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寵愛④


「ルムリスです」

「えぇ~もう時間なの」

「あはは」


服を着てドアを開けるとルムリスは既に頬を赤くして目がとろんとしていた。


「ルムリスちゃん…?」


「すいません、楽しみにしていたので…それにこの部屋…ミウさんの特殊な匂いで満たされてて…私、なんだか変な気分に…」


特殊な匂いってなんだ?体臭…いやフェロモン的な何かかな。


「じゃああたしはお店に戻るね、今日はありがと。またしようねミウさんっ♡」


か、可愛い。


「ああ。気を付けて帰ってね」

「はーい」


レリスと入れ替わりにルムリスを部屋に入れるとルムリスは胸の前で手を組ながら火照った顔で上目遣いをしてきた。


それはずるいな、再び俺の理性は即効で消し飛んだ。


包み込む様に、それでいてほんの少し乱暴に、時間をかけてたっぷりとルムリスを味わった。


「ミウさんっ、お願いがあります」

「何でも言ってよ」

「また抱いて頂けますか…もちろんイヴさん達のことを優先に想ってくれて構わないので」

「わかった。約束だ」

「ありがとうございますっ」

「ルムリスちゃん、今更なんだけど…この国って正式な一夫多妻制度とかあるの?」

「えっと…貴族の方だと当たり前の様にしてますが一般市民ではあまりいませんね」

「そっか…ルムリスちゃんも知っての通り俺は好きな女性が多くてね…やっぱり欲を張り過ぎだよな…」

「でもタルハスでのミウさんの地位なら貴族と変わりないと思いますけどね」

「え、そうなの?」

「はい。それに一人一人をちゃんと愛してくれるミウさんなら皆さん解ってくれそう…なんて私が偉そうに言うことではありませんね」

「そんなことないよ、ありがとう」


そう言ってルムリスを優しく抱き寄せた。


後ろめたさは拭えない…それでも俺は…みんなが好きだ。


「ミウさん…」


ルムリスの潤んだ瞳に魅了されてそのまま3回戦目。精力薬を持ってきて正解だったな。


ルムリスと別れ、俺は黒い転送石でエダロスの元へ行った。


「いらっしゃい。おや、お一人なんて珍しいですね」

「ああ。エダロス、前に買った冥王と妃の指輪に似た商品ってあるか」

「女性用の指輪ですよね。少々お待ちを」


それから数分後、エダロスは5つの指輪をトレイに乗せて持ってきた。


「これらは異界の女王や王妃の指輪です。不明な点が多い品ですが様々な加護が付与されていてサイズは魔力で調整可能です」


「見事な造形だな。それにしても…迷うな。1ついくらだ」


「250ケルンです。加護を施されてる物はどうしても高値になってしまうんです。それにこの5つの指輪は全て一点物でして…」


成る程な。しかし250ケルンとは…100ケルン台なら全部買うつもりだったけどさすがに諦めるか。


「これとこれ、取り敢えず2つ貰おう」


「毎度あり。2つで400ケルンになります」

「えっ」

「特別割引です。やはりミウさんは善い御方だ。お得意様なんだから負けてくれ、なんて言わない」

「良いのか、せめて450とか…」

「ミウさん、商人に恥をかかせないで下さいよ」

「あ、すまない。じゃあその値段で戴こう。出来れば残りの3つの指輪を取り置きしてほしいんだが…可能か?」

「もちろんですよ。ミウさん以外にはお売りしないと約束します」

「助かるよ」


紙袋に入った指輪をポケットにしまい、アルディアの屋敷に戻った。


「おお、ボス!」

「お帰りなさいボス!」

「おう、ただいま。イヴ達は?」

「姉さん達なら中に居ますよ」

「ミウ様っ」

「ただいまアニラ」

「遅かったのうミウ」

「寄り道でもしてたのか」

「ああ。ちょっと買い物にな」

「お食事の用意ができてますよ」

「そうか。皆は食べたのか?」

「まさか。ボスを待っていましたよ」

「待たせてすまなかった、直ぐに食べよう。誰かミミルを呼んできてくれ」


ガールズを連れてキッチンに行くとポルメネがせっせと器に料理を盛り付けていた。


「手伝うよ」

「ボ、ボス…お帰りなさい」

「ただいま。ポルメネ、明日空いてるか」

「え…?あ、はい!」

「王都近くの森の川沿いでキャンプしないか」

「きゃんぷ…?」

「えーっと、自然の中で一緒にゆっくりしないか」

「あの…それは2人きりでしょうか」

「ああ。嫌か?」

「嫌なんかじゃありません!」

「そ、そうか。じゃあ決まりだな」


ポルメネは顔を真っ赤にしながら微笑んだ。うん、普通に可愛い。


ガールズはその様子を見てクスクス笑っていた。


夕食を済ませ風呂に入った後、ガールズを順番に寝かし就けた。そして俺も就寝。


翌朝、ポルメネと2人で王都の近くにある森に入った。前にでかいカマキリ駆除や洞窟調査をした森だ。ここには綺麗な川が流れているのを俺は知っている。


「ありましたね」

「ああ。川沿いを進んでもう少し開けた空間があったら野営の準備をしよう」

「分かりました」


暫く歩くと良い感じの場所を見付けたので天幕を組み立てて寝床を作り、拾っておいた薪で火を起こした。


「ボス、食事まで時間がありますが…」

「イチャイチャかな」

「えっ」


俺はポルメネを優しく抱き締めた。


「ポルメネ、俺の為に危険なダンジョンで命を張ってくれたこと、改めて礼を言う。ありがとな」


「ボス…あなたの為なら私は命懸けで何でもします」


俺はそっと口付けをしてからお姫様抱っこして寝床に連れて行った。


「ボ、ボス、あの…」

「ポルメネ、愛してる」

「…はい、私もです」


そう言って彼女は嬉し泣きをしていた。もっと早く伝えるべきだった…これはしっかり埋め合わせしないとな。


防音魔法を施し、夕方まで天幕の中で恋人らしくイチャイチャ過ごした。ポルメネは恥じらいながらもべったりくっついて何度もキスをした。


「あの、今更ですが姉さん達には…」

「御許しは出てるから何も気にしなくて良い、安心しろ」


そう言って頭を撫でるとポルメネは嬉しそうに抱き付いてきた。


ガールズに頼まれたから、と言うのは勘違いされそうな気がして伏せた。それにちゃんと俺の意思でもあるしな。


夜になり、2人で食後のハーブティーを飲みながら星空を眺めていた。


さあて、頃合いか。


「ポルメネ、受け取って欲しい物があるんだ」

「はい…?」


小さな紙袋から指輪を取り出して渡すと、ポルメネは目を大きくして唇を震わせた。


「綺麗…私なんかによろしいんですか」

「ポルメネだから贈るんだ」

「ボス大好きっ。肌身離さず一生大事にします!」

「うおっ」


勢いよく抱き付かれ、倒れそうになった。そして珍しくポルメネは無邪気な笑みを見せてくれた。


可愛い…あ、スイッチが…。


「ボ、ボス!?」


俺は黙ってひょいとポルメネを抱き抱えて再び寝床に連れて行った。

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