16 ビリビリッと、お仕置きスマイルイエロー!!
とりあえず、スマブラって面白いよね。
タイトルを改めて見てクッソ恥ずかしいと思った今日この頃
よくある話だ、正義の味方がピンチの時に、これでもかとベストなタイミングでよく現れる「助っ人」もしくは「謎の人物」、物語を面白くするには欠かせないものだ。
・・・・・・・だが考えてほしい、普通はそんなベストなタイミングで来ることは難しい。そんな事がいつでもできる奴なんて、「主人公補正」もった人間か物語の主要な人物くらいだろう。
・・・・だからもしも、そういう特別な人間のまねごとを「モブ」がやろうものなら・・・・・。
(恥っずかしいーーーーーー!!)
大抵は恥にまみれるであろうよ。
(ええ~~~?!なんで?俺は今、何やってんの?やろとしたことと言えば、アレだ。ウルフェン達の援護に来たんだよな、うん。・・・でも明らかにスマイルハピネスの方が不利だよね?ボロボロだよ!もう顔とかあげずれーよ!絶対に変な空気になってんよ!)
そう、冬先琉斗がスマイルハピネスとバーラの間に着地する前、最初に琉斗はジャンプをしてスマイルハピネスを上から奇襲しようとしていた。
だがここで琉斗は2つのミスをする。
1つ目のミスは、魔界の者たちとスマイルハピネスの戦闘の状態をちゃんと確認しなかった事だ。これにより、スマイルハピネスが劣勢という琉斗にとっては有り得ない事態に動揺してしまったことだ。その瞬間、琉斗は「これアレだ。よくあるピンチからの逆転、ってやつだ。」と気づくも遅すぎた。
そして2つ目のミスは、琉斗が上から奇襲を仕掛けるアイデアは自体は良かったのだが、琉斗は戦闘の経験に関して言えば、ずぶの素人であったため、スマイルハピネスに攻撃を当てるどころか着地に必死で顔を道路のコンクリートに向けた状態で着地するという、ただの下手くそであったことである。
(だがどうする。正直に言って顔があげずれえ・・・。さっきからコンクリートとずっと向かい合ってるよ。)
そう、琉斗はその気まずさから、顔を縮こまった状態から顔を上げられずにいた。
(・・・いやまてよ、よく考えたら目の前にいたであろう誰か分からないけど、スマイルハピネスと敵対していた奴って俺のこと知らないよな。・・・・これスマイルハピネスの味方になれば俺の黒歴史を消せるんじゃね?)
そしてこの男、「恥ずかしい」と考え始めて、わずか10秒しか経ってないにもかかわらず、自分の黒歴史になってしまうであろう出来事を無かった事にするためだけにウルフェンを裏切る思考に入った。
「あーー!あなたはあの時の!!」
(ですよね、ハイ・・・。)
しかし琉斗は以前にスマイルピンクと出会っていたので、もちろんスマイルハピネスの陣営に入れるはずもなかった。
そして琉斗はゆっくりと立ち上がり、その後ゆっくりと顔を上げる。
その余裕とした動き、そして誰にも分からない無表情なお面のせいでかなり謎めいた動きとなり、スマイルハピネスやバーラでさえも警戒したのだが、そのお面の中身はかなり真っ赤になっていたのは冬先琉斗以外に知る由も無かった。
「・・・あなた、何者なの?」
先に口を開いたのはバーラであった。バーラからすれば琉斗が何者なのか分からないし何よりも、自分が戦っている相手を追い詰めている最中の邪魔をするかのように登場してきたので、かなり警戒する。
「そこの・・・狼さんの味方の者です。」
琉斗は取り敢えずついさっきまで裏切ろうとしていたくせにウルフェンの味方を名乗った。
「え?・・あ、え?!・・・そう。」
そして琉斗に自分のチームにいるウルフェンの味方だと言われて、バーラは意表を突かれたような動揺を見せる。
(ほらやっぱり!驚いちゃってるよ!絶対この人「え、スマイルハピネスを助けにきたんじゃないの?」みたいな驚き方してるよ。そらそうだよ!だって敵さんがスマイルハピネスにトドメさそうって時に邪魔してきたからね!!)
