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迷宮


「ポルメネ、手を抜いたら意味が無いので全力でいきます」

「望むところですアニラ姉さん」


ザッ! 「はあああっ!」


アニラは一瞬で距離を詰めて猛攻を仕掛けた。


ポルメネは盾で防ぐので精一杯だったがちゃんとアニラの速さに反応できている。まさかここまでの段階に成長しているとは…相当努力したのだろう。


「圧脚っ」 ガァンッ! 「ぐっ!」


「圧拳!」 バシィッ!


「!!」


「はああーっ!」 ブォンッ!


これは驚いた。アニラの圧拳を円盾でパリィするとは。直後のメイスの一振りもかわされたが大したものだ。


アニラはヒラリと後方に跳んだ後、構えを解いた。


「ポルメネ、実力は解りました、同行を認めます」

「ありがとうございますっ」


「そうと決まれば直ぐに旅の準備だ」

「うむ。最南西じゃと馬車で一週間かかるかどうかと言ったところか」

「ああ。市街地で色々買っておかないとな」

「ちょっと待った。ダンジョンまでは転送石で行けるよー」

「なんだと。ルミディア、お前まさか」

「うん、魔王様とテルセリーデが調べ物を続けてる間、ボクが独りで最南西まで行って来て転送石に記憶させておいたよ。感謝してよねー」

「それはっ…心から感謝します!」

「ありがとうルミディア」

「礼を言うぞ小娘」

「因みに記憶させた石は人数分あるのか」

「数ぴったりだよ。初めは4つのつもりだったけど念のため5つ記憶させたんだよねー」

「そうか。本当にありがとう」

「気にしないでよ。あのお兄さんには借りがあるからね」

「さあ急いで準備を済ませて出発じゃ」

「はいっ」

「ああ」


そうして私達は急ぎつつ入念に準備を済ませてルミディアから転送石を受け取った。


「皆様に忠告ですわ。『不滅の結晶洞窟』は内部が複雑な構造になっている上に出現する魔物はどれも手強いのですが、あのダンジョン内では魔結晶の影響で魔鉱石の力が阻害されるので転送石は使えませんわ。この言葉の意味はおわかりですわね」


「成る程…緊急事態が起きても転送石での撤退はできないということか。…死亡リスクがかなり上がったな」

「関係ありません。ミウ様の為ならアニラは何も怖くないので」

「アニラ、死んでしまっては意味が無いことを忘れるな」

「…はい」

「案ずることはない。協力し、慎重に攻略すればよいのだ」

「そうですね。私も姉さん達の足を引っ張らない様に頑張ります」

「本当はボクらも行きたいんだけどね。ルシガルと違ってパーティーなんて組んだことないから連携乱しちゃいそうなんだよねー」

「残念ですがその通りですわ」

「ゴホン、いいか、半月だけ待つ。半月経って戻って来なければ全員死んだとみなしてワシはここを去る」

「ふん、よかろう。10日以上あれば充分じゃ」

「姉さん方、ポルメネをよろしくお願いします!」

「ダレア団長…」

「安心して下さい、ポルメネは家族同然。何があっても死なせません」

「ルシガルも生きて帰りなよー」

「ああ。行って来る」


皆に見送られ、私達5人は転送石を使用して件のダンジョンの前にやって来た。


ここが『不滅の結晶洞窟』か。


「さあゆくぞ」


イヴの一声に全員が顔を見合わせて頷いた。洞窟内は結晶に覆われていてとても煌びやかだった。


「綺麗ですね」

「そうじゃな。純度の高い魔結晶があったらエダロス用に回収しておくかのう」

「そうだな」


暫く進むと早速魔物が現れた。


ズゥゥンッ!


「あれはクリスタルゴーレムじゃのう」

「硬そうですね」

「安心せい。ダイヤモンドドラゴンに比べれば柔らかいものじゃろ」

「私が硬さを見極める」


ザンッ!


私が接近するとクリスタルゴーレムは殴りかかって来た。しかし随分と大振りで動きが鈍い。攻撃をかわしてから上に飛び、刀を思い切り振り下ろした。


ギギギ…ズバッ! 「オオオオ…」


なんとか片腕を切り落とした。確かに切断できるが簡単ではないな。


「圧拳っ!」 バリィンッ! ガシャーン。


アニラの一撃でクリスタルゴーレムの上半身は粉々に砕け散った。


「ふむ、やはり打撃の方が効果的かのう」

「姉さん方、私の研磨魔法を試させて頂けますか」

「なるほど、頼む」

「はいっ」


研磨魔法とは一時的に刃物の切れ味を良くする強化魔法の一種だ。


少し進むと早速クリスタルゴーレムを1体発見したのでイヴと私の剣に研磨魔法を掛けてもらい斬ってみたところ、クリスタルゴーレムの体をまるで寒天でも切るかの様に容易く切断することができた。


「これはよいな。強化の上昇値は魔法の使用者の力量で決まる、大したものじゃポルメネよ」

「そうだな。これならゴーレムを楽に倒せる…凄いぞポルメネ」

「姉さん方に褒められるなんて…嬉しいです!」


「なあポルメネさん、次は俺の鉄爪に頼んで良いか」

「呼び捨てで構いませんよ。では次にゴーレムが現れたらルシガルさんに研磨魔法を使用しますね」

「よろしく頼む。それとこちらも呼び捨てで構わない」


少し歩いてから探知魔法を使うと、結構な数の魔物の反応があった。


「どうする」

「恐らく魔物が集まる場所若しくは強い魔物の居る所が最深部への道じゃ」

「だったら突破するしかないな」

「そうですね。念のためアニラはポルメネの側で戦います」

「うむ。では妾達3人が仕掛ける」

「それでは研磨魔法と身体強化魔法を掛けますね」


少し開けた場所にクリスタルゴーレムが20体ほど密集していた。


「ゆくぞっ」

「ああ」

「おう!」

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