11 スマイルハピネスの見分け方
決して小説投稿からは逃げてないぞ・・・・・バイト辞めたら時間が増えるかな。
「それは、この場所で負のモンスターが現れたんだキュ!!」
「ええ?!最近は魔界も、おとなしかったのに、まさか私の学校に現れるなんて・・・。」
「しかも、1人巻き込まれてる生徒がいて危ないキュ!!」
「もしかして!!・・・・分かった、直ぐに行くよ。アルちゃん、案内して!」
どうしよう、もしかしたら、さっちーや琉斗君が危険な目にあってるかもしれない。急がないと。
きららは走ってアルに付いていく。
そしてグラウンドに出ていくと、そこには巨大な手足にサッカーグローブとスパイクを付けたサッカーゴールがオレンジ色のショートヘア型の髪をした女の子を追いかけている光景がきららの目に映る。
「うわああッッ、何でサッカーゴールが追ってくるのーー?!」
「ウオーーーーッ!!ゴールが動けばサッカーは負けないーーーー。」
「そんなのはサッカーじゃないでしょーーー?!」
今にもサッカーゴールの見た目をしたモンスターが少女に襲いかかりそうな雰囲気だ。
「うわああああ!!」
モンスターが少女を襲う。
「危ない!!」
間一髪のところで、きららが飛び込んで少女を助ける。
「大丈夫?」
「痛た、なんとかね。・・・あなたは確か転校生のきららちゃん?!」
「うん。それより突き飛ばす感じになっちゃってゴメンね。怪我とかない?」
「私は大丈夫。それより、ここは危ないから早く逃げて!」
「大丈夫!私はすっごく強いから!!」
そう言って、きららは勢いよく立ち上がり、綺麗な桃色の宝石が付いた指輪を左手の薬指に付ける。
その瞬間、きららの体が輝き、髪が見る見るうちに伸びてツインテールとなり、服装も学校の制服からピンク色を主体とした服に変わっていく。
「ピカリと光る幸せな光、スマイルピンク!!」
「・・・・きらら、ちゃん?」
夢見きららの隣にいるオレンジ髪の少女は、この現状を理解出来ずに、その場で座り込んでいる。
「あ、えーと、これには理由があるんだけど、後で話すねーーー!!」
そう言って、きららはサッカーゴールの姿をしたモンスターに突っ込んでいく。
「・・・・どうなってんの?アタシ、夢でも見てるのかな?」
「夢じゃないっキュ。」
「うわ!!・・・・・ハムスターが喋った?」
混乱しているオレンジ髪の少女の隣で、フワフワ空中に浮いているハムスターみたいなのが話しかけた。
「ボクはアルクって言うキュ。きららからは「アルちゃん」と呼ばれているんだキュ。」
「ア、アハハ・・・も、もう何が何だか分かんないや・・・・。」
少女は更に混乱した。
「ええと、アルちゃん?だっけ。色々と聞きたいことがあるんだけど、あのでかいサッカーゴールは何?!あと、なんできららちゃんの姿が変身しているの?!ていうか君、何者?!」
鬼気迫る気迫で少女はアルクに問い詰める。
「そ、そんな一気に質問されても困るキュ!!」
少女の気迫に押されたのか、アルクは少しビビった。
「え、・・・あ、ゴメンね?!驚かせるつもりはなかったの。」
自分が、かなり強気でアルクに質問していたのを察したのか、少女は冷静になった。
「ふう、まぁ大丈夫キュ。僕はクイーンミカエル様に信頼されている者だから、このくらいで驚いたりはしないキュ!!」
「へ、へーそうなんだー。」
少女は反応に困っている。ついさっきのアルクの反応は明らかに驚いた反応だったからだ。
「・・・・・ほ、本当に驚いていないキュよーーー!!」
「わ、分かってるから!取り敢えず落ち着こう?」
「そ、そうキュね。」
そうして、アルクが落ち着いたのを見て、少女は一息ついた。
「じゃあ先ず、きららが戦っているのは、”負のモンスター”って言う悪いモンスターだキュ!!」
「負の・・・モンスター?」
少女は負のモンスターの方を見る。彼女からすれば、ソレは余りにも自分の常識から外れており、理解が追いつかない。
