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祝宴


宿に戻るとイヴ達の部屋にセルビナも来て寝ていた。


貰ってきた薬を3人に飲ませると、たちまち善くなった。


「よく効くお薬ですね」

「うむ」

「本当だな」

「旅に持って行こうと思って余分に買っておいた。アニラ、今日の夜ルムリス達の店に迎えに行って欲しい。あの一家も祝賀会に参加させたい」

「承知しました。同族なので色々とお話できそうで楽しみです」

「そうだな。じゃあ夜まで自由行動にするか」

「ミウ様はどこか行かれるのですか」

「ああ。ミゥーズ傭兵団に差し入れを持って行こうと思ってる。あいつらよくやってくれてるし、一応俺はボスだからな」

「妾も行こう。ダレアとポルメネにも会いたいしのう」

「私も行く」

「でしたらアニラも」


結局4人で差し入れのスイーツと酒を買って屋敷に向かった。


「あっ、ボスと姉さん達!」

「よう、これ差し入れだ。祝賀会があるから今日は飲むなよ」

「うおー!頂きます!」

「やったぜー!」

「妾はダレアの部屋に行く」

「わかった」


キッチンを見ると食器や調理器具が並べてあった。


「おい、これどうしたんだ?」

「クエスト代行で稼いだ金で買いました。俺達はよく分からないので団長と副団長が選んだんです」

「お前ら…」


稼いだ金は好きに使って良いと言ったのにまさかこんな物を買ってくれていたとは。


「アニラが紅茶を淹れますね。セルビナさんはクッキーをお皿に並べて下さい。ミウ様は座ってお待ちを」

「わかった」

「ありがとな」


うーん…使えそうな家具は棄てずに綺麗にして残してあるが、このダイニングテーブルじゃ小さ過ぎる。12人掛けだからな。しかも椅子は足りてないし。家具のことも具体的に相談しないとな。


「そういえばお前ら飯はいつもどうしてるんだ」

「食べに行くことが殆どでしたが最近はポルメネ副団長が食材買って作ってくれるんです。食材運んだり食器洗うのは皆で分担してます。副団長の料理美味しいんで有り難いっすよ」


ポルメネが23人分を?食材選びや買い出しに行くも大変だろう。うーん、定期的に食材を屋敷まで配達してもらえたら助かるんだが…。あと使用人でも居れば…。あ、良いこと思いついた。


「なあ、ダイヤモンドドラゴンの討伐って偉業なんだよな」

「そりゃあもう!」

「偉業なんてもんじゃないっすよ!」


「急にどうしたんだミウ」


クッキーを乗せた皿を持ってセルビナが寄って来た。


「いやあ、自分で勝手に難しく考えていただけで実は大した問題じゃなかったんだ」

「何の話だ…?」

「はい、あーん」


クッキーを摘まんでセルビナに食べさせると悔しいと嬉しいの間みたいな表情をしていた。うん、普通に可愛い。


「ミウ様、紅茶が入りました。あとアニラにも食べさせて下さいませ」

「ありがとな。はい、あーん」


アニラは幸せそうに俺の手からクッキーを食べている。


「はは…ボスって本当に凄いっすよね」

「ああ、ただのモテ男って次元じゃねえからな」

「それはもちろん褒めてるんだよな」

「も、もちろんっすよ!」

「あ、当たり前じゃないですか!」


必死じゃないか。要は人間以外にモテるって話だろうが俺とこの世界の価値観は違うんだ。俺が美人と判断したらその相手は種族なんて関係なく美人なのだから。角や尻尾があっても関係ない、むしろ萌え要素…大きな魅力だろ。


「ミウ様ソファに座りましょう」

「ソファか…そういえば一度も座ってなかったな」

「待て、私も座る」


3人でソファに座っているとイヴとダレアが降りて来た。


「随分と気持ち良さそうじゃのう」


目の前に立って腕組みしながらイヴが言う。ちょっと怒ってる?そんなイヴも可愛い。


無言で手を差し伸べると躊躇いながらもイヴは手を取った。


俺はぐいっと引き寄せてイヴを膝の上に乗せた。


「な、何を…!よさんかミウ。皆が見ているっ」

「ではアニラと交代致しましょうか」

「ならぬ!」

「ふっ」

「セルビナ、何が可笑しい!」

「よしよし。もう少ししたら戻るぞ。城から迎えが来るからな」

「う、うむ」

「はぁい」

「ああ」


「あの、ボス」

「どうしたダレア」

「本当にいいのですか、我々全員も祝賀会に参加して。今回の件で私も含め何もしていない者もいます」

「関係ない。お前らは仲間であり家族だ、全員で祝わなきゃ意味が無いだろ。解ったらそんな質問は二度とするな」

「はいっ、ボス」


ちょっと言い方キツかったかな…と思ったがダレアと野郎どもは嬉しいを通り越して感動している様子だった。


「アニラ達はそれ以上ですよね」

「おい、そんな質問は良くない」

「そうじゃ。比較することではない」


2人に言われ、アニラは少し落ち込んだ表情になった。


「3人は特別だよ」


そっと耳打ちするとアニラは尻尾を振って抱き付いてきた。


「おっと」


落ちない様にイヴの腰に手を回すとイヴは「ひゃ!?」と変な声を漏らした。


「そろそろ行くか」と呆れた様子でセルビナが言って俺達は宿に戻った。


そして使者が来るまで部屋でダラダラ過ごした。


コンコン。


「ミウ殿、王城より迎えに参りました」


「よし、行くか」

「うむ」

「ああ」


アニラは一足先にルムリス達を迎えに行った。


城に向かう途中、ミゥーズ傭兵団が後ろからぞろぞろと現れた。


「ボス!」

「よう。ポルメネ、疲れてるところ悪いな」

「疲れてなどいません!ボスと祝賀会に参加できて嬉しく思います」

「そうか。行くぞ」


ミゥーズ傭兵団は騒がしく返事をした。街の人々の視線が集まる。


「全く騒がしい奴等じゃ」

「同感だな」

「すみません、姉さん方…」

「気にするなダレア。皆楽しみなんだろ」


城の門兵に確認を取らせて全員で中に入った。


大広間に案内され扉を開けてもらうと高過ぎる天井に豪華なシャンデリア。豪勢な食事が大きな円テーブルに並べられてる最中だった。タイミングは完璧だ。


「うっひょー!」

「とんでもねえご馳走だぜ!」

「酒もあるぜ!」


テンション上がるのは分かるけどもう少し御行儀よくしてほしい。まあ今日くらいは大目に見るか、王城に招待されるなんて滅多に無いしな。


食事は立食スタイル。ミゥーズ傭兵団に合わせてくれたのか。こいつらは椅子に座って上品に食べるタイプじゃないからな。


「ミウさーん!」


後ろからレリスが抱き付いてきた。


「ちょっとレリス、お城の中なんだから御行儀よくしなさい」

「はーい」

「ミウさん今晩は」

「今晩は。これで俺達の身内は揃ったな」


その時、ベルギュリウス王と騎士団が大勢現れた。

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