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再会


「ミウさーん!」

「ようディオン、元気にしてたか」

「はいっ!」

「立ち話もなんなのでどうぞ入って下さい」


ディオンと一緒に来たアティンに促されて俺達は3軒のうちの1つに入った。見た感じこの家が一番よくできている。


「この家であたし達『英傑の血』は暮らしてます」

「そうなのか」

「もちろん自分たちで建てたんですよ」

「へぇ、すごいね〜」

「うん、すごい…」


感心しながら家に入ると室内には必要最低限の手作りの家具が置かれていた。


「メトゥーとクリストスは?」

「買い出しに行ってます」

「それよりミウさんっ!」

「わかってる、今から説明する」


俺はキリルも呼んで『イオニスの町』と『マリアネ連峰』であったことを全て伝えた。


「そ、そんなドラゴンが存在するんですか…?」

「人型に姿を変えるなんて…信じられません」

「竜人っていう単語も気になりますね」


ネームレスドラゴンと戦った直後に聞いたがメティもゼリウスもティオもその存在は知らないと言っていた。こちらの大陸でも知られてないなんて…鬼人族よりも珍しいってことか…?そもそもあいつが言っていた『竜人』とは既に絶えた過去のものかもしれない。


「それにしてもロブドラゴンの素材をくれるなんて…さすがボス、一生ついて行きます!」

「…それは大げさだ」

「あはは、なんかどんどん『ミゥーズ傭兵団』に似てきたね〜」

「そうだな」


その後、キリルとディオンにクラン設立を頼まれたがきっぱりと断った。俺は別に手下が欲しいとか組織を立ち上げたくてキリル達の面倒を見ていた訳ではない…ディオン達も同様に。それに行動を共にする訳でもなく半ば別々に生きていくのにクランを設立するなんて無責任な気がせる。


「キリルが設立すればいいだろ、どうせ組み分けしてあるんだし」

「そうですけど…俺達はボスの下につきたかったんです」

「そうか…悪いな」

「じゃあせめてクラン名にミウくんの名前入れたら?」

「いや、なんで…」

「名案ですっ!さすが姉さん」

「じゃあ僕ら『英傑の血』はそのクランに加入させてもらうよっ」

「ああ、そうしてくれ」

「ちょっと待てお前ら、勝手に話を進め…」

「まあまあ、この子らを冒険者にしたのはミウくんなんだからさ〜」

「確かにミミルくんの言う通りだね」

「そうですよ、彼らの恩を受け取ってあげて下さい」

「ティオもそう思う」

「はぁ、わかったよ」

「よぉし、早速全員集めてクラン名を考えるぞ!」

「僕らもクリストス達に話しておかないと」

「そうね」

「あ、そういえばボス」

「ん?」

「最近レムイノでボスとミミル姉さんを探している連中がいるんですよ」

「なにっ」

「ああ、その方々なら僕たちもこの前ギルドで目にしました」

「ウチとミウくん…ってもしかして」

「ディオン、その人たちの特徴を教えてくれ」

「はい、ええっと確か…」


ーーーーーーーーーー


「なんだぁ、お前らも居るってことは間違いじゃなさそうだな」

「カシアン、あんたも来たの」

「当たり前だろ、何年ぶりだ?」

「少なくとも80年は経っている。なかなかにやる人間やエルフや魔族はいるが、竜を短期間で5体討伐というのは久方ぶりだな」

「へぇ、お前もそんな顔するんだなセザリナ」

「フン、私はあくまで『竜人族』としての責務を全うするだけだ」

「はっ、ご立派なことで。おいリジア、ルイザはどうした」

「姉様は寝てたから置いてきたよ」

「それは…あんまりだ…」

「なんだよエヌス、いつ来たんだ」

「…」

「彼は一番乗りだ」

「相変わらず存在感ねぇな。他の2人は?」

「さあな、私は知らん」

「ねぇねぇ、それより『竜命玉』見ようよ」

「私とエヌスはもう見た」

「なーんだつまんない」

「で、本当だった訳だ」

「当然だ。あの宝具に嘘偽りは映らない」

「5体のうちの1番強えのはなんだった?」

「おそらく『名無し』だ」

「へぇ、あの半端者をやったのか。確かに期待はできそうだが…まさかまた『国』じゃねぇよな」

「違う。個人若しくは少数だ」

「えぇ~、個人とか少数で名無しクンは無理でしょ」

「自分も…そう思う…」

「可能性は0ではない、少数とは言え相手が精鋭揃いなら有り得る話だ」

「あ〜、Sランクだっけ?」

「そうだな、またあいつくらい強え奴とやり合えると思うと楽しみだぜ」

「奴のことを言っているのか…あれ程の手練はごく稀だと思うぞ」

「まぁな、どのみち俺がやる。文句はねぇよな」

「姉様は任せるって言うと思うけどアタシは見てみたいな〜」

「自分も…」

「私も動く。人任せは性に合わない」

「ちっ、じゃあ早い者勝ちだな」

「いいね〜。因みにあの2人に情報提供はなしにしようよ」

「はっ、それは賛成だ」

「私はどちらでも構わない」

「…自分も」

「決まりだな。待ってろよ罪人ども」


ーーーーーーーーーー


「ねぇミウくん、特徴からして…」

「ああ、間違いない。先ずは冒険者ギルドに行くぞ」

「りょーかい」


ディオンに特徴を聞いた俺とミミルは足早にギルドへ向かった。ギルド内に入り目当ての人物が見えなかったので食堂に行くと、奥の4人掛けに懐かしい顔を見つけた。


念の為名前は呼ばずに近付くと手前に座っていた女性が立ち塞がった。


「おにーさん、何者?」

「…」


鋭い眼光だ…この子、かなりできるな。


「あ!ミウさん!」

「よう、エウルにアギレ」


髪型や装備が違うせいで2人とも随分と雰囲気が変わって見える。まさかこの2人がこちらの大陸に来ていたとは本当に驚いた。


「えっ、もしかしてこのおにーさん達が…?」

「ああ、そうだ」


アギレは立ち上がって握手を求めてきた。


力強く握るとアギレは大きくため息を吐いた。


「まったく、随分と探したぞミウさん」

「お前ら、いつからこの大陸に?」

「まあ座ってくれ」


聞くところによるとアギレ達はイヴ、セルビナ、アニラに頼まれて来たらしい。


ガールズはどうしても俺とミミルの安否を確認したかったそうで、人間だけで構成しているアギレのパーティーが適任だったという訳だ。


時期からして俺達が初めてレムイノに来た時くらいに上陸した様だ。そして俺とミミル同様『テッサの町』で冒険者となって生計を立てていたらしい。


俺達は何だかんだ行く先々で目立っていたので直ぐに後を追うことができたらしい。ただ…


「こっちの大陸はとにかく広くて参ったぜ」

「そうね、移動にかかる時間が比べものにならないわ」

「ほんとだよ〜」

「そうであるな」

「まあなにはともあれこうしてミウさん達に会うことができてよかったです」

「苦労をかけたな」

「気にするなよミウさん」

「ここは俺が払うから好きな物を頼んでくれ」

「やったー!」

「ウムッ!」

「そりゃあ嬉しいな」

「ミウさん、私達はすぐに戻ってイヴさん達に報告します。今までのこと、全て話してもらえますか」

「わかった」


俺は上陸してから今までの事象をたっぷり時間をかけてアギレ達に話した。

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