しかし、実際に今、目の前で起こっていることは、夢ではなく現実ということだけは理解しつつあった。
「負のモンスターは、人間の負の心が原因で生まれてしまう負のエネルギーが具現化したモンスターなんだキュ!!」
「負のエネルギー?」
「人間が悪い気持ちを抱いた時や、絶望した時などで起こるエネルギーなんだキュ。」
「よく分かんないけど、もし私達の悪い気持ちがああいうのを生み出しているなら、何で今まで出てこなかったの?!」
彼女は疑問に思っていた。
もし、負のモンスターが人間の邪な感情が原因だとするなら、今までの自分の人生で、そういう気持ちになったことは何度かあるからだ。
なら何故、今まで彼女の目の前に負のモンスターが現れなかったのか、彼女には不思議で仕方なかったからだ。
「それは最近、キングサタンっていう、悪い奴がこの地球を侵略しようとしているからなんだキュ!!」
「キング・・・・サタン。」
もちろん、今の彼女にはキングサタンという者の存在は知らない。
「・・・・・・そういう事だ。分かったか?」
「いや、全然分かんねーよ。ていうか前から聞きたかったんだけど、キングサタンって何なの?ウルの上司ってジェンダーさんだろ。」
それは負のモンスターと夢見きららの戦いをグラウンドの隅に生えている木から、こっそりと観戦している冬先琉斗も例外ではなかった。
冬先琉斗が下校しようと、周りに誰もいない校門を出て下校しようとした時だった。
「あーーー。マーージで補習とか2度と受けないように次はちゃんと勉強しようかな。」
そう呟き、誰もいない道を歩こうとした時だった。
道の向こうから1つの人影・・・・いや、犬くらいのサイズの何かが琉斗に向かって走って来た。それは琉斗にとって見覚えのある奴だった。
「・・・ウルフェン?」
ウルフェンが琉斗に向かって走って来た。
琉斗がウルフェンを見つけて驚いた直後だった。
学校のグラウンドから女子の叫び声がするのを聞き、後ろを向くと、サッカーゴールがオレンジ髪の少女を追いかけてる光景が琉斗の目に写った。
「・・・・・・。」
琉斗は無言で、その光景を見ていたが頭の中では、これは魔界の奴らの仕業なのだと直ぐに悟った。
「琉斗!!ちょうど良かったぜ。また、あん時みてえに力を貸せ!!!」
ウルフェンも琉斗を視認していたのか、琉斗と合流した。
「うん。帰っていい?」
「・・・・は?」
ウルフェンの協力要請を、琉斗は即、否定した。
「俺、今日は疲れたから帰るって事。」
「・・・琉斗、お前やる気ないだろ。」
「当たり前だ。そもそも俺は魔界の侵略とか、どうでもいいわ。」
琉斗は本心でそう言った。
彼にとって、この世界は悪役がハピネススマイルに敗れてそのまま平和に終わると確信しているので、負けると分かっている勝負をする気はないと、冬先琉斗は思っていた。
「ハァ、まあいい。お前は何もしなくてもいいが、せめて近くには居てくれ。そうでなきゃ力が発揮できねえ。」
「え、そうなの?・・・・でも止めといた方がいいぜ。近くにハピネススマイルがいるから。」
「何?リュウトが前に言ってた俺達に敵対する奴らが近くにいるのか?!」
「ああ。取り敢えず、あそこの木の陰に隠れて様子を見れば分かるから。」
そうして琉斗とウルフェンはグラウンドの隅にある木の陰に移動し、琉斗はオレンジ髪の少女と似たような質問をウルフェンに問い、今に至る。
「確かに俺はジェンダーさんに仕えてる。だが、ジェンダーさんは三幹部の一員なんだ。その三幹部を束ねているのが、魔界の王であるキングサタン様だ。」
「へーーー。」
「お前、興味もってねえだろ。」
(興味はあるけど、ネーミングセンスがシンプル過ぎて、いまいち怖く感じられないんだよな。
まあ、女の子用のアニメの世界だから、悪役を怖くしたりしたら子供にトラウマ植え付けるだろうから仕方ないよな。
