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魅力


「2人ともどうしたの」

「あ、ミウさんお帰りなさい!」

「手土産持って遊びに来ました」


昨日あれだけ一緒に過ごしたのにまさか翌日に遊びに来るとは。


「ごめんねこんな所で待たせて。しかもこんな汚ない格好で」

「いえっ、私達が勝手に来て勝手に待っていただけなのでミウさんが謝る必要はありません!」

「そうそう。あたし達は全っ然平気!それよりミウさん大丈夫?それ魔物の血だよね。怪我とかしてない?」

「大丈夫だよ、心配してくれてありがとう。俺も2人にお土産があるんだ。この薬草、薬の調合に使えそうかな」


俺は背負い袋を開けて中を見せた。


「わあ、こんなに沢山!全部使えますよ!ありがとうございます、両親も大喜びします。ちゃんと買い取るので時間があったらお店に来て下さい」

「ついでに拾っただけだからお代は結構だよ」

「えっ、駄目ですよ。無料で頂くなんて出来ません」


ルムリスは本当に真面目でしっかりしてるな。


「いいからいいから。じゃあ体を洗って着替えて来るから2人はくつろいでて」


そう言って鍵を開けて2人を部屋に入れ、俺は宿の浴場に向かった。


うーん、洗っても汚れがなかなか取れない…漂白剤とかあればな…まあ仕方ない、この服は捨てるか。明日は防具店に行こう。あとギルドに行って新しいクエストを受けないと。


部屋に戻り2人を連れて宿の食堂で夕食を済ませ、部屋で2人が持って来てくれたスイーツを食べながら今回のクエストの話を聞かせた。


「凄い!返り血まみれになるくらい魔物を倒したんですね」

「あはは、予想外の数だったよ」

「ミウさんってやっぱり強いんだねっ」

「一応、Bランク冒険者だからね」


まずい、眠くなってきた。今日は流石に疲労困憊だ。


ルムリスがいち早く察した様で嫌がるレリスを説得して帰って行った。


気を遣わせちゃったな…顔に疲れが出てたのか。


俺はベッドに倒れこみ、間も無く眠りに就いた。


コンコン。


誰かがドアをノックする音で目が覚めた。


外はすっかり暗くなっている…ぐっすり寝てしまった様だ。


ドアを開けるとルムリスが顔を俯かせてが立っていた。


「あれ、何か忘れ物?あのあと直ぐに寝ちゃって…」


言葉を遮って懐に入られた。


「ミウさん、私…」


なっ、これはもしかして。


「取り敢えず中に入って話そうか」


「はい…」


ルムリスはベッドに、俺は椅子を移動させて座り向かい合った。


ルムリスは暫く黙っていたが決心した様子で口を開いた。


「昔から獣人は他種族に性行為を嫌がられるんです。特に…人間に。こんな見た目だから。でも私、ミウさんに抱いてもらいたいなって思って…初めてはミウさんみたいな人が良いなって思って。急にこんなこと言って迷惑…ですよね」


ルムリスは膝に置いた両手を握りしめて今にも泣きそうだった。彼女は勇気を振り絞って言い、きっと拒まれないか不安でしかたないのだろう。


「ルムリスちゃん」


呼ばれて彼女は顔を上げた。


俺はそっと頬に手の平を当て、笑い掛けた。


「嬉しいよ」


こういう時、余計な言葉は不要だ、行動で示す。


俺は椅子から腰を上げ、優しく口付けした。


ルムリスの顔は真っ赤に染まった。


それからゆっくりベッドに寝かせ、割れ物を扱う様に時間を掛けて抱いた。


俺は思った。獣人族だから抱かない?俺からすればこの世界の価値観はどうかしてる、本当に愚かだ。普通に可愛いし、人間の身体と大差なくこんなにも美しいのに。加えて猫耳に尻尾とか最高じゃないか。


行為を終えた後、ルムリスの寝顔はどこか清々しさを含んで見えた。気持ち良さそうに寝ている。


夜が明け、ルムリスは飛び起きて慌てて帰って行った。


何でも家族に見付からない様に家を抜け出して来たとか。大丈夫だろうか。


朝食を済ませてから昨晩ルムリスに教えてもらった防具店に向かった。


新しい軽装鎧とインナーと普段着を購入して次はギルドでBランクのクエストを受注。


昨日行った森の奥にハードマンティスと言う大型の魔物が出現し、薬師や冒険者に被害が出てるそうだ。


1度行った森だし1体討伐で80ケルン。実に美味しいクエストだ。


その夜、ルムリスがまた訪ねて来たので色々と質問させてもらった。


俺は今のところ真剣交際とか結婚とかするつもりはない。まだまだこの世界を見て回りたい…だからと言って弄んで捨てる様な真似はしたくない。


自分勝手で我が儘だが例えセフレの様な関係でも相手のことを大事にしたい。


ルムリスが言うには冒険者との肉体関係事情は親に教わっているので理解した上で求めたそうだ。


とは言え欲望のまま誰でも良い訳ではなく、もしも子供が出来ても喜んで産んでも良いと思える相手としか性行為はしないものらしい。まあ考え方は人によるだろうけど。それでも俺は凄く嬉しかった。


それを聞き、つい興奮して昨日よりほんの少しだけ乱暴に抱いてしまった。そのままルムリスと抱き合いながら一緒に眠りに就いた。


朝になりルムリスは帰って行った。


もしかして毎晩来る感じなのか?俺は全然構わないが家族は大丈夫なのだろうか…見付かるのは時間の問題な気がするが。

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