このどうしようもない空気から琉斗はい早く逃げだしたくてたまらなかった。
「大変だキュ!このままじゃ、きらら達がピンチだキュ!」
「!、アルちゃん知ってるの?!」
「知ってるもなにも、彼らは前に負のエネルギーを集めようと人間界に侵略してきたんだキュ!」
「そんな・・・。」
アルクがスマイルオレンジに説明した。だがしかし、今の説明に納得できない者が1人・・・。
(ええええええ?!なんか俺まで魔界の一員になってない?!)
そうこの男、冬先琉斗は特に人間界を侵略する気もなければスマイルハピネスと戦う気も一切無いのである。
(え?なに言ってんの、あのハムスター。俺別に人間界侵略する気ゼロって俺確かスマイルピンクと会った時に言ったよな?・・・・なんかあのハムスター可愛い見た目してるぶん、余計に殺したくなったんだけど?)
琉斗はどうしようもない殺意で頭がいっぱいになった。
「あら?よそ見してる暇なんてないんじゃないの?」
「「!」」
琉斗の殺意をよそに、バーラがスマイルハピネスへの攻撃を再び開始する。
「くっ、ピンク!私がこいつらを引き付けるから、ピンクはあいつらをお願い!」
「!、でもそしたらオレンジが!!」
「大丈夫だって。少しの間なら持ちこたえられるし、それにピンクなら、あんな奴らすぐに倒して形勢逆転できるって!!」
「・・・うん、分かった!」
ボロボロになりながらも笑顔で言うスマイルオレンジにスマイルピンクは決意を決めた表情で答え、その場をオレンジに任せて琉斗とウルフェンの方に行った。
「フフ、いいのかしら?あなた1人でどうにかできるのかしら?」
ピンクが琉斗の方に向かうと、バーラが不敵な笑みを浮かべながらオレンジに問いかけた。
「ハン!あなたたちなんて私1人でも十分だっての!!」
オレンジは負けじと強気な挑発をする。
「随分と舐められているけど、その余裕はいつまでもつのかしらね?」
「オラァ!さっさと止まりやがれ!」
「注意して行くよ〜」
「はあ、めんどくさい。」
バーラと負のモンスターがスマイルオレンジに集中攻撃を仕掛ける。
「さあ、覚悟しなさい!」
一方でピンクは目の前にいる冬先琉斗と、その少し後ろにいるウルフェンに指を指しながら言った。
(・・・あ〜〜〜、空が青いなぁとセンチメンタルな気分になりたかったけど、曇り空だわ〜〜)
それに対して琉斗はチラリと目線だけ逸らしながら少し現実逃避をする。
(さて、多分あのバラのようなトゲトゲの鞭を持ってる人(?)って魔界の人なんだろうけど、すごい余裕そうな雰囲気あるよなぁ・・・俺とウルが本気でスマイルハピネスと渡りあえると思ってるんだろうか?・・・瞬殺されるよ?俺たち。絶対に直ぐ挟み撃ちになってヤバくなるよ?・・・つーか、あのハムスター野郎、余計な事を・・・家に帰りたい。)
琉斗の顔からどんどん生きる気力が失われていく。
「行くよ!!」
「俺、帰るからいいです。」
「え?」
スマイルピンクが気合いを入れて琉斗に攻撃を仕掛けようとするも、戦う気の一切ない琉斗の返事にピンクは驚きを隠せず、身体が止まる。
「いやだから!!俺は戦う気がないんだって!!!ぶっちゃけ家に帰りたいの!分かる?」
「え?え?!」
琉斗はスマイルハピネス達などから、あらぬ誤解をされたためか、ストレスが溜まりスマイルピンクにかなり強くあたった。
逆にスマイルピンクは琉斗に、自分は家に帰りたいから戦う気はないと怒られながら言われて、予想外のリアクションと予想外の言葉に困惑するしかなかった。
「え?だって・・・・。」
「あ?なに!文句あんの!」(ったくよー、こちとら何も悪いことしてねーだろ、お前が慌てることでもあるってーのか?)