でもそんな事言ったら、絶対ウルには理解されないだろうし、何より「キングサタン様を侮辱すんのか!!」って怒ってきそうだから黙ってよう。)
「まあ俺は家でぐうたらしてたい、一般人だからな。」
琉斗は思った事を口には出さず、興味がない風に応えた。
「フン! ならもう聞いてくるんじゃねえぞ。とにかく加勢に行くなら早い方がいい。俺はもう行くぜ。」
そう言った直後、ウルフェンは中型犬のサイズから大きくなって狼くらいの大きさになり、夢見きららと負のモンスターの戦いに乱入しようと、木の陰から飛び出そうとする。
「あ、最後に1個だけ聞かせてくれ。」
「・・・チッ、何だよ。」
それを止めるかのようなタイミングで、琉斗はウルフェンに質問を投げかけ、ウルフェンは舌打ちをして、木の陰から飛び出すのを止める。
「負のモンスターに感情ってあるのか?」
「当たり前だろ、人間の悪い感情を使ってるんだからよ。」
「ああ・・・いや、なんていうか・・・・・そう、意思を持ってるのか?って事が言いたかったんだ。」
「あ?知らねーよ。何で俺がテメェの質問に答えなきゃいけねーんだよ!」
「あー、いやまあそうなんだけど、頼むよ。」
琉斗は引き下がろうとはしなかった。
「チッ、前に「実験する」とか言ってた奴が喋ろうとしたが、会話が成り立たねえとか言ってやがったから無理なんじゃねーの?!」
(なんなんだよ、さっきから俺の邪魔ばかりしやがって、ウザイんだよ!!コイツは何がしたいんだよ?!)
ウルフェンはイライラしていた。
自分の行動を琉斗に邪魔されて、とてもイライラしていた。
だから琉斗が怒るだろうと予想しても、琉斗の質問に対して強い口調で言い返した。
「・・・・そうか、そうなのか。」
しかし、ウルフェンの予想とは裏腹に、冬先琉斗は独り言のように呟き、少し安心した表情をしていたので、ウルフェンは驚いたが顔には出さなかった。
「・・・・じゃあ俺はもう行くから、テメェは引っ込んでろよ。」
ウルフェンは今度こそ木の陰から走り出そうとする。
「待てい。」
しかし、冬先琉斗がウルフェンの尻尾を掴んで無理やり止めた。
「ギャワン!!!!!」
ウルフェンが叫び声を上げた。
「なにしやがる!!」
「まあ待て、このまま行っても俺らじゃ足手まといだ。いや、あの負のモンスターにも敗れるから逃げたほうがいい。」
ウルフェンが怒っているのに対して冬先琉斗は全く罪悪感を感じてないのか、冷静に淡々と話す。
「ああ?!何で分かんだよ!占い師かテメーは!!!大体、今スマイルハピネスが追い込まれてる今がチャンスだろ!」
ウルフェンの指摘通り夢見きららの攻撃が負のモンスターの巨大な手によって防がれている。
「確かにそうだ。だが、それがマズイ!!何故なら、そうなるとお約束でもう1人のスマイルハピネスが現れるからだ!!」
「何だと?!」
ウルフェンは驚愕した。確かに今は負のモンスターが優勢だ。
だがもしも、あのピンク色のスマイルハピネスと同様の力を持つ者が現れたら?
それは負のモンスターが負けることを意味し、さらにはこちら側の侵略が難しくなることでもある。
「どこにいるんだ?!もう1人のスマイルハピネスは!!」
「あそこのオレンジ髪の娘だ。これからスマイルハピネスに覚醒する。」
「は?・・・・・するってえと、お前はこれから「アイツがスマイルハピネスになります」って言いたいのか?」
「うん。」
(馬鹿かコイツ?!そんな事分かるわけねーだろ。・・・だが何だ?こいつの妙な自信は。)
もうウルフェンには何がなんだか分からず、混乱している。
「な、何でそんな事が分かんだよ。」
たまらずウルフェンは琉斗に質問した。だが冬先琉斗から発せられたのは、予想外の答えだった。
「変な髪の色をしているからだ!!!」
「・・・・・・は?」
ウルフェンは更に混乱する。
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