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長耳


「午後はどうしますか」

「自由行動でいいんじゃないか」

「ねえねえミウくんっ、前に追い払った黒い虎倒しに行ってもいい?」

「ああ、構わないが…」

「油断も容赦もしないよ」

「解ってるなら良い」

「うんっ」

「ちょっと待って下さい。それってもしかしてエビルタイガーですよね」

「メティちゃん知ってるの」

「はい。私達がテッサの町に着いたばかりの頃、駆け出しの冒険者が誤って森の奥に入ってしまい餌食になっていると聞きました」

「そうなんだ。じゃあ尚更始末しておかないとね」

「1人で平気ですか、エビルタイガーの討伐クエストは確かランクDですよ」

「大丈夫大丈夫、メティちゃんウチの強さ知ってるでしょ」

「…そうでしたね。では私もご一緒します」

「じゃあ一緒に行こ〜」「2人とも気を付けてな」

「りょーかい」

「行って来ます」


2人を見送った後、俺はギルド窓口でこの大陸の地図を見せてもらった。国の数はそうでもないが都市や町や村の数がとても多く、ここ『リオンクライ』だけでもかなりの広さだ。よく見ると地名も多いな。これは移動に苦労しそうだな。


そして受付のお姉さんに聞いた話だと聖騎士達は『神国エリシオン』に在る『神都オルメノス』に居るらしい。場所は内陸部の方でここからは物凄く離れている。解せないな、こんな途方もない距離を奴等は俺達の住む大陸までどうやって来ていたんだ。もしかしたら転送石の様な物が存在するのかもしれない。


兎に角次のクエストが終わったら町を出て内陸方面を目指そう。


それにしてもこれは…当分帰れなさそうだ。


はあ…あまり考えないようにしていたが…ガールズに会いたい、皆が恋しい。…そんなことをウジウジ考えていては駄目だ。その辺は押し殺して行かないと。


「ミウさん、何か考え事ですか」


お姉さんが心配そうに俺の顔を覗き込んだ。


「いえ、少し考え事を。お姉さん、ツデルカ村の人達が貰って喜ぶ物って分かりますか、お金以外で」


「えっ、村の方々ですか。うーん…間違いないのはお酒と衣類でしょうか。あっ、衣類より布の方が自分達で様々な物を作れるので喜ばれるかもしれませんね」


「なるほど、ありがとうございます。因みに布ってこの町で手に入りますか」


「もちろんですよ。よければお店まで案内しましょうか」


「えっ、お仕事はいいんですか」


「はい。早退する訳ではないですし、これも仕事ですので…」


お姉さんはカウンターに乗り出して俺に耳打ちした。


「もちろんミウさんにだけ…」


「何か問題でしょうかっ」


些か殺気立ったメティの声が後ろから飛んできた。


「い、いえ問題だなんてっ」


これはまずい雰囲気だと悟った俺は即座にメティに事情説明&お姉さんの弁護をした。


「そうだったんですね。でしたらお店にはこのパーティーメンバーのリクトメティアが案内します」

「そ、そうか。頼むよ」

「はいっ」


お姉さんは口を尖らせて失礼します、と言って下がってしまった。


「ねえねえミウくん、エビルタイガーはやっぱりあの虎だったよ」

「そうか。倒したのか」

「うん。2人とも無傷でね」

「それは何よりだ」

「それでね、メティちゃんが皮を剥いでくれたんだ〜、高く売れるらしいよ」

「そうなのか?」

「はい、鞣して革にすれば武器の一部に使用したり防具や雑貨を作成できるので魔獣の皮は重宝されているんです」

「なるほどな。売りに行くなら鍛冶屋か?」

「そうですね、きっと良い値で買ってくれますよ」


3人で鍛冶屋と服屋に行った後、少し早いがギルドの食堂に向かった。


「ミウくん、メティちゃんから大事な話があるから聞いてあげて」

「ん、なんでも言ってくれ」

「えっと…ミウ、想い人が3人いるとミミルに聞きました」

「ああ。間違いない…いや、もっと多いぞ」

「そうですか。こ、この際人数は気にしませんっ」

「あ、ああ。それで?」

「わわわ、私もっ!その内の1人として加えて頂けないかとっ!」

「えっ」

「ちょっとメティちゃん、ストレート過ぎっ」

「へっ!?私、駄目でしたか!?」


メティの顔面は真っ赤に染まり、涙目になっていた。


「えーっと…メティは好きな相手に何人も恋人がいても平気なのか」

「はい。里では一夫多妻は珍しいものではないので」


随分とあっさりと答えたな…エルフってそういうものなのか、驚きだ。


「そ、そうなのか…。では先程の返答だが、俺達は出会ってまだ日が浅い、だから先ずはもっとメティのことを知りたい。そしてメティにも俺のことを知ってほしい。それからでもいいか?」


「は、はひ!もちろんですっ」


「よ〜し、じゃあ乾杯しようっ」

「おい、何に乾杯だミミル」

「メティちゃんの人生初告白成功に乾杯っ!」

「なっ、待て、そうだったの…」

「か、乾杯っ!」


誤魔化す様にメティは自分のグラスをミミルと俺のグラスに当てた。


メティと別れ、部屋に戻って交代で身体を拭いてから寝る準備をした。


「それでミミル、どういうことか説明してもらおうか」


「ん~と、エビルタイガーを倒しに行ってる時メティちゃんがウチとミウくんの関係について探ってきたからさ、もしかしてミウくんのこと好きなのって聞いたら頷いたからイヴ姉達のことを話したんだ〜。そういうことは早めに話した方が良いと思ってさ」


確かに仮に一夫多妻制度が存在せず、時が経ってから恋人がいることを知ったらメティは傷付くだろう。ミミルの言う通りガールズの存在を教えるのは早い方が良い。


「なるほどな。気を利かせてくれたんだな」

「まあね。しかし本当にミウくんはモテるよね〜。まあ惚れる気持ちは分かるけど」

「出会いに恵まれてるだけさ。そろそろ寝よう、明日はツデルカ村に行くからな」

「りょーかい。じゃあおやすみ〜」

「おやすみ」


翌朝、支度を済ませてから食堂で朝食を取っているとメティが現れた。

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