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魔力


それから半年程で村の生活を覚え、子供が勉学に励む塾みたいな所に足を運び子供達に混じって文字や歴史などこの世界『ユリオン』のことを色々学んだ。


世界地図を見た時に教えてもらったことだが、未だ未開拓の地があるらしく、そこは地図には載っていないとか。


偉大な冒険家が残した日記には最北端の先に大陸らしきものが見えたと記述されていたらしい。しかし北部は凶悪な魔物や魔王軍が居るので人は近付けない。


まあ俺には関係ない話だな。


塾には魔法についての分厚い本が在ったので先生に頼みこんで貸してもらってから食らい付く様に毎日読んだ。


今まで漫画以外は読めかったけどこれは非常に興味深く、ロマンを感じながら読み耽った。


本によると自然属性魔法の属性はひとりひとり生まれ持ってるもので自分で決めたり途中から身に付けることは出来ないらしい。


治癒魔法や強化魔法といった一般魔法以外の炎や水といった自然属性の魔法を1人で2種類以上扱うことはできないしそれ以前にある程度の魔力を持って生まれなければ一般魔法すら扱えないらしい。


要は生まれた時にそれなりの魔力を持っていなければ魔法は使えないということだ。属性魔法に至っては完全にガチャだな。


勿論魔法を扱えても得意不得意は人それぞれらしい。


因みに一般魔法を習得するにはそれぞれの魔導書に載っている詠唱を唱えながら自身の心に刻む様に魔力を込めると扱えるようになるらしい。


あとは鍛練して自力で精度や効力を上げる。魔導書は1度使用すると消滅するので使いまわしは出来ないとか。まあ当たり前か。


もし自然属性の魔法を使えなくても属性魔法を扱える仲間に武器に属性を付与してもらったり、魔導武器と呼ばれる希少な物には様々な属性の魔法が付与されていて、持ち主が魔力若しくは生命力を注げば武器の魔法を尽きること無く使えると書かれていた。


良いな良いなー。魔法使ってみたいなー。


でも残念ながら俺は属性魔法は持ってないっぽい。


どうやって自分が魔力を持っているかどうかを判断する方法もこの本には載っていた。


両手の平を胸辺りの高さで向かい合わせ、空間を包み込む様にする。目を閉じて集中して何でも良いから自分が魔法を扱っている姿を想像する。魔力を持っていれば包み込んでいる空間が輝きだし、更に属性魔法を持っていれば輝きだけではなくその断片が顕現されるらしい。例えば炎だったら小さな火が灯るとか。


俺はその方法を読んで直ぐに行動に移したが何も起こらなかった。


まあ何も起こらなかったと言うと語弊があるが。


取り敢えず魔力は持っている様で安心した。属性の方は何と言うか火や水といったものではなく、両手の平の中に何かこう見えない物体が在る様な感覚がするのだ。


この現象に対して本には何も載っていなかったので恐らく俺の都合の良い想像が錯覚を起こしているのだと思う。


まあ仮に魔力を持っていなくてもこの世界は俺が居た世界と違って年齢性別関係無く人間の身体能力が少し高い。ゆえに武具を装備すれば色んな戦闘スタイルを選べそうだ。


しかし俺は冒険に出たいとは思わなかった。


そりゃ憧れはするけど純粋に魔物が恐い。


ゲームじゃあるまいし大怪我したり死んだら終わりだ。


それにこの村での暮らしが悪くない。


両親は生まれ変わった息子をえらく気に入ってる様でとても良くしてくれるし、妹のリオは見事なお兄ちゃん子になってくれた。


教わった畑仕事をしつつこっそり木の棒で素振りするのも密かな楽しみだ。学生時代は剣道をやっていたが鈍るどころか最早経験者とは呼べないくらいの腕だ。


この平和な村には武器なんて物は無いが物足りないとは考えなかった。


家族仲良くのんびり過ごすスローライフってやつだ。


それだけで充分だ。


欲を言えば恋人が居れば文句無しだが…村には同世代の女の子が10人近く居るけど全員既婚者若しくは交際相手が居るという絶望的な状況が現実だ。


俺の可愛い妹もいつかは…などと考えるだけでとても嫌な気分になる。


でも今は兎に角毎日が充実している。

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