始まりの日 1
「うーむぁ・・・・むりだぁーーーー」
心で叫んだつもりが声に出てしまった。周りを見てみると丸まってぐちゃぐちゃになった紙が大量に落ちている。しかし美輪の脳内辞書には部屋をかたずけるという言葉は1個たりとものっていないらしい。
荒れ放題の部屋にまた紙というごみの仲間がやってきた。
美輪は中3の受験生。そして美輪の受ける学校は桜丘魔法学校。通称桜魔校。その名の通り、魔法を教える学校だ。魔法といっても中世ヨーロッパ的な古臭い長ったらしい呪文を唱えるのではなく
1言で言うならば超能力だ。
たとえば透視能力や物体浮遊などありとあらゆるものがある。が、今の科学ではそれが証明され1種の遺伝からなるものだとわかっている。しかしこの世界そんなに狭くはない。いくら祖先が魔法を使えても子孫がすべて使えるわけでないし、血筋に魔法の血が流れていなくても使える人もいる。その例が美輪だ。
美輪の家族、ましてや祖先に魔法が使える人はいない。これが俗に言う突然変異というものだ。
かといって美輪に桜魔校を受ける気はさらさらなかったのだが・・・・・。
さかのぼること1か月前・・・・。
あたしは突然担任に呼び出された。友達にはお前何やっただぁwwwと茶化されていたし第一担任が嫌いだから面と向かって話すのがとてつもなく嫌だった。だけど行かなかったら行かなかったでまた話す時間が増えると思いシしょーがなく行くことにした。
職員室に入ると担任はいなかった。すると後ろのほうから美輪と呼ばれた声がした。振り返ってみると
視聴覚室のところで手招きしている担任がいた。
こいつは妙に慣れなれしいのだ。こっちは仲良くなりたいとはこれっぽっちも思っていないのだが。
「まぁ固くならずにそこにすわれよ」
・・・あぁうぜぇ声に出しそうになってしまったがぎりぎり喉のところでとまった。
「あ、はい」
「唐突だが美輪お前桜丘魔法高校に受けてみないか?」
「はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
うっ出てしまった心の声が・・・・。
「まぁ驚くのは無理はないがな」
「すいません。で、なんで私なのでしょうか」
びっくりしすぎて敬語が倍増してしまった。
「いやぁなぁこないだテストと称されたプリントみたいのやっただろう。」
「はぁ」
「それでなそのプリントは桜魔校に向いているかチェックするものだったんだよ。」
「どーゆー意味ですか?」
「桜魔校は知っての通り魔法を教える学校だ。で、公立、私立関係なく中学では魔法が使えるかチェックしなければならないからそのチェックのためにこないだのプリントは実施されたんだ。」
・・・・・・・。
その沈黙が何分くらいつずいたか分からないがとてつもなく長かった気がする。
・・・・・・
「失礼しました」
そのあとどんな風に教室に戻ったかは覚えていない。
気がつくと自分の机に放心状態で座っていたらしい。
「美輪っっっ!!」
「ほへぇ」
「もぉ美輪ったらぁいくら呼んでも気が付きやしない」
「あぁ綾」
綾はルックス完璧で勉強も完璧スポーツもできるという完全無欠の親友だ。
そんで縋閨院グループの社長令嬢だ。
「で何があったの??」
「あぁうん・・・」
それからあたしは今まであったことを30分くらいかけて綾に話した。