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魔法少女の悪役のなかには、平和に生きたい奴もいる  作者: なかそね
第1部 魔法少女アニメ転生
12/51

12 正義の炎!スマイルオレンジ見参!!

この作品を楽しみにまってくれた方(いるかな?・・・・いるといいな)


申し訳ございませんでした。

「・・・・・なあ、もう一度だけ言ってくれねーか?少し・・・いや、全然理解できねえんだ。」

「いや、だから変な髪型と色してるだろ?」


 ウルフェンは自分の聞き間違いかと思い、再度、冬先琉斗に確認をとったが、同じ事を言われたので、やはり混乱した。


「・・・・・。」

「・・・・あーそっか、ウルは人間の世界では住んでないから髪の色じゃ違和感を感じないか。」


 ウルフェンが沈黙するなか、独り言のように呟いた琉斗は勝手に納得した雰囲気を出した。


「・・・リュウト、お前、頭でも打ったか?」


 そんな琉斗に対してウルフェンは憐れむように言う。


「えーと、ウル達(魔界)が言うところの人間界?だっけ、そこの人達ってさ、普通は髪の色が俺みたいな黒色か、茶色の人達なんだけど、あいつらみたいにピンク色とかオレンジ色みたいな明らかに変な髪色の人がいるんだよ。」

「確かにリュウトの言う通り普通の人間とは違うかもしれねえ。だが俺が言いてえのはリュウト、()()()()()()()()()()()()()で、()()()()()()()()()()()?」

「・・・・・・!」


 琉斗の表情が固まる。


(やばいな、確かに髪の色が違うくらいで、「あれがスマイルハピネスだ!」とか言っても説得力ないよな。でもなぁ、俺が異世界から来た事とか信じないよな。・・・・・よし。)


 悩んだ末、琉斗が導き出した答えは。


「まあ、見れば分かる。」


 説明を諦めて、ムリヤリ納得させることにした。


「は?」

「見れば分かる。」

「いや、だから・・・。」

「見れば分かる。」

「さっきから反応が冷たくねーか?!どんだけ俺を行かせたくねーんだよ!」


 明らかに逆効果であったが、琉斗は無表情のまま言い続けた。


「あーーー!分かったよ!!分かったからもう止めてくれ!怖ええんだよ、さっきからお前?!」


 そうしてウルフェンが根負けする形で、1人と1匹は木の陰から観察するのを続けることになった。

 そんなやり取りをして少し時間が経ったのか、グラウンドでも動きがあった。


「ハピネス、ショット!!」

「そんなシュート(攻撃)止めてやるーー!」


 夢見きららことスマイルピンクの攻撃を、負のモンスターが巨大なグローブで受け止める。


「うそ、効いてない?!」

「マダマダーーーー!!」


 次の瞬間、巨大なグローブのビンタがスマイルピンクの体を弾き飛ばした。


「ぐあっ!!」

「きららちゃん!!」

「痛ったたあ・・・もう!サッカーって、人を殴ったりしたら反則でしょ?!」

「え、嘘、立ち上がった?!」


 オレンジ髪の少女はスマイルピンクを心配するが、彼女はまるで何事もなかったかのように立ち上がり、互いに戦いあっている負のモンスターに対してサッカーのルールで文句を言っているのに対して、オレンジ髪の少女は驚愕した。


「きららちゃん大丈夫なの?!」

「私は大丈夫・・・とは言えないかなあ。こっちの攻撃全然効かないから。でも大丈夫!!皆のハッピーは私が守るから!!」


 そう言ってスマイルピンクは再度負のモンスターに立ち向かっていくも、巨大なグローブの前には無力であり、また強烈なビンタで弾き飛ばされてしまう。


「ぐっっ!!駄目だ、あの大きいグローブを何とかしないと!!」

「きららちゃん!!・・・・・きららちゃん、あんなに頑張ってるのに私だけ何もできないなんて・・・・・!!」


 オレンジ髪の少女が目をつぶって顔を下げながら自分の無力さを嘆く。だが次の瞬間、アルクの体、いや正確に言えば()()()()()()()()()


