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攻略


ん~よく寝た…って近いな。


目の前にイヴカロンの寝顔が在る。まあ朝一で美人の寝顔を拝めるなんて贅沢なことだな。


ホールドされた腕をなんとか外し、セルビナの方に寝返るとこちらも近かった。瑠璃色の髪が顔にかかっている…そっと耳に掛けると長い睫毛がピクリと動きゆっくりと目蓋が開いた。


「悪い、起こしたか」

「気にするな。私に触れたのか?」

「髪の毛を耳に掛けた」

「…それだけか?」

「ああ、そうだけど」

「そうか。顔を洗って着替えて来る」

「あ、ああ」


なんだ?ちょっと怒ってる様な…いや、寝起きだし気のせいか。眠り姫はまだ寝かせておくとして、俺も支度してセルビナが戻ったら朝食でも買って来るか。


朝食を買って宿に戻ろうとした時、突然腕に抱き着かれた。この胸は…。


「おはようございます」

「おはようアニラ。早いな」

「もう9時過ぎですよっ」

「えっ、もうそんな時間か」


部屋に入るとイヴはまだ寝ていた。


「起こすか?」

「頼む」


それから皆で朝食を済ませ荷物を背負って宿を出た。


「3人はダンジョンに入ったことあるのか?」

「私はない」

「妾も」

「アニラもです」


まさかの全員が初ダンジョンとは…まあそもそも全員冒険者じゃなかったからな。少し不安になってきた。


ダンジョンに近付くにつれ魔物が増えてきた。例によってイヴが血刃魔法で瞬時に駆除してくれるので俺達はハイキング状態だった。


「おお!」

「ここか。名前は確か『未知の古跡』だったか」

「大きい…こんなものがあったなんて」

「ふむ…妾達なら問題無さそうじゃが」

「油断は禁物だ。Bランクのパーティーが何組もやられているからな」

「セルビナの言う通りだ。何が起きてもおかしくない、気を引き締めて行くぞ」

「うむ」

「ああ」

「はいっ」


ダンジョンに足を踏み入れて数分、続々と魔物が現れた…数が多い。初の様々なアンデッド、洞窟にいたようなコウモリ、クモ、トカゲの魔物等。


イヴが邪悪な魔力と殺気を振り撒くと魔物達は動きを止めたので3人でさくっと全滅させた。


「宝箱とかあるのかな」

「どうでしょう、罠の可能性が高いかもしれません」

「何にせよお宝はあるはずじゃ」

「何故言い切れるんだ」

「宝物を持たぬダンジョンの主など聞いたことがないからのう」


ごくり、宝物か。ダンジョンっぽくて良いな。


魔物を倒しながら進むと扉が現れた。


「普通に開けても良いかな」

「よい。罠が起動したら対処する」


さすがイヴ、心強いな。


よっと。 ズズズ…。


キキーンッ!


「やはり罠か。猛毒の針じゃな」


毒つきの千本針が複数飛んできたらしく、イヴが血刃で全て払ってくれた。


扉の先は…広間?これはまさかボス部屋か!?


「グオオオオ~!!」

「うるさいぞ」


ザンッ! 「グギャ…」


ズズーン…。


巨大なゾンビウォーリアーが現れ、雄叫びを上げた瞬間セルビナが魔力の斬撃を放って首を落とした。確かにうるさかったけど…なんか気の毒だな。


「こやつだけか。つまらん」

「先に進めばもっと強い魔物が現れますよね」

「そうだな。そうじゃないと困る」


こんな緩いダンジョンな訳がない。そう信じて俺達は進んだ。


その後も大量の魔物を狩りながら階段や梯子を使って深く潜っていき、今度は先程より大きな扉が現れた。


「ここが最深部か?」

「まだ早いと思うが…中の奴に聞いてみるか」

「言葉が通じる魔物だとよいな」

「そうですね。 圧拳っ!」


ドガッ!!


