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現実


結論から言うとこれはあれだ、異世界転生ってやつ。


あの後村長のじいさんに呼ばれて色々教えてもらった。


先ずここは『ユリオン』という世界の『タルハス』という国の隅っこに在る『ポマリス村』であること。


俺はミウという名の齢20の若さで今朝病死したはずの青年であること。


そして一番驚いたのは自分の容姿だ。姿見みたいな物が村長の家に在って見たのだが、前世の俺にそっくりだったのだ。


異なる部分と言えば他の村人みたいなオリーブグリーンの毛髪にダークグレーの瞳だ。それ以外はまんま自分だった。


鍛えて絞った状態で15年若返ったって感じか…あと髪の毛が艶々でさらさらだ。


聞く限り世界観は有りがちな中世〜近世ヨーロッパに近いもので、魔物や魔王が存在する剣と魔法のファンタジー…みたいな世界だ。


因みにミウの家族は両親と妹が1人。そういえば初めに村人達に囲まれた時、泣き崩れて喜んでいる男女が居たのだがそれが両親だと後から知った。


妹はあんまり嬉しそうではなかった。仲が悪かったのか。


村長の家に両親が迎えに来て自宅に案内された。


お世辞にも綺麗とは言えない古びた石造りの家だった。中に入っても当然懐かしさは微塵もなかった。


両親と妹と4人掛けダイニングテーブルの椅子に座り、俺は気になっていることを全部聞くことにした。


「俺の病気ってどんなものでしたか?」


「病気じゃなくて呪いよ。あなたは今朝、入ってはいけない祠に入り戻ってくると村の真ん中で突然倒れてそのまま息を引き取ったのよ」


え、呪い?何だそりゃ。


「その祠には何か在るんですか」


「大昔に魔族が置いて行ったと云われる邪悪な短剣が祀られてるわ。ミウ、あなた本当に何も覚えていないのね」


そういえば死んだ筈の俺が生き返ったのは単に土葬して呪いが解けて生き返ったのではないかと考えられていたらしい。


仮にそうだとしても窒息死するけど…まあ魔法が存在する世界だからな、割りと何でもありなのだろうか。道理で村に到着した時あんなリアクションだった訳だ。


転生したなんて言ってもややこしくするだけだな…必要性も感じないし黙っておこう。


それにしても邪悪な短剣か…無性に見てみたい。


「…」


どうでもいいけど先程から妹は俺に対してまるで興味無さそうだ、ちょっと悲しい。死んだ筈のお兄ちゃんが戻ったと言うのに。


「あの、俺ってどんな性格だったんで…」

「乱暴で自分勝手で優しくない」


妹が即答してくれた。そりゃ嫌な兄貴だな、嫌われる訳だ。


「何も覚えていないけど、なんかごめんな。これからはいいお兄ちゃんになれる様に頑張るよ」


きっと同じ人間とは思えなかったのだろう…まあ実際に別人なんだけど。妹は目をぱちくりして驚いていた。普通に可愛い。


前世では弟が1人居たが昔から仲が悪く、大人になってもその関係性は変わらなかった。


憧れの兄妹だ。妹の名前はリオ。


俺はこの可愛い妹をめちゃくちゃ可愛いがってお兄ちゃん子にしてやると誓った。

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