冬先琉斗の心の中のモヤモヤはスマイルピンクに八つ当たりするほどのものになっていく。
「それじゃあ、あなたは何しに来たの?」
「・・・・・。」
しかしスマイルピンクの当然とも言える疑問に、時間が止まったのではないのかと思えるほど、琉斗の全身が止まる。
それもそのはず、スマイルハピネスからすれば琉斗はバーラの援護で来たのかと思いきや、ただ突然に現れて後に何もせずに帰るという周りからすれば「あなたは何しに来たの?」と思われてもおかしくない話である。
「そりゃあ・・・嘘に決まってるからだよ。」
「!、私をだまそうとしていたの?!」
「そう!そうなの!!」(やべー、なに言ってんだ俺。)
琉斗は嘘をついていたという嘘をつくという、言った本人すら訳の分からない嘘をつく。
「あれ?それならどうして今、嘘をついた事を・・・。」
「いいのか?こうしてる間にも、あんたの仲間はピンチになってるんじゃないか?」
「!、オレンジ!!」
またもやスマイルピンクが冬先の矛盾に気づいたところを冬先はいかにもそれっぽい事を言って誤魔化す。
だが実際のところスマイルオレンジはバーラと負のモンスターに追いつめられているので、結果的にスマイルピンクは冬先の嘘を信じた。
「どうした?こんな所で油を売っててもいいのか?」(あれ?なんか凄く悪役っぽくなってる気が・・・。)
「・・・なんて人なの!」
(なぜだろう、俺って何もしてないのに、どんどんスマイルハピネス達に悪い奴のイメージが定着してるような・・・。)
冬先の中になんとも言えないやるせなさができた。
「私達はあなた達なんかにこの星を侵略させたりしないんだから!!」
冬先がなんとも言えない気持ちになってるなか、対象的にスマイルピンクは決意を固めた表情になる。
(なんかすっげえやる気になってるけど、とりあえず後は上手く逃げよう。俺があんなバケモノみたいな奴に勝てるわけがねぇしな。・・・あれ?あなた達?・・・・・!!)
その瞬間、冬先は後ろを振り返る。考えるより先に体の方が反射的に動く。
本能的に恐れていたのだろうか、それとも経験的に知っていたのか、冬先はさっきまでの自分の無様さを後ろの奴に見られたくなかったのだ。
なぜならそこには、顔を下に向けて笑いを必死に堪えている狼がいたから。
「・・・・・ッ・・・・。」
冬先は小さな叫び声を出す。
周りからすれば冬先は無表情なお面を着けているために彼がどんな表情か分からないが、この場にいる内の当の本人と、そいつの契約者は安易に想像できていた。
「お前、バカだろ。」
そう言って冬先琉斗の契約者のウルフェンは、楽しそうな声で言いながら冬先の横にジャンプして飛んで来た。
「・・・・俺がもしかしたら悪い心に目覚めたかもしれないだろ・・。」
「ねーな。だってお前から負のエネルギーが感じられねえ。」
「・・・・。」
冬先が呟くような小さな声で嘘を言うも、ウルフェンはニヤリと笑みを浮かべながら論破され冬先は何も言い返せなかった。
「なあ、・・・あー、お前のことなんて呼べば・・。」
「!、避けろウル!!」
「!」
ウルフェンが言い終わる前に2名に向かってスマイルピンクの必殺技とも言えるハピネスショットが放たれる。
それに気づいた冬先がウルフェンに呼びかけたおかげで2名はスマイルピンクの攻撃を間一髪のところで避ける。
「ハアアアッ!」
「ガッ・・・!!!」
しかしスマイルピンクが追撃の手を止めるはずもなく、冬先の方に殴りかかって来る。
反射的に冬先は負のエネルギーで変身する際に出せるようになった刃のない刀を出して、スマイルピンクの拳を刀でガードするも、その衝撃はすさまじく冬先は後方へ吹っ飛ばされる。
「よし、このまま・・。」
「よそ見してんじゃねーぞ!」
「うわっ?!」
スマイルピンクが冬先にとどめをさす前にウルフェンが前足の爪で攻撃するも避けられるが、その間に冬先が立ち上がり態勢を立て直した。
「チッ、相変わらず当たんねーな。」
「!、前の時より大きくなってる・・・。」
ウルフェンの攻撃を避けたスマイルピンクが、いつの間にか中型犬のサイズより一回り大きくなったウルフェンに少し驚く。
「フン、でかくなったのは体だけじゃねえぜ!!」
そう言ってウルフェンは再び前足の爪で攻撃する。
「くっ。」
しかしスマイルピンクはジャンプしてウルフェンの攻撃を避ける。しかし・・・・・
「きららちゃん後ろ!」
日向さちがスマイルピンクに叫んだと同時に冬先が後ろからスマイルピンクに向かって斬りかかっていた。
「うわっ!!」
日向さちの叫びで、いち早く危険を察知することができたスマイルピンクは空中にも関わらず冬先の攻撃を避ける。
「あ、危なかった~。」
「後ろから攻撃するなんて、なんて悪い奴なんだキュ!」
スマイルピンクが攻撃を避けれたことに安心した日向さちは胸をなでおろし、アルクは冬先に怒る。
だが今の冬先には言葉が聞こえない程の焦りと集中があった。
(落ち着け、集中しろ!今の俺とウルフェンじゃまるで相手にならない。今は隙を見て逃げることだけ考えろ!)
