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苛烈


「あいつ、気配を察知したのか!?」

「気配…若しくは耳か鼻が利く様じゃのう」

「先ずは解毒だ」


毒を吸った俺達は直ぐ様解毒薬を飲んだ。アニラが心配だ…。


「尻尾も切ったら増えてしまうのか?」

「分からぬ!」

「セルビナ、イヴ、解毒薬も限りがある。力技で行くぞ」

「ああ」

「うむ」

「毒のブレスは俺の『大盾』で防ぐ。なんとか前肢と尻尾の攻撃を掻い潜って胴体に攻撃を!」

「任せろ!」

「ゆくぞ!」


「ギャオオオー!」 ブォォォー!


「大盾っ!」 ズズズズズズ…!


なんて圧力だ。だが無限にブレスを吐き続けることはできないはず…ブレスが終わるまで踏ん張って少しでも距離を詰める。


「ぐぐっ…」


よし、ブレスが途絶えた!


「今だ!」


ザァンッ!!


2人の斬撃でヒュドラの胴体に傷がついた。


「ギャウ! ギャオオオーッ!!」


ヒュドラは翼を広げ風を起こして2人を吹き飛ばした。


「いけるぞ、やはり胴体か」

「そうじゃな!ミウ、もう一度じゃ!」

「任せろ!」


ブジュッ!!


「なにっ!?」

「なんじゃと!」

「こいつ、自身の首を引きちぎって…」


首が4本生えてきた。嘘だろ、これでブレスの威力が倍になる。範囲に関してはもう回避は不可能だ。


「やるしかない、行くぞ!」


「ギャオオオオー!!」 ブゥォォォォーーッ!!


「大盾っ!」


ぐっ、凄まじい圧力だ…気を抜いたら体ごと吹き飛ばされる。


「ぐぐぐ…!」

「イヴ、ミウを…!」

「分かっておる!」 ザククッ。


2人は地面に剣を突き立て俺の体を支えてくれた。


ブレスが終わるまでなんとか絶えなければ…!


「ギャウッ!?」


ブレスが止まった!?まさか…アニラか!


その時アニラはヒュドラの尻尾の先を踏みつけて尻尾に思い切り打撃を加えていた。


「どうです、尻尾は痛いですよねっ!」 ガガガガッ!


「ギャオオオオオオーーッ!!」


ドガガッ! 「きゃあ!」 「ぐあっ!」


長い首を尻尾の様に操ってアニラとセルビナが叩き飛ばされた。


俺とイヴはヒュドラが次の動作に入る前に距離を詰めた。


「ミウ!攻撃は妾が捌く、気にせずにゆけ!」

「分かった!」


ヒュドラは前肢を振り下ろしてきたがイヴが血刃でいなした。すると再び首をしならせ攻撃してきた。


「ぬう、首を切る訳には…」


ドガッ! 「ぐぅ…」


イヴはシャドウイーターで攻撃を受け吹っ飛ばされた。


何としてもこれで決める!


俺は素早く懐に入って掌をヒュドラの胴体に向けた。


「エンハンス ショットガンッ!」 バァンッッ!!


爆音と共にヒュドラの胴体は粉々に吹き飛んだ。


やったぞ…散弾の数は通常の『ショットガン』の3倍程の大魔法、まさか再生しないよな…。


そうだ、皆は。


「ミウ、よくぞ倒した。それにしても大した威力の魔法じゃな」


イヴはアニラを背負っていた。頭から血が出ている。


「アニラ!無事なのか」

「うむ。しかし今回は間違いなくアニラが一番負傷しておる。頭部に軽度の裂傷と骨が数ヵ所折れておった。治癒は済ませたが未だ意識が戻らぬ」


俺はアニラをそっと抱き抱えて膝を着いた。


アニラの頬をそっと撫でると純白の睫毛がピクリと動いた。


「ん…ミウ…様…」

「アニラ」

「ミウ様、お怪我は」

「俺は全然平気だ、心配したぞ。どこか痛くないか」

「痛くないです。申し訳ありませんでした」

「ミウに抱き抱えてもらえるなら私も意識を失いたかったな」

「セルビナ、大丈夫か」

「ああ。ダークイルミネーターで受けたから割りと平気だ。骨が2、3本折れたがイヴが治してくれた」

「ああ…ミウ様の腕のなかで目覚めることができてアニラは幸せです」

「立てるか?」

「もう暫くこのままでお願いいたします」

「全く、抜かりのない奴じゃな」

「私が替わろう」

「結構です」

「お前…」

「落ち着けセルビナよ」

「イヴ、ヒュドラは素材としての価値はあるのか」

「無論じゃ。妾が回収してこよう。ついでに吸血して魔力を回復させるかのう」


イヴが吸血魔法を発動したその時、奇妙な足音が聞こえてきた。かなりの数だ。


「ちい、臭いに誘われて来たか」

「魔物か…休ませてくれないな」

「せっかくミウ様に抱き抱えてもらっているのに」

「そんなこと言ってる場合か」


現れたのはリザードマンの群れだった。剣に円盾、長槍、弓と様々な武器を手にしている。


「正直言ってこいつらは弱くないぞ。退くか?」

「いや、全滅させてここで堂々と休む!」

「賛成です!」

「ヒュドラのお陰で魔力は全快じゃ!」

「よし、やるぞ!」


それから俺達は迫り来る魔物を一心不乱に討ち続けた。



「グルォ…」 ドササッッ。


「これで全部か」

「その様だな」

「長かったですね」

「漸く休めるのう」


リザードマン達は武器の扱いが上手い上に耐久力が高く、1体1体が思ったより強くて手こずってしまった。魔力も体力もかなり消費した。


「直に夜が来る、野営の準備をしよう」

「うむ」

「はいっ」

「分かった」


少し移動して天幕を組み立て、寝床を作り、火を起こしてから交代で身体を拭いた。


セルビナが言うにはリザードマンの肉は結構美味しいらしいので焼いて食べることにした。これはまたハーブソルトとスパイスの出番だな。


「んっ!美味しい!」

「本当ですねっ」

「確かにこれはうまいのう」

「これは…塩と香辛料のおかげでより美味しいな」

「アニラの故郷に感謝だな」

「そうじゃのう」


食後にお茶を淹れようと思ったがガールズがウトウトしてることに気付いた。


「皆疲れたろ、先に3人で寝てくれ。俺が見張る」

「駄目ですよ、ミウ様だって疲れてるのに」

「そうだぞミウ」

「無理するでない」

「俺は平気だ。ほらほら、寝かし付けるから皆横になって」


そう言って半ば強引に3人を寝床に追いやって毛布を被せた。1人ずつ丁寧に寝かし付けた後、テントから出て空を見上げた。


ここから先、もっと強い魔物が現れるのか…その先には魔王軍も控えてる。気を引き締めて進まないとな。


それにしても…


「星1つ見えないな」

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