プロローグ
初めての執筆になります。よろしくお願いします。
ある病院の一室
夏至を過ぎてからやけに遅くなった夕日も、甲高いセミの鳴き声も、この部屋の分厚いカーテンに遮られてしまっている。
命の鼓動を告げる電子音だけが控えめに鳴り響き、何とも言えない重苦しい空気を醸し出している。
丈夫そうなベットには青白い顔をした青年が、全身の至るところに管を引かれて横たわっている。
息をしているのかさえわからないが、呼吸を補助する器具が曇っていることから辛うじてまだ生きているのだろう。
医者が言うには今夜が山だろうと。持っても一日もつかどうかと。
そんな絶望を突き付けられた青年の弟と思われる人物は、一人部屋の隅で夜を待つが、あることを思い出して慌てて踵を返し家へと向かう。
兄からの頼み事。たった1つの兄からの言葉。生前よく言いつけられてきた事。
「弟よ。もし俺が死んだら・・パソコンを粉々に破壊してくれ。絶対だぞ」
任せてくれ。兄よ。いいつけは絶対に守る。誰も兄のパソコンには触れさせない。
弟は走った。病院から3㎞の自宅まで。周りの目など気にせずにひた走る。
「兄ちゃん!!パッ・・パソコン!じぇったい壊すからあっ!!安心して逝けよお!!!」
あふれ出る涙をぬぐうことなく、彼は兄のいいつけを守るために全力で走った。
彼が自宅についたころ、病室では独特なリズムを刻んでた無機質な電子音がけたたましく鳴り響いた。
竹浦樹は誰もいない病室で一人、静かに息をひきとった。
つたない文章ですが、最後までお読みいただきありがとうございます。