「ええ?!アルちゃん大丈夫?!」


 オレンジ髪の少女の心配を他所に、アルクはかなり驚いている。


「こ、この光はまさか!」


 アルクはオレンジ髪の少女を確認するように真剣に見つめる。


「え、えーと、アタシ?」


 アルクからの突然の真剣な眼差しにオレンジ髪の少女は少し気圧されている。



「君はスマイルハピネスになれる資格があるキュ!」

「え、スマイル・・・ハピネス?」

「お願いキュ!」

「きゅ、急にそんなこと言われても困るんだけどー?!」


 アルクからの急な頼みに、まだスマイルハピネスが何たるかを知らないオレンジ髪の少女は困惑する。


「本当にお願いキュ!スマイルハピネスになってきららを助けて欲しいキュ!」

「え?」


 困惑していた少女は冷静になる。


「もしかしてスマイルハピネスってきららちゃんの時みたいに変身するって事?」

「そうだキュ!」

「そっか・・・・・。」


 少女は夢見きららと負のモンスターの戦いを見る。

 最初はお互い互角だったが、きららの攻撃が効かず、今はきららが防戦一方である。


「決めた。きららちゃんが大変なんだ、私もなるよ!スマイルハピネスに!!」


 少女は決心する。目の前で自分を守ってくれる人を助けるために。


「ありがとキュ!君の名前は?」

「アタシの名前は()()()()()!!」

「分かったキュ!じゃあこの()()()()()()()を付けて欲しいキュ!」

「うん!!」


 アルクからの受取ものにリンカは元気な声で返事をして、指輪を自分の薬指に付ける。

 すると、りんかの体がオレンジ色に輝く。そして、


「内に燃えるは正義の炎!スマイルオレンジ!!」


 ここに、もう1人のスマイルハピネスが誕生した。


「レギュラーなんて、無くなってしまえーーーー!!」

「うわああああっ!」


 一方でサッカーゴールの負のモンスターはきららを追い詰めていた。


「どうしよう、このままじゃ!!」


 夢見きららは打つ手がなくなり焦っていた。


「はああああああ!!」


 しかし、次の瞬間、突然オレンジ色の閃光が負のモンスターの巨大なグローブに強いパワーの蹴りを入れた。


「ナンダ?このシュートは?!」


 突然の攻撃に負のモンスターは驚きを隠せないでいた。


「そこのサッカーゴール!アタシのクラスメートをいじめるな!!」


 りんかが負のモンスターに指差しをして、威勢良く声を上げる。


「もしかして、りんかさん?えええええ?!りんかさんもスマイルハピネスだったの?!」


 突然のりんかの参戦にきららも驚いていた。


「あはははっ・・・アタシは今スマイルハピネスになったばかりだけどね。でも、ただ見ているだけなのは嫌だったからね。アタシも一緒に戦うよ!」

「・・・・!うん、ありがとう!!よーし、私も落ち込んでる場合じゃない、ハッピーが逃げちゃう!!」


 負のモンスターに対して打つ手がなく暗い表情だったきららの顔がりんかの言葉で笑顔になり、元気よく立ち上がった。


「いくよ!()()()()!!」

「・・・・・!うん、()()()!!」


 スマイルピンクの呼びかけにスマイルオレンジは元気良く答え、2人は同時に負のモンスターに突っ込んでいく。


「「はあああああああ!!」」

「ウオオオオオオ!」


 負けじと負のモンスターも巨大なグローブのビンタで応戦しようとするも、2人の動きに翻弄されていく。


「はあああああ、ハピネスショット!!」

「そんなシュート(攻撃)はキャッチしてやるーー!!」


 しかし、巨大なグローブのせいか、負のモンスターの防御力は高く、ピンクの必殺技を片手で難なく弾き飛ばしてしまう。


「どうしよう、私の力じゃ止められる・・・・。」


 ピンクは自分の攻撃が効かず、困惑する。


「大丈夫!アタシがやる!!」

「オレンジ?!」


 いつの間にかオレンジが離れた位置にいる。


「アレを倒すには強い力で倒さなきゃいけない。・・・・それなら!!」


 オレンジが負のモンスターに向かって一直線に走る。

 そして負のモンスターから少し離れた位置でオレンジは高く跳ぶ、すると上空には真っ赤に燃える太陽のような大きい球体が浮かんでいる。


「ハアアアァ、ハピネス シューーーーート!!」


 オレンジが太陽のように燃える球体を負のモンスター目掛けてシュートする。


「ソ、そんなシュートはキャッチしてやるーーー!!」


 オレンジの必殺技を負のモンスターが両手のグローブで受け止めるも、オレンジの技の威力は落ちず、それどころか威力がどんどん上がっていく。


「いっけええええええ!!」

「な、なんてシュートだーーーーーー!!」


 オレンジが叫び終わるのと同時に、太陽のような球体が負のモンスターのグローブを貫通し、サッカーゴールのネットに見事ゴールを決めて、負のモンスターは爆発した。


「す、凄いよりんかさん!とってもカッコよかった!!」


 戦いが終わり、変身が解けた夢見きららが、変身の解けた赤羽りんかのところへ駆け寄って、とても嬉しそうな様子ではしゃいでいる。


「ありがとう。でも、りんかさんって呼ばず、気軽にりんかでいいよ。あたしたちもう友達みたいなもんでしょ?」

「じゃあ、()()()()()()、でいい?」

「ふふ、じゃあアタシも()()()()()()って呼んでもいい?」

「もちろんだよ!!」


 2人は満面のスマイルを見せた。





「な?言った通りだったろ?」

「・・・・ああ。」


 きららとりんかが下校した後、グラウンドには冬先琉斗とウルフェンが立っていた。


「まさか、もう1人スマイルハピネスが増えるとは、コイツはマズイぜ。」

「俺の見立てだと、後2人はスマイルハピネスになる可能性があるよ。」

「な、あと2人もだと?!」


 魔界側にとって脅威になるであろうスマイルハピネスが1人増えて、焦りを感じていたウルフェンに対して、琉斗の発言はウルフェンを驚かせるには十分だった。


「ああ、多分、黄色い髪の娘と青色の髪の娘だと思う。」

「クソ、これじゃ人間界を支配するのは難しくなるぜ・・・。」


(うわあ、人間が目の前にいるってのにコイツ(ウル)普通に人間界の支配とか軽く言うようになったなあ。バカなんだろうか・・・。まあ、どうせスマイルハピネスがキングサタンを倒して平和になるだろうし俺には関係ないけど。)


