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激戦②


「ここで確実に仕留めるぞ!」

「ああっ!」

「りょーかい!」

「はいっ!」

「うん!」


俺達は散ってからドラゴンを囲む様に移動した。


「マヴロス・モケータ」

「回転式大杭っ!」

「アネモス・ドゥレパーニ!」

「エンチャント・ライトニングウェポン!」

「いくぞっ!」


相手は飛竜、ティオの闇魔法で空に上がるはず、そこを俺とメティの遠距離魔法攻撃と雷の属性付与したミミルとゼリウスの近接魔法攻撃で叩く。もし感電して動きが鈍くなったらそこから更に畳み掛ける戦法だ。


バチンッ!!


「なっ!?」

「えっ!?」


馬鹿な、俺達全員の魔法が全て消えた。


「う、うおおっ!」 ガキィンッ!

「やあっ!」 ガガガッ!


「ガァッ!」


ドガガッ! 「うっ」「ぐおっ」


付与魔法は消えたがそのまま近接攻撃したミミルとゼリウスは翼で叩き落とされた。2人の攻撃は通らないか…さすがドラゴン、かなりの硬さだな。


いや、そんなことよりあいつはさっき何をしたんだ?


「ククク、解せんのだろう。何故自分達の魔法が消失したのか」


ビュンッ! キキィーンッ!


メティの矢も通らないか…しかも今の一射、メティは風の属性魔法を纏わせて威力を上げていた。だがネームレスドラゴンの身体に矢が触れた時には通常の威力になっていた…やはり魔法が消されている。


「連射式玉っ!」 ドドドッ!


バチンッ。


全弾消滅、だが…ティオに目をやると何かに気付いた様子で俺を見た。さすがだティオ。


「グオォーーッ!」


ゴォォォ〜ッ!!


その時、ドラゴンが物凄い規模の炎を吐いた。


「大盾っ!」


「やあああーっ!」 ギィィンッ!


「はああっ!」 ガァンッ!


俺がブレスに耐えてる隙にミミルとゼリウスが頭上から攻撃を加えると、ドラゴンはブレスを止め2人を煩わしそうに迎撃した。刃は通らなくても衝撃は身体に喰い込む。


「アネモス・ヴェロスッ!」 バシュシュシュッ!


バチンッ。


「…」

「メティちゃん?」

「ミミル、ゼリウス、3人で足止めをしますよ!」

「わかった」

「りょーかい」


あの様子、メティも何かに気付いたのか。


すると丁度ティオが俺の側にやって来て言った。


「ミウ、あれは魔術」

「そうなのか?」

「うん、ティオ達の魔法が消える直前にドラゴンから魔力を感じた。おそらく魔法を無効化し消滅させる結界を身体の周りに張っている。あと結界を出している時は筋力と速力が落ちてる気がする」

「なるほどな。結界魔法ってことは魔力を消費してるってことだよな」

「うん、でも魔力切れは期待できない。あの膨大な魔力量、ミウもわかってるはず」

「…そうだな」

「ミウ、なにか思いついたの?」

「まあな。ティオ…」


俺が作戦を伝えるとティオはあからさまに不安げな顔をした。


「そんな顔するな」

「でも…ううん、ミウを信じる」

「よし、メティに伝えてくれ。回復薬も頼む」

「わかった」


「ゼリウス!」


ゼリウスは直ぐに察して距離を取った。


「スパークフラッシュッ!」 ガチンッ!


「ヌゥッ…!」


閃光をまともにくらったネームレスドラゴンは暫く目が見えないはずだ。その僅かな間に俺はゼリウスに作戦を伝えた。


「まったく、責任重大だね」

「頼んだぞ」

「ああっ」


「おのれ小癪な、焼け死ね人間ども!」


ゴォォォォ〜ッ!!


「くっ!」

「熱っ…!」

「うおっ!」


各々がなんとかブレスの範囲外に跳んだ。


「ミウ、回収してきた」

「よし、やるぞ。連射式杭っ!」


ドヒュヒュヒュヒュヒュヒュ…!


バチンッ。


「フハハッ!気紛れで泳がせてみればなんのつもり…」

「シールドタックル!」


ガァンッ! 「ぬっ…グオォ!」


ガキィンッ! 「くうっ」


「ミミルくん!」

「私とミミルで受けます、ゼリウスは攻撃を!」

「わかった!」


「連射式杭っ!」


ドヒュヒュヒュヒュヒュヒュ…!


バチンッ。


「まさか貴様らっ!グゥオオオオ〜ッ!」


「シールドタックル!」 ガァァァンッ!


「ヌグッ…!」


「ブレスを止めた。それにゼリウスの攻撃、確実に効いてる…凄い」

「ティオ、そろそろ頼む」

「うん」


ティオの手から魔力が注がれる。


そう、これはいわば持久戦だ。俺が『杭』を撃ち続け常に結界魔法を使わせて魔力を減らす、更に奴は結界魔法発動中は素早く動けないのでその間に物理攻撃で一番火力の高いゼリウスに攻めさせる。硬い竜鱗を持つドラゴン相手には斬撃より盾による打撃の方が効果的だからな。反撃はメティとミミルが捌く。俺はティオの分与魔法で魔力を補充してもらい絶えず『杭』を放つ。


ティオには全員分の魔力回復薬を持たせてあるからまだまだいけるぞ、さあ魔力が尽きるまで我慢比べだドラゴン。


「うおおお!」 ガァァンッ!


「グゥッ…!」


おお、良い一撃が入ったのだと奴の苦悶の表情が物語る。


「ぬぅぅ、グゥオオオオッッ!!」


ボォォォォォーーッ!!


「なっ!」


ネームレスドラゴンは激しい炎のブレスを見境無く周囲に吐いた。冷静さを欠いたな、やれゼリウス!


「シールド…」


ガァンッッ! 「がっ…!」


ゼリウスは尻尾による攻撃で地面に叩き付けられた。


まさかこいつ、わざとやけになったふりをして誘ったのか。


「勇者くん!」

「ゼリウス!」


「グハハハハッ!下等種族が調子に乗りおって。そいつはもはや動けまい」


その時、メティが丸い物体をドラゴンの顔に向けて投げた。


ボフッ!


「煙幕か。無駄だ、どこから狙おうと魔法抜きでは我の竜鱗に弾かれるだけだ」


「やあああーーッ!」 ガキィーーンッ!


ミミルが頭上からドラゴンの右肩に槍を突き立てた。


「フハハッ!痒いぞ小娘…」

「シールドフォールタックル!」


グシャアァッ!! 「グアアアッ!」


ミミルが突き立てた槍をゼリウスが落下しながら盾で打ち込み、槍はドラゴンの右肩に突き刺さった。まるで金槌で釘を打ち込む様な攻撃だ、重力も利用している…あの高度はおそらくメティが風魔法でゼリウスを飛ばしたのか。なるほどその為の煙幕か。


ネームレスドラゴンは面食らった様子で顔を顰めている、結構な深手だ。


大した連携だ、凄いぞみんな。

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