扉が吹っ飛んでいった。ちょっとアニラさん、雰囲気が台無しだよ。松明が灯り、姿を現したのは骸骨の騎士?いや、あの王冠と玉座みたいな物…骸骨の王様か。


「スカルキングじゃな。ついておる、あれなら会話は可能じゃ」

「そうなのか。それじゃあ俺が…」

「お待ち下さい。ここはジャンケンかと」

「そうだな」

「当然じゃな」

「ジャン、ケン、ポン!」

「う…」

「あっ」

「むう」

「ふっ、決まりだな」

「セルビナ、分かってるな」

「ああ、油断も容赦もしない。見ていろ」


「カカカ、随分と嘗められたものだな。小娘、後悔させてやろう」


スカルキングは立ち上がり、剣を構えた。奴が身に付けている甲冑…変わった魔力を感じる。魔導防具か…?凄いな、高く売れそうだ。


「集え、スカルナイト!」


地面に魔方陣が描かれ大量のスカルナイトが現れた。


「ふん、雑兵を呼ぶとは情けないのう」

「セルビナさん、手伝いましょうか」


「必要ない。フリージングウェーブ!」 パキンッ!


全てのスカルナイトが一瞬で氷漬けになり、セルビナの魔力斬で粉々に砕け散った。


「ぬう、馬鹿な」

「興醒めだ。一太刀で終わらせる」


セルビナは刀を鞘に納め、構えをとった。


「小娘、図に乗る…な…」


スカルキングの首が宙を舞う。


セルビナ、また速力上がったな。


「ここは最深部か?答えろ」

「ググ…違う。王座の脇に階段が在る…」

「感謝する」 バキィッ!


峰打ちで頭を砕き、セルビナは戻って来た。


「まだ先があるらしい」

「そうか、一先ずこの部屋で休憩するか」

「そうですね、お腹も空きましたし」

「あやつの装飾品と王冠はよい値で売れるぞ」

「よし、回収しよう。甲冑はさすがに持ち帰れないか」

「慌てるでない。この先もっとよい物が見付かるじゃ」

「それもそうだな」

「ミウ様はそれ程お金が欲しいのですか?」

「もちろんだ。皆に贅沢な暮らしをさせたいからな」

「ああ、なんてお優しい。アニラはどんなに貧しい暮らしだろうとミウ様と一緒なら幸せです」


そっかそっかと頭を撫でるとアニラは尻尾をぶんぶん振って抱き着いてきた。


「んんっ!分担するぞ。ミウと妾が戦利品を回収、部屋の安全確認する。セルビナとアニラは食事と寝床の準備じゃ。この部屋の広さならば火を使っても問題ないじゃろう」

「分かった」

「はいっ」

「安全確認?」

「罠や仕掛けが無いか念のため見て回った方がよいじゃろ」

「その通りだな。さすがイヴ」


部屋を隈無く調べた後、スカルキングの王冠と首飾り、指輪を頂戴した。


「食事の用意ができました」

「寝床の準備も終わったぞ」

「よし、食べるか」


食事を済ませ、濡らした拭き布で身体を浄め、寝床に就いた。ジャンケンで勝ったのはイヴとアニラだった。


まずいな…初ダンジョンで興奮しているせいか全然眠くない。


「ミウ様、寝かしつけて下さい」

「あ、ああ」


横に座って手を繋ぎ、頭を撫でるとアニラは直ぐに寝息を立て始めた。暫く寝顔を見ていると、後ろから腰らへんをつつかれた。


振り向くとイヴが目で訴えてきたので側に寄り、アニラ同様寝つかせた。セルビナはもう眠っていたのでそっとしておいた。ガールズは寝付きが良いな。


さて、俺は見張りだ。眠くないから交代時間を伸ばすか。


物音で目を覚ますと3人が出発の準備をしていたので慌てて起きて手伝った。


「もう少し寝ててもよろしかったのですよ」

「そうだぞ。ミウ、自分の見張り時間をかなり伸ばしていただろう」

「えっ、いや… すまない」

「妾達はお見通しじゃからな。二度とするでないぞ」

「わかった」


全員で指切りした後、王座の脇の階段を降りて先に進んだ。

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