウルフェンは俺より頑張ってるし、俺のダークネスハートをやるって言ったが?」

「いや、ほめてくれるのは嬉しいんですけど、・・ええ?!」


 ジェンダーがダークネスハートをウルフェンに譲ることに動揺を隠せないウルフェンの横で、冬先は事の重大さが分からなかったので理解が追いついていなかった。


「そんなに信じられない事か?」


 気になった冬先はウルフェンに尋ねた。


「当たり前だ!!さっきも言ったがリズのやる気がないせいで、ダークネスハートは()()しか作らなかったんだぜ!そのうちの1つをあげるって正気ですかジェンダーさん?!」

「お、おお。そうか。」(3つしかないことは聞いてなかった気がするんだが。)


 ウルフェンの気迫に冬先は気圧される。その為か、ウルフェンのセリフにツッコミたかったが冬先は言葉を飲み込んだ。


「流石にジェンダーさんのを(もら)うわけには・・・!」

「別に構わねえよ、どうせ俺は使う気なんてないしな。」

「そうですか・・・いや、それってダメじゃないですか?」

「いいんだよこういうのはやる気がある奴がやっとけば。・・ほらよ。」


 そう言いながらジェンダーはダークネスハートを冬先に投げつけた。


「おわっとと・・痛!!」


 冬先はダークネスハートを受け取るも、キャッチした瞬間にダークネスハートの周りに巻き付いている茎の(トゲ)が手に刺さり、その痛みで冬先はダークネスハートを地面に落とす。


「ああ!!リュウト、お前なにしてんだ!!」

「いやしょうがないだろ、痛かったんだから。それに壊れてないから別にいいだろ。」

「すまん。めんどくさかったら普通に投げちまったわ。」


 ジェンダーが冬先に謝る。


「別に俺は構わないっすけど、これじゃあウルが持つわけにはいかねえし、俺もあんまし持ちたくないですよ。」


 冬先の言うことも当然であった。ウルフェンは4足歩行なので持てるはずもないのだが、ダークネスハートにはトゲのある茎のようなものが巻き付いており冬先ですら簡単には触れせてくれなそうな見た目であった。


「ああ、それは多分だが大丈夫だ。ダークネスハートは負のエネルギーでできているから、リュウトの変身した時の状態と融合して身につけられるはずだ。」

「・・・ええと、つまり?」

「お前さんの刀と同じで自由に出し入れできるってことだ。」

「なるほど。」


 冬先は納得し、それとなくダークネスハートを拾い上げてみると、手元から消え去り、冬先の体の周りが一瞬だけ紫に光った。


「おお、なんか出来た・・。」

「後はお前たちの好きにしな。俺はまた昼寝してえからよ。」

「いいんですかジェンダーさん?リュウトなんかに渡しても。」

「ああ。前にも言ったが俺は人間界の侵略とかいいからよ。」


 めんどくさそうに言いながらジェンダーは昼寝の態勢に入る。


「はあ、まったくジェンダーさんときたら・・・仕方ねえ、リュウト、負のエネルギーを集めに行くぞ。」

「ああ。」(あれ、俺って少しだけ手伝うつもりで来たんだけど・・・もしかして俺って悪役の味方になってないこれ?・・・・・安請け合いするんじゃなかったわ。)


 冬先は少し後悔した後にウルフェンと一緒に魔界を後にした。

以前より文字数が少ないですが、投稿ペースは速めていきたいと思いますので何卒宜しくお願い致します。


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