おしまい状態で構え、スマイルピンクはむやみに攻める事ができず、その場にとどまる。
「どうしよう、これじゃ危なくて近づけない。」
(よし、こんな役立たずの刀でも時間稼ぎにはなっている!マジな話この刀に刃がないのがバレたらヤバイけど女の子が刀に詳しいなんて状況はそんなにあるはずがねえからな。・・・いつだったか、確かアニメの世界に転生する前の自分が昔、「刀カッコイイ!」とか言って刀の事を少し調べてた知識が役に立つとは思わなかったぜ。おかげでためらうことなくこの刀で斬りかかることが出来る!!)
なかなか奇妙な状況だった。
普通に考えて刃のない刀、すなわち何も斬れない刀なんて役に立つわけがないのだが、むしろ冬先の中の「人を斬る」という罪悪感がなくなり全力で斬りかかる事ができた。
そして、その攻撃をスマイルピンクは華麗に避けるのだが、それが逆に冬先の戦闘ではまるで役に立たない刀を警戒して無理に冬先の間合いに入ることができずにいた。
「それなら・・・!」
しかし次の瞬間、スマイルピンクが両手を前に出して近づける。
「ハアアアアアッ!」
そしてスマイルピンクの気合いの込められた声と共に両手の間にピンク色の球状のエネルギーのようなものができる。
「・・・しまった!!!」
瞬間、冬先は横に逃げた。背を向けて逃げるわけには、いかなかったからだ。
なぜならそれは15、6発のエネルギー弾をショットガンのように広範囲に飛ばす・・・・
「ハピネスショット!」
スマイルピンクの必殺技とも言えるハピネスショットが出たからである。
「危な!」
冬先はエネルギー弾にあと数ミリのところでは当たるところをギリギリで回避したものの、そのエネルギー弾が道路に当たると爆発し、その爆風で冬先は吹っ飛んでいく。
「ってえ~。変身しているせいか、痛みだけですり傷とか血が出なくていいが生身の状態なら大怪我だっつーの!」
「ハアアアアアッ!」
「!、しまッ・・・。」
冬先がスマイルピンクに向かって怒りを向けるも、またもやスマイルピンクが必殺技を放とうとしており冬先は避けようとするが、さっきの爆風で吹っ飛ばされ態勢が崩れており避けきれない状態であった。
「ハピネス・・・。」
「オラァッ!」
しかしスマイルピンクが技を撃つ前に、ウルフェンが噛みつこうと襲い掛かる。
「ッ・・・、このぉっ!」
「ヘッ、当たるかよ!」
ウルフェンが後ろから攻撃してきたため、スマイルピンクはウルフェンの攻撃を避けてそのままハピネスショットをウルフェンに撃つも狙いが定まらず、あまりエネルギーをチャージしてなかったためか、ウルフェンはジャンプして避けて冬先の隣に着地する。
「・・・悪い、助かった・・・・。」
「別に構わねえが、どうする?俺達じゃ勝ち目はないかもしんねーぞ?」
冬先は気まずぞうに礼を言ったが、ウルフェンが冷静に対処してきたので冬先は予想外の返事だったのかキョトンとした。
「え?あ、ああ、そうだな・・・・とりあえず後ろの戦闘次第ってのもあるかもしんねーけど・・・。」
冬先は後ろをチラリと見ると、防戦一方ではあるがスマイルオレンジがバーラと負のモンスターの攻撃を避けながら持ち堪えていた。
「そろそろ避けるのにも限界なんじゃないの!」
「・・・こんな攻撃を避けるのなんて楽勝だよ!あと1日は避けれるもんね!!」
バーラがスマイルオレンジを煽るも彼女はそれを笑って煽り返した。
「・・まったく、あなた達を見ているとイライラするわね・・・!」
バーラは妬みや怒りが混じった様な顔でスマイルオレンジを睨みつける。
「もういいわ!さっさとやってしまいなさい!!」
「トマレ〜〜イ!!」
バーラが負のモンスターに命令すると赤信号のトマレイが赤い光線を出した。
