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姉妹


さあクエストだ。一昨日と同じ道を行き、調査した洞窟を通り過ぎて更に森の奥へ。


沢山の木が切り倒されてる場所を見付けた。あちこちに血痕や亡骸も。


「おーい!出てこーい!」と大声で叫ぶと、何か巨大な物が接近して来た。


出たな、そいつはまさにカマキリを巨大化させて凶悪な見た目にした感じだ。洞窟の大グモと同様、甲殻類の様な体表、見るからに硬そうだ。まあ俺の『杭』を当てれば直ぐ終わるだろう。


だが今日は新技を試すと決めている。とは言え先ずはあいつの懐に辿り着けるかどうかだな。


「ギシャアアッ!」 ブゥンッ!!


「くっ」


速い!振られた鎌をかわしきれず右肩をかすめて血が出た。部分防御の練習相手にはこの攻撃は速過ぎるな。


休む間も無く鎌を降り下ろしてきたので右腕に『鎧』を創造し防御した。


バキッ! 「ぐっ」


相手の鎌を折ったが衝撃で俺の腕にも激痛が。もしかして骨までいったか。


カマキリが怯んだ隙に体の下に潜り込み左掌を掲げた。


暇さえあれば練習していたこの大技を試す時がきた!


『粒』を大量に創造して圧縮し『玉』で包み、留める。そして相手に接近し『玉』を思い切り破裂させ前方に『粒』を全て同時に撃ち込む。食らった相手は粉々に砕け散るだろうその名も…


「ショットガン!」 バァンッッ!!


物凄い音と共にカマキリは粉々に吹き飛んだ。大量の血が降ってきて身体がビショビショになった。


ああ…買ったばかりの軽装鎧とインナーが。ある程度の予想はしていたものの、ここまでの威力とは。鎧を創造して纏おうかと思ったが間に合わなかった。


この技は絶大な破壊力を誇るが集中して時間をかけて創造しなければいけない上に魔力消費も激しい。独りではまず戦いの最中には創れない。今回もカマキリに遭遇する前に準備を始めていたからな。威力は絶大だが使い勝手は悪い。発動時間を少しでも短縮出来る様に練習しないとな。


それにしても右腕が痛くて上がらない。俺はその場に座り込んで治癒魔法をかけた。


先日購入した魔導書は全て使用して代表的な一般魔法は殆ど使える様になっている。


切り傷を塞ぎ右腕も動かせる程度まで治して討伐証明の鎌を回収して帰路に着いた。


帰り道、またもや虫型の魔物が大量に出現したので始末しながら帰った。やはり魔物の血で集まるのか。


フラフラの状態でギルドに行って報酬を受け取った。ついでに手頃なCランククエストを受注すると、見兼ねたギルドカウンターのお姉さんが回復魔法をかけてくれた。


おお!幾分か疲労が消えた。


礼を言ってギルドを出て思った、ソロでハードマンティス討伐したと聞いて冒険者達が驚き騒いでいたが、やはりパーティーで挑戦するレベルだったのか。


仲間か…ヒーラーとか居たら助かるけど、相手に狙われたら守らないといけない。戦闘力の高いヒーラーなんて居ないだろうからな。同じアタッカーだと立ち回りを考えなきゃいけなくなるし…そもそも俺に着いてきて来てくれる人が見付かるかも分からない。


宿に着き階段を上がると部屋の前にルムリスが居た。


「あれ、今日は早いね」

「お帰りなさい、って何ですか!この前より血だらけじゃないですか!」

「はは、直ぐに体洗って来るから部屋に入ってて」


さっぱりして部屋に入るとルムリスは少し神妙な面持ちだった。


「何かあったの」

「それが…レリスがミウさんとのことに感付いたみたいで怒ってしまって、昨日から避けられているんです。口も利いてくれなくて」

「そっか…ごめんね俺のせいで。レリスちゃんに俺の部屋に来る様に伝えてもらえるかな。俺から話してみるよ」

「分かりました。頼ってしまってごめんなさい」

「気にしないで。因みに俺がレリスちゃんを抱くって言ったら姉としては見過ごせない?」

「レリスはとても大事な妹ですけど、お相手がミウさんなら安心なので見過ごせます。ただ…」


俺に抱き付きながらルムリスは続けた。


「見過ごす代わりに今、私を抱いて頂けますか」

「喜んで」


ギルドで回復魔法かけて貰っておいて良かった、受付のお姉さんに感謝しないと。


それにしてもルムリスは何か前より素直になったな。暫くベッドで寝た後、ルムリスは帰って行った。


日が落ち始めた頃、部屋の戸が叩かれた。


「レリスです。お姉ちゃんに言われて来ました」

「今晩は。急にごめんね、俺が無理に頼んだんだ」


部屋に入ったレリスは唇を噛んで暫く黙ってから、火が着いた様に言葉を浴びせてきた。


「ミウさんはあたしよりお姉ちゃんが好きなんですか。あたしには魅力が無いからですか。あたしなんか子供っぽくて女として見れませんかっ」


レリスはそう言って再び唇を噛んで両手を握って震わせた。


「俺はルムリスちゃんが好きだ」


それを聞いた瞬間レリスは涙目になって俯いた。


「レリスちゃんのことも同じくらい好きだし、噴水広場で見付けた時から今も変わらず大人の女性として見てるよ」


「えっ」


驚くレリスを優しく抱き寄せてから頭を撫でた。


「ミウさん大好きっ」


な、なんて可愛いんだ。


お姫様抱っこしてベッドに寝かせるとレリスは急に顔を赤くして大人しくなった。緊張と羞恥が伝わる。


「痛かったり恐くなったら言って」

「…うん」


ゆっくりキスをするとレリスは蕩けた様な表情になった。


それから優しく包み込む様に抱いた。


行為の後、気持ち良さそうに寝ているレリスを見て姉妹そっくりだなと思わず笑ってしまった。

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