 琉斗はウルフェンの悩みに対して無関心でいた。


「そう言えば負のモンスターって人の感情で作ってんだよな?なら負のオーラを出した人がいるのか?」

「あ?どっかそこら辺で寝てんじゃねーの?」


()()()()?・・・・・あ、本当だ、あそこにサッカー部の人がいる。)


 琉斗が辺りを見渡すと、学校の入口付近で、冬先琉斗が学校から帰る時によく見かけるサッカー部のユニフォームを着た人が倒れこんでいた。


「あ、じゃあ俺はあの人の様子を見てくるわ」


 琉斗はちらりとウルフェンの様子を見ると、とても不機嫌そうに独り言をブツブツと言っていたので、琉斗は逃げるように気を失っている人の元へ駆け付けると、その人はゴールキーパーの人が着けるグローブを着けていたので、この人が今回の騒動の原因となった人だなと琉斗は直感した。


「あのー、だ、大丈夫ですか?」

「・・・・・ん、君は?」


 琉斗が声をかけると、気を失ってる人が目を覚ました。


「いや、気を失ってたから大丈夫かなと。」

「え、俺が?・・・・・そういえば今日、俺が部活の大事な試合で相手のシュートを止められなくて負けちゃって、それで酷く落ち込んで、それから凄く悔しくなってサッカーゴールのポストにサッカーボールをぶつけてたんだ。そしたら突然、()()()()()が気が付いたら俺の目の前に現れて、あれ?そこからの記憶が・・・・。」

「お、おお。」(す、凄ぇ、なんも質問してないのに勝手に喋ってくれたよ。)


 琉斗は気を失ってた人がまるで、お決まり事のように今までの経緯を丁寧に語ってくれて、やはりここはアニメの世界なのだなと思い、少し驚いた。


「それは大変だったな。まあ、その、・・・・悔しいよな。」


 琉斗はサッカー部には入っていないが、その人がとても後悔しているように話していたので、琉斗なりに気をつかった。


「ん?・・・ああ大丈夫だよ。今はなんか気分は悪くないし。」

「・・・・・え?」


 しかし琉斗の思惑とは裏腹に、少年はとても明るい笑顔でそう言った。


「寧ろ今はとてもスッキリとした気分なんだ。それに皆に迷惑かけるわけにはわけにはいかないからな。練習して次こそは止めてやるさ。」


 そう言って少年は、「これからシュートを止める練習をするためにチームメイトを誘って練習するから呼んでくる。」と言って学校の中に入っていった。


「・・・・・・・。」


 その場に残された琉斗はある()()()()()が頭の中をよぎった。


(俺がおかしいのか?()()()()()()()()()()()()()?)


 琉斗はサッカー部ではないが、さっきのゴールキーパーの少年が悔しそうに話してるのを見て、とてつもない罪悪感や怒りなどを感じたが、少年はまるで何事も無かったかのように笑顔を見せ、しかもその笑顔が琉斗に気を使った笑顔ではなく、まるで立ち直ったかのような笑顔に琉斗は強烈な違和感を感じた。


(あと周りの反応が()()()()()。)


 スマイルハピネスと負のモンスターが戦っている時、周りにはスマイルハピネスとアルク、冬先琉斗にウルフェンとゴールキーパーの少年しかいなかったものの、あんなに激しい戦闘音がしたにもかかわらず、学校にいる人、特に教師などが、さも何事もないように一切のリアクションを見せなかった事に琉斗は驚いた。


(・・・・・・・まあ、ここアニメの世界だし、都合のいいようにできてるか!!)


 しかし琉斗が疑問に思ったことは、ここがアニメの世界だからという結論で納得した。


「さてと・・・。」


 琉斗が後ろを振り返ると、ウルフェンが未だに険悪なムードで独り言を呟いている。


「・・・・・帰るか。」


 冬先琉斗はウルフェンを置いて帰る決意をした。








 そんな1連の出来事を学校の屋上から観察していた1人・・・・・いや、巨大な負のオーラがにじみ出ている1つの存在がいた。


「ふ~ん、あれがスマイルハピネスか。成程、少し見とれるほどのパワーだ。だが美しくないな。あれならボクがてを出すまでもないな。だが、あの犬みたいなもの、あれは確かゾルゲの報告にあった新入りの内の一匹のはずだ。何故人間と一緒にいる?・・・・・他にも疑問があるがまあいい。奴は確かあの怠け者のジェンダーの部下だ・・・・フッ、ならば奴の口から喋ってもらおう。上手くいけば奴を三幹部の座から引きずり下ろせるかもしれない。ククク、はーはっはっーーーー!!」


 高笑いするその存在は、()()()()()()()()()()()()()





まあ、異世界だからしょうがないね・・・・・・・・。



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