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脳天気娘  作者: めぐたん
9/13

犬猿の仲☆

「ふわぁ〜。」

真琴は眠い目をこすり、ベットからむくりと起きる。

カーテンを開けるとまぶしい眩しい朝の陽の光があたり、とても心地よかった。

真琴はふと時計のほうに目がいく。七時半。昨日のこともあって今日は二つとも仕事は休みになった。真琴的には休むつもりはなかったが、小崎と慧の判断で、今日は一日休むようにいわれたのだ。真琴は本棚にあるアルバムを取り出し、小さい頃の写真を見だす。

昨日、ケーキが喉につまった後、やっとの思いで飲み物を与えてもらった真琴は二人が言い合っている話の内容など聞いてもいなかった。慧曰く、小崎は自分が小さい頃、会ったことがあるどころか、自分が小学生の頃に身近にいたらしいのだ。

「覚えてないわけじゃないけど・・・・。」

真琴はアルバムをめくり続ける。そして小崎曰く、思い出すまでいうつもりはなかったんですが、仕事に影響があるといけないので・・・。といっていた。慧は、こいつは真琴に酷い事をしてきたと訴えていた。それに対し、小崎は、愛情表現ですよ。と笑っていた。

「あっ・・・・。」

真琴はある一ページに目を止めた。そこには、泣きながら写る自分に優しく微笑みかける青年と慧が写っていた。

「これだ・・・・。」

真琴は小さい頃を思い出した。この頃、真琴はよくこの青年に遊んでもらった。

男の子に手紙をもらい、読もうとしたとき、この青年によく「これは不幸の手紙だから。」

とあずかってもらったり、帰りにクラスのいじめっこの男の子に呼びかけられたときもこの青年が迎えに来て助かった。誘拐されそうになった時も助けてくれた。休日もよく相手してもらって・・・・。でも、親の仕事の事情で引っ越すことになり青年とは会えずじまいだったのだ。

 そして最近、またここにもどってきた理由は真琴の両親は交通事故で死んでしまった。真琴もその車に乗っていたが幸い、まことだけは軽い怪我ですんだが、両親は真琴をおいてなくなってしまったのだ。ここに引っ越したのは慧の要望もあり、一人で不安というのもあったので、ここにもどってくることにしたのだ。でもいろいろあったせいか、この青年が小崎だとは思いもしなかった。雰囲気が違うのもあるのだろうか。そして慧は、小崎に対してすごく嫌悪を感じていた。犬猿の仲みたいだ。小崎が前だれかににているといったのは慧のことだったことを思い出す。

「この頃からたしかに仲が悪かったな・・・・。」

真琴はアルバムを閉じ、再び本棚に戻した。

慧がいっていた言葉を再び思い出す。「こいつは、お前を独占するどころか独り占めして、男が近寄らないように見張っていたんだぞ。」

「眠い・・・・。」

真琴は目を再びこすり、慧の言葉はもう頭に入っていなかった。



時間は戻して昨日の夜。真琴が眠ったのを確認すると起こさないように二人は帰ることにした。門から出ると慧はふたたび小崎に話し掛ける。

「お前・・・・真琴に近づくなよ。」

「そういわれましても、嫌でも向こうから近づいてきますし。」

「真琴は鈍感だから気づかないだけだが、お前がなにげに真琴が小学生の頃にしてきたことはそこいらの男から見れば迷惑なんだぞ。」

「感謝してるくせに・・・。」

慧は気まずい顔をさせて、

「とにかく、お前が不幸の手紙だからといって奪った手紙がラブレーターなのも、真琴のことが好きで苛めていたガキ大将から真琴を遠ざけていたことも、男がかかわるところに真琴を行かせないように仕向けたことも俺は知ってるんだからな。」

小崎は不敵な笑みをうかべ、

「おかげで彼女は今だ恋をしたことがない・・・。」

「う・・・。」

小崎の言葉に慧はつまってしまう。

「まぁ、偶然にもよかったじゃないですか。彼女その手はもとから鈍いようで私がどうこうしなくてもよかったみたいですし。それに・・・。」

小崎は慧を横目で見ると、

「私がしていなかったら、あなたがしていたでしょうしね。」

慧は反論する。

「俺はお前のようにはしない。」

小崎は眼鏡を掛け治すと溜息を出す。

「知ってますよ。彼女の家に同級生が来そうな時を見計らって、食べ物で彼女を釣っていたの・・・。」

どきっ

慧は半場苦笑いをしながら、

「さて、おれはそろそろかえろうかな。仕事もあるし。」

「・・・・・。」

そんな慧に小崎は冷たい視線を浴びせる。こうして二人は真琴の家から離れていったのだ。

でもそんな話をしていたことも真琴に知る由もない。


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