「くっ!・・・これじゃ攻めたくても攻めれない!!」
「このままじゃ負けちゃうキュ!りんか〜、頑張ってキュ!!」
「りんかちゃん・・・私は応援することしか出来ないの?・・・・。」
攻めることができず苦労するスマイルオレンジ、必死に応援するアルク、・・・・・そして自分の無力さを嘆く日向さち。
そして一瞬だけだが、アルクの胸から弱々しい光が出たのだが、まだその光は弱かったので誰も気づかなかった。
「よし、とりあえずあいつを後ろの方の戦闘になすりつけるか。」
「どういうことだ?」
一方で冬先の提案にウルフェンは理解ができず、冬先に説明を求める。
「まぁ、結局のところ・・・クソ!とりあえず逃げるぞ!!」
「ハピネスショット!」
冬先がウルフェンに自分の考えを説明しようとするも、敵との戦闘中にそんな暇があるわけでもなく、スマイルピンクがハピネスショットを射ってきたので、冬先とウルフェンはバラバラになって逃げる。
(話す暇もないってか?!・・・仕方ねえ・・。)
そう思った冬先は覚悟を決めた、そして・・・。
「おいおいどうした?そんなヘナチョコな弾じゃ当たんねーぜ(笑)。」
冬先はスマイルピンクを煽り始める。
「?!、あいつ何やってんだ?さっきまであの技にビビってたじゃねーか?!」
冬先の奇行にウルフェンは理解が追いつかない。
スマイルピンクも同様に冬先の方に視線を向けるも、特に怒ることもなく少し困惑するだけであった。
「・・・この調子なら、先にお仲間さんからヤっちまった方がいいかもしれないなあ。」
だがしかし、冬先が刀を抜き、刀の先端をスマイルオレンジに向けた後に放ったその言葉がスマイルピンクの表情を一変させ、みるみるうちに怒りの表情で染め上げられていった。
「りんかちゃんに、手を出すなアアアアアッ!!!」
「クっ!」
「!、フッ。」
スマイルピンクはわき目もふらずに冬先に突込み、たまらず冬先は刀を振るも圧倒的な速度で避けられる。
「嘘だろッ?!」
「ハアアッ!!」
「うおっ?!、危な!!!」
スマイルピンクが冬先にパンチをするも、それを冬先はギリギリで避けるがスマイルピンクのパンチはすさまじく、パンチをした後の強い風圧が冬先が被っていたフードを脱がす程だった。
「逃がさない!!」
「!!!。」
スマイルピンクが冬先を睨みつける視線は、冬先を鋭く射抜き震え上がらせるには十分すぎたものであり、たまらず冬先はバーラとスマイルオレンジが戦っている方向に逃げる。
(チクショー!あんなの反則だろ?!普通あんな至近距離で避けれるかよ?)
「ハピネスショット!」
(くそ!今は方向、あの方向に向かって走るしかねえ!)
冬先は最初、スマイルピンクをバーラとスマイルオレンジの戦いに巻き込ませる、すなわち冬先が割り込む前の戦闘の状況にしたかった。
冬先の考えでは自分が割り込んだせいで今の状況ができたのだと思い、「あれ、結局は俺って、いてもいなくても変わんなくね?」という結論になり、ならばとスマイルピンクを上手く引き付けてターゲットをバーラと負のモンスターにチェンジさせる事で自分は逃げるという計画だったのだ。
だがしかし即興で考えた計画が思い通りにいくはずもなく、冬先はスマイルピンクの攻撃に全ての集中力を使ってギリギリ避けながらバーラとスマイルオレンジが戦っている方角に逃げている状況であった。
「待て!!」
「!!!」
しかし身体能力に関して言えば冬先はスマイルピンクより遥かに劣っているため、徐々に2人の距離は近づきスマイルピンクのパンチが冬先のお面に近づいてきた。
「うわアアアッ!」
「おら!トマレ~イ!!」
だが突然、冬先のすぐ後ろから少女の叫び声と怒ったような叫び声が聞こえた。
(何だ?!)
