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出発


「ルダンさーん」


「おお〜アニラじゃねぇか。来たな兄ちゃん達、俺様の鍛造技術と加工魔法で最高傑作が誕生したぜ」


「待て、加工魔法なんてあるのか。魔導書は街で手に入るのか?」


「残念ながら非売品だ、俺様は先代から譲り受けたんだ」


「それは残念だ…。じゃあ最高傑作とやらを見せてくれ」


「おうよ!」


「うおっ、眩しい」


「へへ、ダイヤモンドの輝きが武具にも反映されてるからな」


ダイヤモンドドラゴンの爪で作った俺のメイン武器となる直刀、牙で作ったイヴの直剣、角と皮で作ったアニラの戦闘用グローブとシューズ、鱗と皮で作ったセルビナの片甲手。


「す、凄い…」

「これは驚いた」

「イヴ、ちょっといいか」

「うむ、妾も直ぐにでも振りたい」

「ルダンさん、裏庭借りるぞ」


「好きにしろ。アニラ達に解説させてもらうが…先ず兄ちゃんの直刀は特質すべき点はないが純粋に軽量かつ抜群の強度と斬れ味、そして圧倒的な扱いやすさが魅力の一振りだ。吸血鬼の姉ちゃんの直剣は要望通りに山の低い鋸刃にしてあるから斬りつけた相手の出血量が増加する吸血鬼にピッタリのおっかねえ一振りだ。アニラのグローブとシューズは打撃部分に加工したドラゴンの角が当ててある。何でも砕ける上に丈夫な竜皮で出来ているから刃物だろうと破けねぇ。魔人族の姉ちゃんの片甲手は単純に超頑丈、表面に防護魔法かければ破壊不可能の防具だぜ。アニラのグローブみたいに打撃武器としても使えるし、それで攻撃弾けば相手の武器破壊も御手の物よ」


「礼を言う。これは素晴らしい防具だ」


「サイズも丁度良くて重くないです。ありがとうルダンさん。セルビナさん、アニラも試したいのですがお手合わせよろしいでしょうか」


「ああ、ミウ達の所に行こう」


キンッ!!


これは本当に良い刀だ。重すぎず手に馴染んで扱い易い。


「俺達の魔法頼りの戦闘手段も終わりだなイヴ!」


キィィンッ!


「そうじゃな。これ程よい剣を作るとは大した奴じゃ!」


キィンッ!!


向こうではアニラとセルビナが嬉しそうに組み手をしている。


「どうだい、使い心地は」

「最高だ。あんたに任せて良かった。心から感謝するよ」

「そいつは嬉しいお言葉だぜ。そいつらの名前も教えておくぜ。無銘じゃ可哀相だろ」

「名前か、聞かせてくれ」

「そいつは直刀『月明爪(げつめいそう)』だ」


おお、格好いい!


他はイヴの直剣が『斬り喰らう牙剣シャドウイーター』、アニラのグローブとシューズが『照暗砕角(しょうあんさいかく)』、セルビナの片甲手が『守護破砕の輝竜殻ダークイルミネーター』だ。


これで俺達『クローバー』の戦力はかなり上がった、安心して魔王討伐に行ける…なんて過信はせずにいこう。


アニラと別れ、3人で晩飯を食べて宿に戻った。


「今日も催眠魔法で眠るのか」

「そのつもりだ」

「あまり健康的ではないんじゃがのう」

「ミウ、1つ聞きたいのだが、私に魅力が無いってことはあるのか。正直に答えてくれ」

「それはない。セルビナはとても魅力的だ。もちろんイヴ達もな。だから困っているんだ」

「そ、そうか」

「しかしミウよ、いい加減改善策を練った方がよいのではないか?」

「そうだな…考えておくよ」


そうして今夜もイヴに催眠魔法をかけてもらって眠りに就いた。


朝になり、朝食を済ませて宿の外でアニラを待った。


「お待たせしました!」


隣にはアニラのご両親も居る。


「ミウさん、うちの娘をよろしくお願いします」

「はい、責任持ってお預かりします」

「ミウさんになら安心して娘を預けられます。アニラのやつ、ミウさんの話ばかりで妬いてしまいましたよ」

「ちょっとパパ!」

「すまんすまん、気を付けて行って来るんだぞ」

「うん、パパとママも体に気を付けてね。また会いに来るから」

「必ずよ。私達はいつでもアニラの帰りを待っているわ」

「ありがとう。行って来ます」


「ミウさーん!」


ヘルキバ達が走って来た。


「港まで荷物をお持ちますよ」

「おお、ありがとな」


そうして俺達は獣人街レクテを後にした。


「ミウさん、俺達Bランクまで昇格したら街を出て世界を旅しようと思います」

「そうか」

「どこかで会ったら一杯奢らせて下さいね」

「ああ、楽しみにしてるよ。無茶はするなよ」

「はい!師匠達もお元気で」


ヘルキバ達と握手をして船に乗り込んだ。直ぐにイヴとセルビナに催眠魔法をかけて眠らせないとな。今日は波が低くて穏やかだから俺は平気だろう。


船が動き出した。


「ミウさーん!師匠ー!お世話になりましたーっ!」


手を振るヘルキバ達がみるみる小さくなっていった。


獣人国ティーバ…良い所だったな。


「ミウ様、カウソスに着いたら休みますか?」

「ああ。休みたい」

「分かりました。序でに足りない物の買い出しもしておきましょう」

「そうだな」


それから到着まで2人でべったりくっつきながら海景色を堪能した。俺の禁欲はもう限界を迎えている…こうしてアニラと接触してるのが辛くなってきた。


そして俺は遂に決心した。


港町カウソスに着き、2人を起こしてから宿に行って敢えて離れたニ部屋を取った。


それから市場で食糧と寒さ対策に厚手の毛布とマント、組立式の天幕を購入した。荷物が重くなるがこれから目指すのはアギレが話していたブデオン大雪原だからな。まあその前に森林地帯と湿地を越えないといけないらしいけど。なんにせよ魔王城までは元幹部のセルビナが案内してくれるから心強い。


「3人とも、大事な話がある」


海沿いの広場でそう切り出した。雑談していたガールズは口を閉じて神妙な面持ちで俺の言葉を待った。


「唐突ですまないが…俺は3人を抱きたいと思っている。理由は2つ、1つ目はカウソスを出たら魔王城までの道程には町も村も無い、宿に泊まれるのはここが最後だから。2つ目は単純に俺の性欲が抑えきれなくなりつつあるからだ…毎晩催眠魔法で眠るのもそろそろ限界に近い。もちろん無理強いするつもりはない、少しでも抵抗があるなら遠慮なく言ってほしい」


「抵抗なんてありません、アニラはミウ様に抱いていただけることをずっと待ち望んでおりました」


「経験が無いから少々不安だが、私もいつかはミウに抱いてもらいたいと思っていた。抵抗など無い」


「わ、妾だって2人と同じ気持ちじゃ!」


アニラは待ちきれないといった表情だが、他の2人…特にイヴは明らかに困惑と動揺が入り交じっていて覚悟が出来ていない様子だ…本当に大丈夫なのだろうか。


「皆ありがとう。そしたらアニラ、今夜大丈夫か」

「はいっ、もちろんでございます」


俺達は晩飯を済ませてから宿に戻った。


まずい…ここにきて少し緊張してきた。大丈夫だ、ガールズを想う自分を信じてみよう。


部屋で待っているとノックの後ドアが開いた。

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