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涙爆弾  作者: 藤本乗降
歯止めのきかない一人文句
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 よう。

 お前さんとは恐らく「はじめまして」だろうなあ。

 ……あ? 何とぼけた顔してんだよ。

 お前さんだよお前さん。さっきからジロジロ見てるお前さんに言ってるんだよ。

 ……そうそう。うん、やっと自覚したか?

 オーケーオーケー。ならお話を始めようじゃねえか。

 といってもアタシはこのお話の語り部でもなけりゃ主人公でもねえけど。

 『じゃあ何者なんだ』……そう言いたげだなあ。

 まあいいじゃねえか、アタシが誰であろうが何であろうが。

 大切なのはアタシのことじゃなくって、お前さんのことだろう?

 お前さんがこの先どう生きていくのか。どう死んでいくのか。

 お前さんが何者になるのか。何者になれないのか。

 お前さんが何を産み出し、何を破壊するのか。

 お前さんが本来考えなくっちゃいけねえのはそういうことだ。お前さんが若者だったらなおさら。

 だからアタシのことなんか気にせず、フィクションなんか気にせず、そのまんま自分の目の前を見て生きていくのが一番いいさ。

 人間の目ん玉が前についているのはそういう理由ワケらしいぜ?

 話は変わるが、「目」といえばこんな話を知っているかい?

 人が感覚器官から得る情報ってのは視覚情報が九割を占めるんだってよ。

 耳や鼻は「見えていない」ところを察知するのに非常に役立つ器官じゃあるが、目に見える範囲内において視覚情報と他の情報とが食い違った場合、人は必ず視覚を信じちまうんだ。

 もしかしたらその映像は眼球へのイタズラ書きなのかもしれねえのによ。

 幽霊なんてのも案外そんなものさ。

 本当に大切なことは目に見えねえが、本当の本当に大切なものは目に見えるのさ。

 ……いや、別に星の王子disってるわけじゃねえよ?

 とにかく、お前さんは自分が何者であるかを再認識するべきだ。

 話が飛んでるって? いやいや、アタシはさっきからずっと同じことを言ってるんだぜ。

 だって、この先を読んだところでお前さん自身の答えはどこにも載ってないんだからな。

 希望は転がってない。

 幸せは降りてこない。

 せいぜいその目を落っことさないように気をつけるこった。



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