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歩いていると遠くに灯りが見えたので取り敢えずそこを目指すことにしたものの、裸足で歩いているから足の裏が痛い。


これ…辿り着けるのか。


歩いていて気付いたけど今日は体調が頗る良い。眩暈も頭痛もしないし身体が軽く感じる。結構歩いている筈なのに疲れない。埋められていたから神経が麻痺しているのか?後になってどっと疲労やストレスが押し寄せて来る可能性もある…それは嫌だな。


ん、あれって何だ?もしかして村か?


おいおい確かに山ばっかりでとても近代的な街があるとは思ってなかったけど何だよあれは。本当に村だ。


古びた石造りの家が並んでいる。


お、人だ。やはり外国人か。髪色はオリーブグリーンで瞳はダークグレー。顔の作りは欧米とアジアの中間っぽいな。


てか暗い灰色の目って。カラコン…じゃないよな。宝石みたいな目だ。


相手が訝しげに俺を見ている。どうする言葉通じないだろうし何とか俺の拙い英語とジェスチャーでどうにかするしか…


「お、お前」


いや日本語喋れるのかよ…じゃなくて知り合いなのか。そんな風な言い方だ。


「ミウなのか」


ミウ?小学生の頃は名字がミウラだからミウなんて呼ばれたこともあったけど、初対面のおっさんに呼ばれたのは初めてだ。


「そうですけど、えーっと…どこかで会いしましたか」


そう訊ねるとオッサンは「おぉっ!おい、みんな集まれー!」とそれはもう耳を塞ぎたくなる程の大声で叫んだ。


ぞろぞろと村の人達が集まってきた。20人くらいか。


「おお!間違い無くミウだ!」

「ミウが甦ったぞ!」

「直ぐに村のものを全員集めるんだ!」


えっ…甦った?盛り上がってるところ悪いんだけど訳が分からない。俺が死んだから墓建てて埋めたんじゃないのか?死んだ筈の奴が這い出てきたら普通怖がるだろ、どうしてこんなに喜ばれてるんだ。


てかやっぱり俺は死んだのか…だとしても何でこんな山に囲まれた自然豊かな外国の村で土葬されたんだ。


というかどうして皆日本語喋れるんだ?


駄目だ全然分からない、どうにかなりそうだ。


「あのー」


近くに居るおばさんに声をかけた。


「ここは何と言う国ですか?」

「へ!?」


おばさんは凄く驚いている様子で続けた。


「ミウ、あんた記憶がっ…?」


いや違うぞ、記憶喪失ではない…多分。


そのおばさんは周りに居る村人にこの子記憶がないみたいよと言い広めている。


すると別のおばさんが「ミウ、あんた何も覚えてないのかい」と俺の両肩をガシッと掴みながら言った。


「ごめんなさい、覚えていません」


そう答えると「確かにミウがこんな丁寧に喋る訳がない」だの「そんな言葉遣い出来たのか」だの言われてムッとした。俺はいつも通りだぞ、敬語くらい使える。


そもそもあんた達は何者なんだ、そしてここはどこの国なんだ。俺はどうしてこんな所で土葬されたんだ。


あぁ〜もう分からないことだらけで面倒臭くなってきた。


早く家に帰って風呂に浸かりたい。

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