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次翼


「なにか思いついたようだね」

「ああ。俺が隙を作る、2人は追い打ちを頼む」

「了解した!」

「無理は禁物ですよっ」

「わかってる。俺から離れてろ!連射式玉っ!」


ボゴゴゴゴゴゴゴッ…!


「ヒヒヒィーンッ!」


放った『玉』を全てかき消したペガソスは俺目掛けて向かってきた。


俺は脚を開き構えを取り、両腕に身体強化魔法をかけた。凄まじい速力だが見えない程ではない、確実に捉える!


「物干し竿・えん!」


ズバァッッ!! 「ビヒィッ…!!」


「エンチャント・スターライトブレイドッ!」 ザァァンッ!!

舞転斬(ぶてんざん)っ!」 シュバァァァッ!!


「ブルルルッ…!」


おいおい、今ので仕留めるつもりだったのに…聖獣ってのはこれほど硬いものなのか?俺の普段よりも長い『物干し竿』で先手を取って勢いを殺し、2人の斬撃を浴びせたのにペガソスは再び上空へ飛び上がった。


それにしても今のメティの技、風を纏って回転しながら斬りつける…もしかしてペガソスから着想して作った技か?そんなことを考えながらメティを見ると俺の思考を読んだ様にメティはニコッと笑った。普通に可愛い…じゃなくて即席で完成度の高い剣術を繰り出すとは大した才能だ。


「ヴィヒヒーーンッ!」 バサァッ!!


ペガソスは翼に魔力を集中させて羽撃いた。まずいっ!


「寄れっ!大盾っ!」


ズガガガガガガッ…!!


ぐくっ…なんて風圧、しかも同時に大量の羽根を飛ばしてくるとは。こんな規模の嵐風魔法で飛ばした羽根、おそらく大弓以上の威力だ。


「ぐぐぐ…」 ミシミシ…。


腕の筋と骨にかなりの負担が掛かっているな。


「ぐう…」


なんとか防ぎきり『大盾』を解除すると俺の一声で素早く寄ってきていた2人が同時に言った。


「ミウ、助かりました」

「助かったよミウ」

「気にするな…」


「ブルルッ…ヒヒーンッ!!」


ペガソスは再び翼に魔力を集中させ、上空で力を溜めている。


「なっ!?」

「また今の攻撃ですかっ!」

「ミウ、大丈夫かい?」

「わるい、『大盾』で防ぎきれるのはあと一度だけだ。奴の攻撃が終わったら2人で攻めてくれ」

「わかりましたっ」

「必ず仕留めるよ!」


「ヴィヒィーンッ!!」 バサァッ!!


「大盾っ!」


先よりも強力な嵐風と羽根が上空から降り注ぎ、俺は歯を食いしばって耐え続けた。


ズガガガガガガァーーッ!!


「ぐくっ…!」 ピキ…ビギッ。


ぐっ、腕に激痛が。


風が弱まってきた瞬間、2人が前に出た。


「ゼリウス!」

「ああ!」


ゼリウスが盾を両手で持って跳躍台の様に構え、メティが盾に乗って身を屈めた。


「シールドタックル!」 バウンッ!


メティは物凄い速さで上空のペガソスに向かって飛んでいった。すごい、あれなら届くが高過ぎる…ならば俺が!


「狙撃連射式大杭っ!」 ドシュシュシュシュシュシュッ…!!


「ビヒィッ!?」


俺はペガソスの片翼の一点を狙って『大杭』を撃ちまくった。


「はあああ…シャイニングスラッシュ!」 バシュンッ!!


「ヒヒィーンッ!!」


いいぞゼリウス、ペガソスはバランスを崩して高度を下げた。


「はっっ!!」 ドシュシュッ!!


「ヒヒィーーンッ!!」


メティの双曲剣は防壁を貫きペガソスの胸に深く突き刺さった。嵐風魔法の防壁が解けた、この1発で決めるっ!


「高速回転式杭っ!」 ドシュッ!


俺の『杭』は見事ペガソスの頭部を貫いた。よし、やった…


「がっ…!?」


それと同時に背後から胸を刺され、更に背中を斬られ俺はうつ伏せに倒れた。


ドシャッ。


「ミウ!」


「聖獣を殺めるとは、死ねい大罪人め!」


ドスッ。


「ごあっ!?」


止めをさそうと剣を振り上げたオレヴィの首を潜伏していたティオの曲剣が貫いた。


「ごっ、ごの魔者めっ!」


オレヴィは首を抑えながら後退りした。お互いに不意討ちは成功したようだな。


「ミウ、すぐに治す」

「私も手伝います!」

「頼む」

「魔術はそのまま、僕が魔力回復薬を飲ませるよ!」

「ありがとうございます」

「ありがとゼリウス」


2人による治癒魔法であっという間に傷は塞がったが魔力消費は凄まじいはず…回復薬を飲んだとは言え恐らく余裕はそんなに無い。まあ相手もあの傷だ、勝負はついただろう。


ティオには前もって仲間のうちの誰かが命の危機に瀕した場合のみ不意討ちする様に言っておいた。一度しか使えないからティオの『遮る部屋』からの一撃は貴重だ。


「う…がふっ」 ゴクッ、ゴクッ。


なんだ?オレヴィは素早く小瓶を取り出し何かの液体を飲み切った。


「メラン・フィラーキシ!」


ティオが放ったのは拘束する闇魔法、しかしオレヴィに触れた瞬間霧散してしまった。


ズズズズズズッ…!


「これはっ!?」

「一度下がるぞ!」

「はいっ」

「うん!」


ズオオオオオオオッ…!!


「なんて魔力だ!」

「あの口にしたものは一体…?」

「どう見ても回復薬ではないな」

「うん」


「ぬぅ…まさか『神聖樹の雫』を飲むことになるとは。ダークエルフ、目も覆いたくなる程の邪なる者め…この俺に穢れた刃を突き立てるとは到底許し難い。死をもって償え!さあ来るのだ次なる聖獣よ!」


叫んだオレヴィは掌を空に伸ばした。


「まさかまた召喚をっ!?」

「阻止するぞ!」

「わかった!」

「うん!」


「ホワイトフレアー!」 ゴォォォゥッ!


「くっ」

「ちぃ!」


こいつの魔法、先刻より強力だ、範囲も広く熱量も高い…これじゃあ近づけない。


「僕が切り開く!エンチャント・スターライトブレイド!」


バシュッッ!!


「回転式大杭っ!」

「アネモス・ドゥレパーニ!」

「スコタディ・スティレート!」


ゼリウスが聖炎を薙ぎ払い、俺達3人は一斉に魔法攻撃を仕掛けた。


バチンッ。


「なっ!?」

「魔法がっ…!」

「これはネームレスドラゴンの…?」

「魔法じゃない…おそらく魔導具」


放った魔法はかき消され、先よりも多くの兵士が倒れて先よりも大きな魔法陣に霊気の塊が吸い込まれていった。


ゴゴゴゴゴゴォ……!!


そして地響きとともに魔法陣から現れのは聖炎を纏った白銀色の大鳥の様な聖獣だった。

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