冬先が反射的に後ろを振り向くと1つの人影が目の前に迫ってきた・・・いや、正しく言えば冬先の方に1人の少女が吹っ飛ばされたと言ったほうが正しかった。
「ガッ・・・・!」
そして吹っ飛ばされた少女が冬先とぶつかった直後に赤い光が3人を包み込み、3人とも動きをピタリと止めた・・・・かのように周りは見えた。
「!、しまった!!」
「え?」
「ピンク!」
そしてスマイルピンク、スマイルオレンジの2名が身動き取れない状態になる。
「そんな・・・。」
「大変だキュ!2人とも動けなくなってしまったキュ!」
そんな状況に日向さちとアルクは絶望の表情を見せるが対照的に魔界の者たちが希望のような雰囲気になるわけでもなく、
「ああ?なんか止まってねー奴がいるぜ?」
「え?」
「な・・・・。」
信号機の負のモンスターがある違和感に驚いた瞬間、ある人間の行動で全員が驚愕の表情となる。
「う、うわあ!・・・な、なんだ?」
(何だ何だ何だ?そういえばあんまり見てなかったけど、信号機?顔が3つ?わけわかんねー?!)
負のモンスターの能力を初めて実感した冬先は、自分が追い詰められて更には予想外のハプニングにもあったせいか焦りと困惑が混じって、冬先の心の整理がつかずに、赤信号にもかかわらず慌てて尻もちをついたまま立ち上がらずにスマイルハピネスから距離をとる。
「な!!!」
「うそ、!」
「な、なんで動けるんだキュ?!」
そう、冬先を除いて全員が驚いていた。何故なら彼は赤信号で動いたのだから。
「ハァ、ハァ・・・え?、なんで襲ってこないの?」
そう言いながら冬先は赤信号の光の中て立った。
「な、なんで動けるんだ?」
「?、なに言ってんだよウル?」
ウルフェンは冬先が赤信号の中で立っていられるのが理解できなかった。
それは冬先を除いた全員にも言える事なのだが、冬先は負のモンスターの能力を知らないので理解できない状況なのは冬先も同じであった。
「そ、そんな、どうして・・・・。赤なのに。」
日向さちは困惑する。
「う、嘘、どうして・・・。」
「こ、これってあたし達ピンチかな・・・・。」
スマイルハピネス達は自分らが追い込まれた事に焦りを感じる。
「な、なあおい。どうしてお前は動けるんだ?!」
ウルフェンが冬先に問いかける。
「え?いやだって、・・そもそも動けないの?」
「あ、ああ。赤と黄色の時は動けねえはずだ・・・。」
ウルフェンは冬先に負のモンスターの能力を説明するも、目の前でその説明を打ち破る現象が起こり、何が何だか分からなかった。
「・・・・・!!!、ハ、ハハ。アッハハハハハハハ。」
しかしウルフェンの説明を聞いた冬先が少し沈黙すると、今度は突然、笑い出した。
「な、なにがおかしい!」
スマイルオレンジが尋ねた。
「ハハハ・・・。いや、なに。あんた達っていい子ちゃんなのに、そのせいで追い詰められてんだなあって思うと面白くってね。」
「どういう意味?」
しかし冬先の返答に理解が追いつかず、スマイルオレンジはたまらず聞き返した。
「だってよ、学校のイベントで交通の授業みたいなもんがあるが、その時に「赤色の信号は止まれのサインなので止まりましょうね。」とか言われるだろ?あれって確かに車の信号が青色の時は歩行者の信号は赤色だ。正義の味方のいい子ちゃんはちゃんと守って止まるんだろうけどさ、普通に車が走ってなかったら俺は止まらずに動くからね。」
「な・・・。」
「大体、車が走ってなかったら赤信号でも渡らない?」
「なんて人なの・・・。」
冬先の説明している時の表情はお面を被っていたため、誰も分からなかったが、その声はとても爽やかな感じだった。
そんな冬先にスマイルハピネスは悪者を見るような目で睨みつける。
「まあそんな話はいいんだ。問題はこれでやっとお前をぶったたけるってことだ。」
冬先が斬れない刀を抜いてスマイルピンクに剣先を向ける。
「く!!」
「言っとくけど俺は女だからって容赦とか全然しないから。あんたのせいでこっちは死にそうな思いだったからな。」
そう言って冬先は1歩前へ歩こうとした。
「な、なんて悪い人なの・・・。」
「きららーーー!あんな奴に負けないでキューー!!!」
「なんて嫌な奴・・・!」
「く・・!私はあなたみたいなアンハッピーを求める人なんかには絶対負けない!!!」
しかし周りの言葉に冬先の足が止まる。
「え?いや、あの、だって・・・。」
途中まで言って冬先は自分に向けられた視線に言葉を失った。
(えええええ?、俺が悪いの?!いや俺だって車が走ってたら止まるからね俺?)
