お茶会
「神野さんがいれる紅茶はおいしいですね。」
真琴はお菓子を取り皿に分けながら,
「本当ですか?ありがとうございます!。」
分けた取り皿を初音に渡した。
「僕はうそはつかないよ。いや,つけないといった方が正しいんだろうね。」
真琴はカップに自分の分を注ぎこんだ。
初音様はここの次男で侯硫様が長男らしい…。
そういえばまともに説明がされていなかった。
「神野さんはなぜそんなに働くのかな。」
「?。」
初音はカップを起き,
「余計な事聞いてごめんね。君が面接の時たまたま通ってね。その時かけもちがどうとか聞こえてしまったんだ。」
真琴は笑いながら
「気にしないでいいですよ。」
真琴はカップを手にとると
「私…家をでたいんですよ。」
真琴は紅茶を一口飲むとカップを置きお菓子を口にする。
「そっか…。」
「食べ物巡りでもしようかな!って感じで。」
真琴は笑いながら質問に答えた。
初音は取り皿を真琴に渡すと
「僕の分も食べていいよ。」
「本当ですか?」
真琴は喜んで受け取った。初音は真琴をジッとみつめ
「神野さんは不思議な子だね…。」
「?」
初音は真琴から目線を外し
「窓拭いているときね。君の姿を見た時,泣くのかと思った…。」
「…。」
真琴の手が一瞬止まった。
「声を掛けたら何ごともなかった様に一瞬で表情が変わって…。」「見間違いですよ!!初音様たら!もうお菓子が食べたくて食べたくて仕方なかったんですよ!。」
真琴はお菓子を持ち
「知ってますか?ここのお菓子!数々の賞をとっているんですよ!これが毎日食べれるなんてもう夢みたいで…。」
初音は苦笑いをしながら,
「じゃあ今度おいしいものでも食べさせてあげるよ。おすすめがあるんだ。」
真琴はパアッと顔を輝かせながら
「ありがとうございます!!。」
と感激するのだった。真琴は紅茶を見ながら
「この後小崎さんにもお茶を出しに行こう…私ずっと小崎さんに迷惑ばかりかけてるんですよね。」
初音は横になりながら,
「小崎さんはね,不器用な人なんだ。本当はだれよりもいろんな事を理解して気を使って…。」
「わかってます。」
「えっ」
初音は起き上がると真琴の横顔はとても穏やかに見えた。
「私小崎さんとはまだそんなに日が経ってないけどなんとなくだけど…。」
初音は空を見上げ
「その言葉,小崎さん聞いたら喜ぶと思うよ。」
真琴は紅茶をふたたび注ぎながら笑ってごまかすのであった。
…
…
「だめです。」
「なぜだ?。」
小崎の執務室には侯硫が尋ねていた。
小崎はこめかみを押さえながら
「やめてもらってはこまるでしょう?。」
「小崎のとこにいても同じだと思うが。」
ムスッ
侯硫の一言に小崎の目が細くなる。
「とにかく…だめです。」
「…。」
…。」
…。」
侯硫は口を開き
「なぜあの娘にそこまでこだわるのか…。」
小崎は眼鏡をはずし
「こだわってなどいません。こだわっているのはあなたの方でしょう?。」
小崎の一言に侯硫は薄笑いをし,
「そうかな…。」
小崎は眼鏡を机の上に置く。
「珍しいですね。あなたが人に興味をもつのは…。」
侯硫は目を閉じる。そのしぐさもまた優雅にみえた。
「興味か…そうかもしれない。」
「!?。」
二人の会話はずっと同じ内容を繰り返していた。
「こっちはお金を払って雇っていますからそっちも人がほしいなら求人をとればいいでしょう。」
その言葉に侯硫は
「なら倍額で彼女を雇うとしよう。」
小崎のこめかみに青筋が浮き出る。
小崎は部屋のドアへ歩きだす。
「神野さんは頭が悪いんです!!あなたの役にはたちません!!!私が保証します!!!」
そしてドアを開け
侯硫に向かって
「お引き取りくだ…。」
といおうとした言葉が止まってしまった。
ドアの前には外にいるはずの真琴と初音の姿があった。
小崎の顔は驚きを隠せず,侯硫は溜め息をつく,真琴は笑いながら,
「すいません。なんか聞くつもりなかったんですけど入りづらくてなんか…はは…私。」
声が震え徐々に表情にゆとりが無くなっていくのが真琴にもわかった。
「私急用を思い出したので帰ります。初音様…お茶ありがとうございました!お疲れ様です。失礼します。」
真琴は一礼すると顔をみせずに走ってその場を離れるのだった。
それを見た侯硫は
「役に立つかどうかは私が決める…。」
そうゆうと部屋からでていくのだった。