プロローグ2
「買ってきたぞ~」
青年は扉を開けるとダルそうな声で言った。
「おお、お疲れ」
「お帰り~」
「おせぇぞ」
「眠い」
「何いってんだよ。今からまた、飲むんだぞ」
するとそこには六人の色々な体躯をした人間がいた。
その内の五人が一様に反応した。
が、一人だけ後ろの少女の存在に気付き目を丸くした。
「事案発生?」
その一人が言うと他の五人も気付いた。
「お前また警察のご厄介になるのか」
「少女誘拐てどんな刑罰だっけ?」
「さぁ、忘れた」
「······」
「おーい、起きろー大丈夫かー」
五人がまた一様に反応すると青年は呆れた顔して言った。
「違う。依頼人だ」
そう青年が言うと六人はなんだ、と呟いた。
その時少女はというと、ほぼ下着のような格好で座っている女性を見て顔を真っ赤にしていた。
「で、どんな依頼だ?」
一人の男が聞くと青年が答えた。
「人探し、だそうだ。そうだろ?」
青年が少女に聞くと少女は気を取り直し頷いた。
「なるほどな。お嬢さん誰を探しているんだ?」
「妹です」
少女が言うと男は考え込んでから口を開いた。
「山を登れば」
男がいきなりそう言うと少女はポケットに入れてたメモ用紙を取り出して続きを言った。
「蛇に会う」
少女が言うと男は頷いて他の六人を見た。
「妹を探すのに裏での合言葉、か」
ダルそうな男が頭をポリポリ掻きながら呟くと次は青年が聞いた。
「情報を渡した男は何て言ってた?」
少女は何故男だとわかったかは気にせずにその質問に答えた。
「えっと。それは私が妹を探すきっかけになった言葉で、【人類滅亡計画】と」
少女がそう言うと七人の男女は目を見開いた。
「なるほどな」
「なら、自己紹介しといた方がいいかしら?」
一見少女より年下に見える女の子が言うと他の六人もそれを首肯した。
「では、私から先ずしますね」
そう少女が言うと少女は一息つきいった
「私は戌神出雲と申します。妹とは6年連絡が繋がりません。私が18なので妹は今14の筈です。」
「戌神で人類滅亡計画、そしてその頭、もしかして···」
青年が何事か呟いていたのを出雲は聞きやや気になる単語がいくつかでたがそそる好奇心を我慢して七人の自己紹介を聞いた。
「ああ、俺は鬼怒川京夜だ。昔はなんだかんだで憤怒、て言われてたよ。今もだが・・・。お前が情報屋にどこまで教えられてるかはわからないが、元死刑囚だ。俺たちはな」
出雲はそれを聞いてもやはりか、という顔をするだけだった。
「私は柊桃よ。年はこう見えてもあなたより一回り以上長生きしてるかしら。私はは傲慢と呼ばれているのよ」
こう見えても、とは正にその通りで見た目はゴスロリのような服装でツインテール。
それに金髪と何かのアニメキャラのコスプレのような格好で12歳くらいの少女にしか見えないからだ。
「まぁこの中で一番年上だけどな」
そう男が言うと桃は思い切りその男の足を踏んだ。
「痛っ!まぁいい。俺は岩神剛だ。俺は強欲と言われてるよ。何?ちっとも強そうに見えないだって?これでも合気道と空手、初段だけどな」
剛が言うと出雲は後の人たちの昔の通り名のようなものがわかった気がした。
「私は白蛇黒よ。ふふ、白蛇なのに黒、変わった名前でしょ?私は嫉妬と呼ばれているの。あなた18?若いって良いわね。私はもう若くないけど、若さというのは妬ましいわ。ふふ」
黒からでてる黒いオーラになんとか耐えながらやはりか、と心の中で出雲は呟いた。
-見た目は桃さんを除いて一番若くみえるんだけどなぁ。
出雲がそう考えていると如何にも眠たそうなひょろひょろな男が口を開いた。
「俺は黒崎日向怠惰と呼ば····れ···て·······い·······rzzzzzz」
日向は自己紹介の途中で眠りに落ちた。
それを又か、と他のメンバーは頭を抱えながら、日向を起こした。
「俺は俺は緑名字はない。暴食と呼ばれている。」
出雲はやっと普通の自己紹介が来たと胸を撫で下ろした。
緑は一見ひょろっとした体型をしているが、暴食と言われているのに出雲は疑問を抱いたがあまり気にしなかった。
「私が最後ね。名前は大神色葉よ。色葉なんて可愛らしい名前だけど、色欲の名をもらってるわ。」
出雲は色葉が何故色欲と言われているかが分かった気がした。豊満な胸に日本人とは思えないお尻そしてその格好。目のやり場に困るが、他のメンバーは慣れているのかあまり気にしてはいなかった。
「そう言えば桃さんはおいくつ何ですか?このなかで一番年上って····」
そう出雲が言うと剛が嬉々として答えた。
「35だ!」
そう剛が言うと出雲は大きく目を見開き驚いた。
それと同時に剛に年長者の腹パンが下された。
「だまるのよ」
桃はそう言うと次は剛の足を思い切り踏みつけた。
出雲は、ははと乾いた笑いをあげた。
「では皆さん、妹を宜しくお願いします」
出雲は丁寧に頭を下げた。
七人は任された、と首肯した。
*
これは出雲が七人のアジトにくる数日前の話。
「人類滅亡計画だぁ?」
京夜が目の前にいる男に向かって、呆れた顔をした。
「まぁ、信じられないと思うけど、これが冗談じゃすみそうにないんだよね」
男、出雲に情報を提供した坂本鞍馬は苦笑いしながら答えた。
「また、変な依頼でも持ってきたのかい?」
奥にいた色葉が疲れた顔で鞍馬に話しかけた。
「まぁ、間違ってもいないかな」
鞍馬はそう答えると鞍馬の前にぶぶ漬けが置かれた。
「これでも、食え」
黒がお盆を顔の前にやり鞍馬を睨み付けながら言った。
「おっと、これは大分嫌われてるな」
鞍馬はそれも笑って受け流した。
すると黒は舌打ちをしてそそくさと戻っていった。
「ま、話しを戻すと、この人類滅亡計画をどうにかしてほしいと言うことだ」
鞍馬が言うと京夜は目を瞑り答えた。
「分かった」
京夜がそう言うと鞍馬はうんうんと頷き、帰りの準備をしながら、思い出したかのようにいった。
「そうそう、この数日間の間に人類滅亡計画に関する依頼人がくるから。ついでにその子は戌神の末裔さ」
鞍馬は最後にそう言うと返事を聞く前に帰っていった。
「戌神の末裔、ね」
京夜はそう呟くと奥の部屋に戻っていった。