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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

[まゆがくれたぬいぐるみ]

作者: 使徒佐さとし

 東京都のとある中学校で校内でちょっと変わった生徒がいた。その生徒の名は志村さとしで、成績は普通で体育の成績も普通である。部活も陸上をしているが、特にずば抜けている記録も無い。特に何かがあるわけではないが、さとしは自分で超能力を持っていると皆に自慢していた。その超能力は風を操る超能力だと言う。

 「お前いつもそう言ってるけど能力を見せろよ。」

 「ダメなんだ。これは本当に危ない能力なんだ。これを使えば国家規模の危険が起きてしまう。」


 そんな中二病のさとしを好きになった宮中まゆがいて、さとしの隣の席に座っている。まゆは中二的な感じは置いといて普通にさとしが好きなのだ。まゆは告白のタイミングを見ているがなかなか出来そうにもない。さとしも自分の事が好きかどうかも分からない。そもそもさとしに誰かが好きとかいう感情があるのだろうか。そんな謎だらけのさとしだが、単に中二病という訳ではないようだ。


 さとしは小学生の頃家が火事になって、現在はアパートに暮らしているがあの時風が吹いてなかったら全焼は避けられていた。火事になった日は台風がきていて、強い風で火に勢いが出て、本来ならボヤ騒ぎで済んだはずだった。しかし風のせいで火が広がりさとしが大切にしていたぬいぐるみなどが燃えて無くなってしまった。この時のショックが大きいせいで、さとしはいつしか自分に風を操る能力があればあれも避けられたはずだと思うようになり、必死に風に関する勉強をしたのだ。


 気象、地形、気圧、大気、気流、重力、あらゆる勉強をした。そこでさとしは風の仕組みがわかるようになって、風を操る方法があるということを突き止めた。風は空気が移動することで発生する現象だ。物体が移動すれば当然その周囲は風が発生=空気が移動している。風を操るにはこの空気の移動を調整すればいいのだと、さとしは考えた。


 それから数年がたってさとしは小規模であるが空気の移動を調整する事に成功させた。さとしはついに風を操ることに成功させ、その喜びから皆に自慢していたのだ。


 夏休み直前になってまゆはさとしを呼び出した。

 「あの…前からずっと、さとしくんの事が好きでした。」

 「俺のことが?」

 「ダメ?」

 「止めといたほうがいい。宮中さんも知ってると思うけど俺はこんな人間だぜ。本当は分かってる。こんな能力なんてあるはずが無い。普通に嘘だって事を。」

 「え?あれ嘘だったの、凄いと思ってたのに。」

 (こいつ俺よりやばいかも・・・)

 それからさとしとまゆは付き合い始めた。


 夏休みに入ってまゆはさとしの家に泊まりにきた。そのあといろんなことをヤってお互い同じ布団に寝た。

 

 しばらくして、さとしは異変に気づいた。部屋が煙で充満していたのだ。さとしは下に降りると、キッチンから出火していた。さとしにはあの時のトラウマが蘇る。

 「なんとかしおないと。上にはまゆが寝てる。」

 さとしはなんとか考えていたがどうにもならなかった。そこでさとしは、両手を火に向かって押したのだ。すると、猛烈な風が吹いて、火力が増す間もなく火が消えたのだ。

 「うそだろ?」

 

 さとしに風を操る能力が本当に身に付いたのだ。騒ぎで目が覚めてまゆはいつのまにか後ろに居た。

 「今の見たか、俺今風を起こしたんだぜ。」

 「見てたよ、凄いね!」

 「この事はみんなには内緒だぞ。」

 「内緒って言いふらしてんじゃん。」

 「そうだったな。」

 

 それから1週間が経ってさとしらは海水浴に行っていた。さとしは得意に水切りを披露していた。まゆも負けまいと水切りをやっていたら、まゆから猛烈な風が吹いたのだ。まゆの顔は青ざめていた。

 「お前それって・・・」

 風の能力を持っているのはまゆだったのだ。

 「じゃああの時の火を消したのって。」

 「うんそれ私がやったの。」

 「いつから使えるんだ?」

 「この能力に気づいたんは小学5年生の時かな、なんか試せるものが無いか探していたら、家が一軒燃えてて、この能力で消せないかなと思っていて風を吹かしていたら、余計燃えてしまって。」

 「え!?」

 「そうえいえば私が小学校の時にさとしにあげたぬいぐるみ今もある?」

 「お前、その家は俺の家だぞ。」

 「え?うそ!?」

 「お前能力を試す為に燃えている人の家を実験に使ったのか。」

 「違うよ、消そうと思ってやったんだけど、余計火が増えるなんて思ってなかったから。」

 「お前のぬいぐるみも全部燃えたよ。」

 「そう・・・なら仕方ない。私の能力は人も殺せるの。」

 「ちょっと待て、なんでそうなるんだ。」

 まゆはさとしをはるか遠くまで吹き飛ばした。


 「あああああああああああああああああああああああああああ」

 「うるさい、びっくりするじゃない。」

 「あれ?」

 「すっごいうなされてたけど。」

 「あれ、もしかして・・・」

 「やっぱりまだ忘れられない?」

 「うん」

 「じゃあ今度私をさとしに上げるよ。」

 「ほんとに?」

 「だから今度は無くさないでね。」

 「おう!」

 

 果たしてさとしに風を起こせるのか。


 これが後に「ムタチオン」に繋がるきっかけとなりました。

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