表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/169

関係


「うーん、それはちょっと」


「お願いします!何があっても自己責任。死んでも自業自得ってことで処理して構わないので」


「そんな。ミウさん良い人そうですし、出来れば危険な橋は渡らないで欲しいです」


なんて心優しい美女なんだ。でも…


「気持ちは有り難いです。本当に感謝してます。それでも挑みたいんです、どうかお願いします」


深々と頭を下げるとお姉さんは呆れた様に微笑んで言った。


「分かりました。そこまでの堅い決意を私には砕けません。Cランク討伐クエスト受注しました、どうかご無事で」


「ありがとうございます、帰ったら是非お礼をさせて下さい」


「はい。約束ですよっ」


よし、やるぞ!待っててくれお姉さん。


俺はクエスト内容が記載された証明書を受け取ってギルドを出た。


討伐確認の為のワイルドウルフの尻尾とクエスト証明書を渡せば完了し報酬を貰える。


装備を整え一晩休んで明日の朝出発だ。


武具屋に行ってみたけどどの武器もパッとしなくて結局何も買わなかった。


防具屋では軽装鎧を買い揃えた。重装鎧は高額だし重くて動きが鈍る。俺には創造魔法の鎧があるし今のところ必要性は感じない。


食糧を買ってから宿に戻ると、女の子が1人で受付に居た。親父さんは不在か。


「ミウさんお帰りなさい。冒険者登録は出来ましたか?変なのに絡まれませんでしたか」


「うん、問題無かったよ。ありがとう」


「あの、あたしテルラっていうんですけど、ミウさんさえ良ければ晩御飯一緒に食べませんか。うちの宿の料理、結構評判良いんですよ」


「誘ってくれてありがとう。是非ともご一緒するよ」


「やった!じゃあ20時に食堂に来て下さい」


「分かった。お腹空かせておくよ」


よっしゃ!まさか食事に誘われるなんて!予想外のイベントだ。女性と2人きりで食事か…こういうの久しぶり過ぎて緊張してきた。


体を洗ってから少し早めに食堂へ行くと既にテルラは席に座っており、俺に気付くと立ち上がって大きく手を振ってくれた。


「待たせてごめん」

「いえいえ!来たばかりなのでっ」


本当に良い子だ。それから俺達は食事を楽しみお酒も少し飲んでほろ酔い状態で食堂を出た。


「あたしミウさんの部屋に行きたい」


えっ…マジで?良いのこれ。


部屋に着くとテルラはベッドの上に座って恥ずかしそうに小さく手招きした。積極的だな。そういえば前世の俺はそれなりに経験豊富だったけど、ミウって未経験だったりするのかな。


隣に座るとテルラは寄り掛かってきた。


これはもうOKサイン…だよな。頭の後ろに手を添えながら優しく身体を倒すと、テルラは目を閉じて顎を前に出した。俺はそっと手を絡ませながらキスをすると、親父さんにバレたら…なんて理性は脆く崩れ去った。


翌朝、寝ているテルラを起こさない様に出発した。


町を出て目的地に行くと動物や人間の骨があちこちにあった。そして10匹弱のワイルドウルフが現れた。やはりデカオオカミだったか…さあやるぞ。


昨日の様に逃げられたら報酬が減るので今日は確実に全滅させる。


囲まれる前に近くの岩を背にして手でピストルを作って向けた。


「粒っ!」


粒状の魔力の塊を創造、狙って発射。速度も連射も抜群。なるべく引き寄せてから次々と飛び掛かるワイルドウルフに風穴を空けた。鋼鉄の粒をポンポン飛ばしているのと同様、威力はかなり高い。1発が小さければ魔力消費も少ない。粒より大きいものと短い刃物も練習中だ。


「杭っ!」


逃げそうなやつには突き出した手の平から先端の尖った魔力の杭を創造し発射。想像力が足りずまだ連射は出来ないが速力と1発の殺傷能力はかなり高い。


これら通称『粒』と『杭』そして練習中の『玉』と手刀に刃を纏う『刃』は基本攻撃であり俺の強力な武器だ。


訓読みだと何だか格好悪いので技名は全部音読みにしてる。何故しっかり名前をつけているかと言うと、俺がポマリス村で読んだ魔法についての本に載っていたことが発端だ。


魔法だけとは限らず技名を口に出して発動すると魔力、体力、精神力が上手く解け合って最大限の威力を発揮できるのがこの世界の理だそうだ。それはわかり易く『言葉の力』と言う。


それを知っていたので創造魔法を扱える様になってから直ぐに技の種類と名前を考えた。


よし、現れたワイルドウルフは全て仕留めた。


「刃っ!」


うーん、やはり切れ味が悪い。使うのは止そう。


短剣を抜き尻尾を切り外しながら数えたところ12匹だった。報酬が30ケルン、8匹以上から1匹5ケルンの追加報酬だから50ケルンか。


気分良く町に戻りギルドに入るとお姉さんが驚きと安堵の表情で迎えてくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