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洞窟


「ここがギルドだよっ」


おお!これまたなんて立派な建物なんだ。ロークスの町のギルドより大きくて広い。


「2人共、お腹は空いてる?もしよかったら案内の報酬としてご馳走させてもらえないかな」

「ええっ!?お気持ちは嬉しいですが迷惑をかけた上に食事まで頂けません」

「そうだよミウさん、報酬なんて要らないよっ」

「そう…2人と一緒に食事できたら嬉しかったけど、仕方ないから独りで寂しく食べようかな」


わざとらしく落ち込んだふりをすると2人は顔を見合わせてから笑った。作戦は成功し、3人で楽しく喋りながらギルド飯を食べた。


2人は俺の用事が済むまで待ってると言うので急ぎ足でクエスト掲示板を見に行った。


成る程、Bランククエストがこんなに有るのか。それに少ないがAランククエストも。


うーん、取り敢えずBランククエストを幾つかこなしてケルン稼ぎとランクアップを目指すか。Aランク以上の冒険者になると色々と待遇も良くなるらしいし。でもAランクに昇格する条件って何なんだろ。結局分からないままだったな。


ふむふむ、王都近くの洞窟内の調査か。ダンジョンとは違うただの洞窟の様だ。探検っぽくて好奇心が擽られる。これにしよう。


ギルドカウンターでクエスト受注申請をして証明書を受け取り小走りで2人の居るテーブルに戻った。


「お待たせ」

「もう終わったんですか?」

「うん。俺は宿に戻るけど、家まで送ろうか」

「え~、もう少し一緒に居たい」

「こら、ミウさんは疲れてるんだから我儘言わないの。レリスはもう17歳なんだからね」

「あはは、俺からしたらまだ17歳だよ。じゃあ何か甘い物でも買って俺の部屋で食べる?」

「食べる!」

「もう、ミウさんこれ以上甘やかさないで下さい」

「お姉ちゃんは先に帰ったら」

「わ、私も行くに決まってるじゃない」


うん、実に和む会話だ。本当にこの2人には感謝しないとな。


「じゃあお勧めのスイーツが売ってる所に案内して貰えるかい、可愛いガイドさん達」

「任せてミウさん!」

「お任せ下さい」


良かった、2人の表情は明るい。二度と恐い思いなんてしてほしくないな。


宿の近くでスイーツを買ってから俺の部屋に2人を招いた。


「わぁ!良い部屋だねっ」

「2人のお陰だよ。改めて感謝するよ」


それから3人で沢山喋り、気付くと外が薄暗くなっていた。そろそろお開きにしよう、あんな事もあったし夜道とか歩いてほしくない。


「2人ともそろそろ家に帰ろうか」

「そうですね。すっかり長居してしまいました」

「え~、もう少しだけ」

「あはは、長期滞在するつもりだからまたガイドをお願いするかもしれないし、いつでも部屋に遊びに来て良いから」


そう言うと2人は目を輝かせて元気に返事をした。


途中まで送って別れ、教えてもらった魔導書店に寄って一般魔法の書を買い占めてから部屋に戻ってベッドに倒れた。


疲れた…あの最悪のイベントがなければ最高の初日だったな。まだ早いが身体を洗ってもう寝よう。


翌朝、装備の確認をしてから王都の門を出た。


街道から外れ森に入る。襲って来るような魔物には遭遇せず、ルムリス達のために調合に使えそうな薬草を集めながら進んだ。


薬草の見分け方はポマリス村で学んだから容易い。森の開けた場所に目的の洞窟があった。


調査内容は出現した魔物の種類、洞窟の規模、取れる素材を記録して提出するだけ。蝙蝠や蛇や蜥蜴の魔物を『粒』で始末し、討伐証明の部位を回収しながら進む。


どうやら思っていた以上に深い。ワクワクしてきた。昔から方角には強い方だから迷う心配はない。暫く進むと恐らく最深部であろう場所に到達した。空気がひんやりとしている。


ダンジョンじゃないからボス的なものは出現しないと考えていたが、少し開けた空間の天井から馬鹿でかい蜘蛛の魔物が落りてきた。


甲殻類の様な体表をしていて口元には鋭く長い牙。瘴気の様なものが見える。恐らく毒だろう。近接は避けた方が良いな。


「ギシャー!!」


「杭っ!」


今にも襲いかからんばかりの迫力なので先手必勝。


あらかじめ両手に創造しておいた『杭』を2本同時発射。


蜘蛛は糸の塊を吐いてきたが俺の『杭』は易々とそれを貫通し蜘蛛の頭部を貫いた。


念のため頭上から短剣を頭に突き立てた。


ブシャァァ!


うわ、蜘蛛の返り血で服が汚れた。顔にもちょっと掛かったし早く帰って洗いたい。


調査クエストだったけど魔物を片っ端から殺して歩いたからこの洞窟はもはや安全だ。取れる素材も沢山取ったし。まあこんなものだろう、撤収しよう。


外に出て森を歩いていると虫型の魔物が沢山襲ってきた。全身に鎧を創造して短剣で駆除しまくってやった。行きはこんな魔物居なかったのに、もしかしてこの返り血のせいか?まあ良いんだけど。


森を抜けるとまたゴブリン達が居たので全員始末しておいた。


「やっぱり」


この短剣の刀身、前より赤くなっている。もしかして血を吸うと威力が増すとか?あんまり気にしてなかったから次使う時は意識してみるか。


門番の騎士に冒険者カードを提示して通してもらい、ギルドに向かった。


洞窟内と序でに森や街道に居た魔物の討伐証明、手に入る素材を沢山持ち帰ったので追加報酬が結構貰えた。占めて80ケルン。


足取り軽く宿に戻り階段を上がると、俺の部屋の前でルムリスとレリスがしゃがみ込んでいたので駆け寄った。

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