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開幕


日が昇った。俺達は今日、魔王城に踏み込む。


まずい、なんか緊張してきた。


「兵舎を避けて通って行く。あそこにはオーガやオークが沢山控えている」

「城内には正面から入るのですか?」

「ああ。魔王城には六大凶牙と魔王様しか居ないからな。仮に城門を開けて直ぐに六大凶牙が現れたとしても前に言った様に徒党は組んでいない」

「正面から入ろうが相手が1人なら問題ないというわけじゃな」

「そういうことだ。もっと慎重に行きたいのなら別の侵入方法もあるが…どうする?」

「正面突破でよいじゃろ」

「そうですねっ」


そう言って3人は俺の判断を待った。


確かに慎重に進むのはとても大事なことだ…だが城内には魔王と協調性の皆無な幹部のみ、セルビナの情報では罠も無いらしい。…うん、それならば大丈夫そうか…。


「よし、正面突破するぞ」

「うむ」

「はいっ」

「分かった。先ずは兵舎を避けて通る、着いて来い」


迂回して兵舎を避け、遂に魔王城に到着した。


なんて大きさ、なんて威圧感だ。もっと陰鬱で不気味な雰囲気だと思っていたが、実際は堂々としてどっしり構えてる感じだ。それにしても本当に立派な城だな。


セルビナが城門を開けて中に入り、特に問題なさそうなのでそのまま城内への扉も開けた。


ここが魔王城内部か、甲冑や石像や絵画が飾ってある。


「魔王様は上階に居るはずだ、取り敢えず中央大階段を上がって右に曲がった先の通路を目指すぞ」

「うむ」

「了解だ」

「後ろはアニラにお任せを」


4人揃って城内に足を踏み入れた瞬間、足元に複数の魔方陣が出現した。


「なっ!?」

「これは!?」

「強制転移じゃ!」

「ミウ様っ!」


気付いたら先程とは別の場所に独りだった。これはかなりまずい、イヴが言っていた強制転移…俺達は分断されたのか。


セルビナが罠は無いと言い切っていたのに…まさかあいつ、ユラノの仕業か?兎に角早く合流しないと。


「よぉ侵入者」


上から声が降ってきたので見上げると、高い天井の梁の上にフードを被った男が座っていた。


「俺の名は魔王六大凶牙、三の牙、白磁のルシガル。さあ名乗れ」


成る程。強制転移先に幹部が待ち構えているのか、これは相当にまずいぞ。


誰かが一の牙に当たったら… いや、冷静になれ。今は信じるしかない。俺が先ずやるべきことは目の前の敵を確実に撃破することだ。そして一刻も早くガールズと合流する。


「創造士ミウだ」


ーーーーーーーーーー


「来やがったな侵入者、俺は魔王六大凶牙、六の牙、榛摺(はりずり)のアマル」

「そうか。妾は朱刃…」

「言わなくていいぜ。直ぐ死ぬ奴の名前聞いても仕様がないからな」

「なるほど、人の名乗りを遮るとは…随分と礼儀を知らぬ弱者じゃのう」

「弱者だと!?」


アマルは両掌を妾に向けた。


「穴だらけにしてやる!ダートステイク!」

「ほう、土砂魔法か」


ガガガッ!


飛んできた土の杭を血刃で粉微塵にした。


「脆いのう。ブラッディジャベリン」


「ちい、グランドウォール!」


ドシュッ! 「がっ…」


妾の放った血槍は壁ごとアマルを貫いた。


「ま、待て…」

「さらばじゃアマル」


ザンッッ!


アマルの首は部屋の隅に転がっていった。


ーーーーーーーーーー


「おのれ、ユラノが仕掛けたのか…迂闊だった」


やはり慎重に行くべきだったか…すまない皆、私の責任だ。


「あれれ?セルビナじゃん」


「お前は…!」


「ボクが相手なんてついてないね」


「一の牙、紅緋のルミディア!」


ーーーーーーーーーー


「ここは…?」


「くく、雪原で貴女達に会えて良かったわ。こうして分かれさせなければ私達は負けていたもの」


「ユラノ、あなたでしたか…。それにしても1対1なら勝てて当然の様な口振りですね」


「当たり前じゃない。勝てて当然なんだから」


「なめられたものですねっ!永続圧拳!」


「ストーンシールド」


ユラノの腕に着いた小盾に岩石魔法が付与された。


ドガガッ!


「まだまだっ!」 ドガガガガガッ!!


「ヘビーロックショット」


ドゴッ! 「ぐっ」


放たれた岩が腹部に命中した。なんて重い一撃…。


「ごほっ、その小盾はまさか」


「そう、魔導防具よ。修復魔法が付与されていてね、盾に付与した私の岩石魔法が壊されると自動で超速修復してくれるのよ。もちろん魔力は消費するけど。ま、結論から言うと貴女は私に傷一つ着けることができずに死ぬのよ」


「それならば!嵐風圧拳っ!」 ガァンッ!


「ヘビーロックショット」


ドゴォッ! 「ぐぅ…」


硬い…それに防いだと同時に盾から放たれる魔法が厄介だ。


「無駄よ。その程度の威力では一撃で盾ごと破壊なんて到底できないわ」


ならば速力で圧倒して盾ではなく身体に打撃を加える!


「!?」 ズザザザッ!


危なかった、あのまま急接近していたら…


「あら、鋭いわね。私は親切だから教えてあげる、貴女の速さに私が反応できなくても、魔導盾に付与した岩石魔法の面積を拡大して防ぐことは造作もないわ。それに知っての通り盾に付与した魔法を操り射出することも可能、あのまま盾を掻い潜ろうと急接近していたら貴女の眼球は石の針で貫かれていたわ」


「なるほど、さすがですね」


だったら更に連撃速度を上げて手数で押し切る!


「永続圧拳!」

「くく、またそれ?」


「はぁーーー!!」


ドガガガガガガガガ…! 「くっ、ヘビーロックショット!」


ボゴンッ!! 「がはっ」


駄目だ。ユラノが反撃をせずに一方的に連打を受け続けてくれれば盾を壊せるが…それほど相手は甘くないない。魔法攻撃で連打を中断されてしまう、しかも距離が近い分攻撃を避けられない…3発受けて肋骨が数本折れた。これ以上受けるのは危険だ。


「驚いたわ。私の腕までこんなに衝撃が伝わるなんて…でもこれで理解したでしょう、貴女は私の身体に触れられない。次からは連打をさせる隙を与えないから。それで終わりよ」


「勝敗はまだ分かりませんよ」


「くく、わかるわよ」


治癒魔法をかけて魔力回復薬を飲んだ。次は最大限の一発を入れる。魔力を多く込めて、先の拳よりも重い一撃を。たとえ盾を破壊できなくても、打撃の衝撃でユラノの腕を砕けば勝機はある。


「いきますっ!」 ダンッ!


ユラノは重心を低くして両手で盾を持った。衝撃に耐え切るつもりか。この一撃で決める!


「嵐風剛圧拳っ!!」


「ストーンニードル!」


ドガァンッ!! ザクッ。


「痛っ」


盾は砕けず、あちこちに激痛が走った。距離を取ってから見ると肩、腕、脇腹、太股に石の針が突き刺さっていた。


「くく、終わりね」


「くっ…」


このままでは負ける…。せめて相討ちまで持っていけたら…申し訳ありませんミウ様…アニラは敗北するかもしれません……


ミウ様…?そうだ!

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