面接
家に居たくない。
別に親が嫌だとか居づらいという訳じゃなくこの年頃だからそう思うのかもしれない。
親から離れて自由で気ままで違う世界を味わう。そう例えるなら…流浪人??。
春になれば美味しい団子を食べに夏にはスイカを秋には焼きイモだな。
冬は鍋が食べたいかも…今年はちゃんこが食べたい。あぁいいなぁ
「おい!!!!!」
「へ?。」
「あのですね。春夏秋冬。どれも今のこのご時世ならいくらでもできる事ですよ。それに流浪人だからといってあなたみたいに食べ物中心とは限りませんよ。あなたはせいぜい食いしん坊万歳の方が当てはまると思いますが。」
「あぁ。そう!それ食いしん坊万歳!あれがいいなぁ。」
「あのですね…」
そう私。神野 真琴20歳は只今バイトの面接中。そして私が一人で妄想族へと行きそうなところを一喝し只今説教中のこの人,小崎 進。年齢は知る訳がない。えっ!?名前はなんで知ってるかって?それはさっき面接する前にこの人が自分から名乗ったからだもん。
見た目顔立ちがきれいで眼鏡かけてるけど目が切れ長で肌が白くて背も高くて…最初は見とれちゃったけど話すときびしいお人で…。
そこ行儀が悪いだの,今のとこ言葉遣いが悪いだの,身だしなみがどうだのって何様なのさっ
「聞いてますか?」
「えっあっはい。」
「…。」
小崎は席から立上がり真琴に近付いて肩に手を置くと
「聞いていなかった様ですね。」
真琴の体全体から冷や汗が出て来る。
「そんなことはないです…はい…。」
真琴は声がうらがえりながらも話すが,小崎は眼鏡をはずすと,
「嘘つきは嫌いです。どうやらあなたにはおしおきが必要みたいですね。」
ビクッ
小動物の様に真琴の体は反応したのだった。
おしおき…おしおきって何をする気なんだこの人は…。
「は!!!!!!?」
真琴は一瞬悲しい過去の思い出を思い出した。
そうあれは私が小学生の時学校の帰り道で知らない男の人が声をかけてきたのだった。
「お嬢ちゃん。ここら辺で○○町わからないかな。おじさん迷子になっちゃって」
スタスタスタスタ
「って無視かい!?」
真琴は何ごともなかったかの様に通り過ぎたのだった。男はあわててポケットの中にあるお菓子を袋から取り出すと
「お嬢ちゃんこれあげるから…。」
「何!!?どうしたの?」
「ってはや!!!!」
真琴はお菓子につられ男に誘拐されそうになったのだった。
たまたま近くを通りすぎた近所のお兄ちゃんが助けてくれたから良かったものの危うく連れてかれるところだったのだ。
帰ってから親から説教された上にもらったお菓子まで取り上げられ挙句の上には一か月おやつ抜きにされたのだ。
あんな思いはもうごめんだ。お菓子のない人生は米のない食事以上痛い。
「ごめんなさい。」
真琴の目から涙がこぼれ落ちた。
「ごめんなさい。もうしないから。許してください。」
突然の真琴の涙に小崎は驚き,真琴の頭を優しくなでながら
「なにも泣かなくてもいいんですよ。あなたがそこまで反省しているならもういいませんから。明日からお願いしますね。」
真琴は涙をふきながら小崎を見る。小崎は優しいほほ笑みで
「採用します。」
「おしおきはなしですか?。」
小崎は眼鏡を掛け直し
「なしですよ。」
真琴はその言葉を聞くと表情がパアッと晴れやかになったのだった。
愛らしい顔に小崎は自然とほほ笑むのだった。
採用されたことよりもおやつ抜きのことがなしになったことの方が今の真琴には頭になかったのだった。
初めての作品です^^おもしろいといいのですが・・。
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