冬先は頭の中で必死に言い訳を考えた。
「・・・いや、まあ、ちょっと悪かったかもしれないけど、まるでクズを見るような目で見られることはないとないと思うんですけど?!そう思いません?!」
冬先は一言も喋ったことのないバーラに救いを求めるように訴えた。
「え?ワタシ?!・・・え、ええ、そう、ね・・・・。」
(え?なに、そのはぐらかすような返事。しかも目、合わせてくれないんですけど?)
突然の冬先の訴えにバーラは戸惑いながらも、言葉だけでは冬先のことを肯定するも目線を横に逸らして冬先と目を合わせようとはしなかった。
「・・・・ア、アレェー?急にカラダがウゴカナイゾー。」
「「「「「「・・・・・。」」」」」」
(チクショーーー!誰か俺を殺せーーーーーー!!)
結果、冬先はその場で立ち止まり、下手くそな演技でごまかそうとするも誰も引っかかるわけもなく、ただただ何とも言えない空気だけが残り、冬先は自暴自棄になった。
「ハァ、もう攻撃してもいいよね?もうめんどくさいんだけど。」
そんな気まずい空気を変えたのは負のモンスターの青信号の部分、ススメイだった。
すると、赤色の光が青色になっていた。
「「「!」」」
突然の事に動きを止められていた3人(?)は動揺して少しの間だけ動けなかったが、その一瞬ともいえる時間が負のモンスターが振り上げた手が3人に襲うのには十分だった。
「え、俺も巻き込まれない?ソレ?!」
「うるさいなぁ、めんどくさいんだよ。」
(えええええ?!こっちの意見ガン無視?!一応あんたらの味方の立場だと思うんだが?!)
冬先が焦ったところで負のモンスターは冬先もろともスマイルハピネスに向かって攻撃しようとする。
「だめえええええええ!!!」
「キュ?!この光は!!!」
しかし負のモンスターは攻撃を止めた。
日向さちの叫び声で攻撃を止めたのではない、その隣で日向さちの声に呼応するかのようにアルクの体が光ったのだ。
「な・・。今度はなんなの?!」
バーラはアルクの光る体を見て驚く。
「あの光ってもしかして・・・。」
「うん!きっとそうだよ!!」
一方で前にも似たような現象を目の当たりにしたスマイルハピネスの2人はその光に見覚えがあったため驚きはするも同時に笑顔になる。・・・・・そして、
「おい、逃げるぞウル!!!」
一応この物語の主人公(?)でもある冬先は、全員がアルクの胸の光に気をとられているうちに、この先の結末を予期し逃げようとしていた。
「!、やはり新たなスマイルハピネスか。だがリュ・・・ああ、めんどくせえ!とりあえず言っておくが今回の負のモンスターは結構やるぜ!!」
「うるせええええ!!どう考えたって覚醒イベントだろあれ!あんなんになったら有利不利とか関係ねーよ!主人公補正で絶対に勝つんだよあれ!!!」
(ええ・・・。)
ウルフェンは冬先を引き留めようと説得するも、ウルフェンの近くまで逃げてきた冬先は謎の怒りでウルフェンの説得を無理矢理ねじ伏せた感じになり、ウルフェンは少し引いた。
「今ハムスターと黄色の髪の女の子がなんか喋ってるから、この隙に俺は逃げるからな!」
「待て!今お前が逃げると・・・!」
ウルフェンは引き止めようとするものの、冬先はものすごい速さで逃げていき、2名の距離が離れた時にウルフェンは大型の狼サイズから中型犬のサイズになっていた。
「・・・・・バーラ様!新しいスマイルハピネスが現れたので俺は逃げます!あなたも速く撤退してください!!」
「え、どういう事?!」
バーラが問いかけるもウルフェンは遠くに逃げていった。
それと同時に日向さちの身体がまるで雷が落ちたかのように光り・・・
「悪い子にはビリビリッとお仕置きだよ!スマイルイエロー!!」
新しいスマイルハピネスが誕生した。
あと、タガタメも面白いよね・・・・・・すいません、頑張りますので、気長にまってくれると嬉しいです。面白かったらブックマーク登録と評価ポイントよろしく!!
・・・・本当にやる気が出ますので。(ガチです)




