不安
「窓をきれいにお拭きましょう♪タントンタントンタントンタン。」
真琴は屋敷の窓をきれいに拭いていた。
ついでに歌を交えながら。
だが歌はずっと先に進む事なく同じところばかり歌うのだった。
長い廊下を一人せこせこと窓拭きをしながら真琴のわけわからない歌は響くのだった。
だが真琴の顔は段々と暗くなって行くのだった。
はあ…私小崎さんに嫌われただろうな…。きっと後悔してる…。
歌いながら考える中
「ねぇ。君のその歌の元は。母さんお肩を叩きましょ♪から作ったんだよね?。」
突然背後から話しかけられ真琴は勢いよく振り替えるのだった。
後ろには優しい雰囲気を持つきれいな男が立っていた。男は真琴にほほ笑みながら,
「侯硫と話してたんだ。この歌の元は何かってね。僕たち意見が合わないから歌声の主に聞こうと思ってね。」
「あ…。」
真琴は照れ笑いをしながら,
「実は適当で…。思い付いたら歌っちゃう癖が合ってなんの歌か考えてないんですよね。」
真琴は昔っから暇になると歌い出すお気楽な子だった。男はくすくす笑いながら,
「面白い子だね。僕は初音。」
初音は手を出し真琴は笑顔で手を握り握手を交わす。
「私は神野真琴です。」
初音は優しいほほ笑みで,
「では可愛らしいメイドさん。僕とお茶でも飲みませんか?。」
「えっ?」
初音は窓の外をみながら,
「今日は外がいいかな…天気もいいし。きっと気持ちがいいだろうね。」
真琴は暖かいお日様のしたでお菓子を食べる想像をした。
「いいですね。」
真琴の一言に初音はほほ笑むと,
「じゃあ,決まり。あっ小崎さんから,今日の仕事は終わりだからって伝言預かっているよ。でも今日の締めくくりとして神野さんにおいしいお菓子とお茶を用意してもらっていいかな?。」
「…はい。」
小崎の名前を聞くとなんだか考えてしまう自分に真琴は笑顔でごまかした。
「じゃあ,私用意してきますね。」
真琴は一礼をするとお茶の用意をしに厨房へと行った。
初音は笑顔で手を振った後,真琴の姿が見えなくなると振った手を降ろした。
「お前は女に優しいな。初音。」
「…随分人聞きの悪い言い方ですね。侯硫。」
初音の後ろから見たこともない美しい男性が現れた。
なめらかな白い肌。
唇の形から目までこの世のものとも思えないくらい完璧なものだった。
肩にかかる髪の感じも美しく冷たい目を感じさせるがそれもまた魅力的な雰囲気を漂わせていた。
侯硫といわれた男は手を伸ばし窓にそっとさわる。
「きれいに拭いてあるな…。」
初音は侯硫を見ながら,
「珍しいですね…。あなたが部屋の外に出て来るなんて…。」
そう侯硫はその姿があまりにも完璧な為,あまり人に姿をさらすことはなかった。彼は自分の姿が嫌いだったのだ。
侯硫はすっと口を開く,
「あの娘…。」
「神野さんがどうかしましたか?。」
侯硫は口を閉ざし,
「やはり何もない…。」
とゆうと部屋の中へとまた入っていった。
薄暗い部屋の中で侯硫は瞼を閉じた。
目に浮かぶのは小さな少女…。自分の姿を見てもためらわず懐いてくれた。
…どうして?お姉ちゃんはそんなにきれいなのに隠すの?…
昔からこの姿が嫌いだった。
周囲の見る目。
まともに話す事もできずほとんどの人が呆然としてしまう。
中には同じ男なのにやな目で見るものも多くはない。
そして女は自分の顔と比べ引け目に感じやっと本命が現れても恋愛すらできないでいた。
そんな時に少女は笑顔でこうもいっていた。
…お姉ちゃんとゆう人は一人しかいないんだよ。
私はお姉ちゃんと出会えて嬉しかった。
私が大きくなったらお姉ちゃんをお嫁さんにするからね…。
女同士でなぜ結婚ができようか…でもあの時の小さな少女の言葉で彼の心は救われたのだ。
自分の姿を見てそうゆわれたのは初めてだった。
あの頃から小さな少女とは出会っていない…。
侯硫は瞼を開くと部屋からでていくのであった。