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孤独


「お前達、悪いがこいつの手下どもを…」

「連れてきたぞ、ほらさっさと前に出んか」


イヴが連れてきてくれた。


「み、見逃してくれ。俺達はリーダーに命令されてただけなんだ」

「そ、そうよ。こんな奴全然慕ってないんだから」


よく言うよ、決闘前は熱心に応援してたくせに。まあ良いけど。


「こいつへの忠誠心が無いのなら俺の傭兵団に加われ。それが嫌な奴は失せろ」


喋りながら傭兵団のリーダーの砕けた拳を治癒魔法で治してやったら礼を言って逃げるように去っていった。残った奴等はそれを見て互いに頷き何か決心した様子で俺に向いた。


結局7人全員が俺の傭兵団に加わった。そいつ等にもちゃんとルムリス達に謝らせた。


「猫のお嬢ちゃん、ごめんな」

「店主も悪かったな」

「本当にごめんなさい。この様な無礼、二度と致しません」


男どもはもっとマシな謝り方出来ないのか。女性を見習え。


それより傭兵団の名前決めないとな。ハイエナ軍団じゃイメージ悪いし…うーん。


「ミウさん。本当にありがとう!お父さん、お母さん、この人がミウさんだよっ」


レリスが腕に抱き付いてきた。


「娘達から聞いております。今日はありがとうございました。先日も薬草を沢山頂いてしまってどうお礼をすれば良いか」


「お礼が欲しくてやってる訳ではないので。また今度お店に伺いますね。レリスちゃん、またね」


「えー、帰っちゃうの。後でお部屋に行って良い?」


小声で聞かれて断る理由があることに気付く。


イヴが不機嫌そうにこちらを見ている。


「レリスちゃん、今日は色々あってヘトヘトでさ。ちょっと先延ばしにしても良いかな」


「うん、分かった」


おや、駄々捏ねると思ったけど少し成長してる…と感心したのも虚しく、「ミウさん大好きっ」と体に抱き付いてきたのでありがとうと言いながら頭を撫でた。


ルムリスが羨ましそうに見てたので手招きして近寄らせてから頭を撫でた。ご両親の前で気まずいけど大事なことだ。


そうしてルムリス達は散々お礼を言って帰って行った。


さてと、これからギルドに行って…


「ボス!ギルドに行って報酬貰って来ました!」


「え?ありがとう。でもどうして」


「イヴの姉さんに言われました!」


なんて気が利くんだイヴ、ちゃんと褒めて甘やかさないとな。


「よし、ひとまず今日は解散する。明日、お前達全員の装備と身なりを整える為に買い物に行く」


賊丸出しの格好じゃ困るからな。するとハイエナ達はまるで修学旅行前の学生の様なテンションで散って行った。


計23人、名前覚えれるかな。


イヴと2人で宿に戻り、イヴの分の宿泊代を追加で払った。漸くゆっくり話せる。


「イヴ、俺の村での出来事も見ていたよな」

「うむ」

「この先、相手を殺すしかない状況が訪れると思う。でも俺はできるだけ人の命を大事にしたい、死んだらそこでお仕舞いだからな。イヴには理解出来ないと思うけど、当たり前の様に躊躇い無く命を奪うのは止めて欲しい。もしそれが出来そうにないなら…」

「妾はミウに従う」

「いや、無理しなくても…」

「しておらん。先はその、すまなかった」


随分と反省している様だ。別にイヴが間違っている訳ではない…俺の価値観を押し付けてしまっているのが申し訳なく思う。


「ごめんなイヴ、俺もキツく言い過ぎた。それと色々気を利かせてくれてありがとな。これからもよろしく頼むよ」

「う、うむ」

「あれ、もしかして照れてる?」

「この、からかうでない!」


そっぽ向かれてしまった。でもイヴは何だか嬉しそうだった。


「そういえばイヴに頼みがあるんだけど」

「何じゃ、言ってみよ」

「体術と剣術を教えて欲しい」


そう。俺は今まで我流で戦ってきたがそんなのはこれから先、通用するとは思えない。だから先ずは基礎的な戦闘手段を学びたいのだ。


「よかろう。妾は厳しいぞ。覚悟しておけ」

「ああ、是非とも頼むよ」

「じゃあ明日に備えて今日はさっさと飯食って寝よう」


食堂で夕食を取った後、部屋に戻りあることに気付く。ベッドは1つ。


「イヴ、俺は床で寝る」

「な、それは駄目じゃ!妾がっ…」

「いいからっ」


後ろからイヴの両肩を掴んで押してベッドに追いやった。


添い寝と言う選択肢もあるが薄着になったイヴを見てまずいと思った。確実に放ってはおけないだろう。


「明日布団と毛布を買うよ」

「せめて交代制にせぬか」

「駄目だ。女の子を床に寝かせたくない。さあ寝よう、おやすみ」

「お、女の子…」


照れてるイヴの顔が思い浮かび、俺は声を出さないように笑った。


朝になり起きるとイヴはまだ眠っていた。可愛い寝顔だ。


朝飯を買って来るか。


そっと部屋を出て宿の近くの売店でモーニングセット的な物を買って戻ろうとすると、目の前に薄着に裸足のイヴが居た。


周りの人達が不思議そうに見ている。


「妾を独り置いて行くでない!」


今にも泣きそうだった。そういえば封印を解いた時も同じ様なことを言っていたな…過去に何かあったのだろうか。


「ごめん、朝ご飯買ってた。これからはちゃんと起こす」


そう言って買った食べ物をイヴに持たせてお姫様抱っこすると、イヴは顔を真っ赤にした。


「じ、自分で歩くからよいっ」

「裸足だから駄目だ」

「むう」


イヴの赤い瞳が宝石の様に綺麗でつい見惚れてしまった。


「こ、こんな近くでまじまじと顔を見るでない!」

「分かった分かった」


部屋に戻って食事を済ませ、今日はしっかり装備をして宿を出た。


噴水広場に行くとハイエナ達と傭兵部隊が揃っていた。

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