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猫耳


2人は山猫の獣人で名前はルムリスとレリス、姉妹だそうだ。


姉のルムリスが19歳で妹のレリスが17歳。もう1人22歳の兄が居るらしいが20歳の時に冒険者になり家を出ていったそうだ。


2人は生まれも育ちも王都アルディアなので市街地には詳しいようだ。2人の実家は市街地に在る薬屋で回復薬や強化薬、各種色んな薬を扱っているらしい。薬はこの先必ず必要になってくるから今度買いに行こう。


「ミウさんは冒険者なの?」

「うん、Bランク冒険者だよ」

「凄いっ!Bランクなんだ!じゃあギルドの場所も教えてあげるね」

「ありがとう、助かるよ」


「この宿がお勧めです。部屋から都市が一望できるし料理も美味しいし、それでいて他の宿より宿泊料金が安いんです」


おお、レンガ造りでとてもしっかりした建物だ。内装もちゃんと手入れされてて綺麗だ。


「10日以上の滞在ですと割引条件が適応されて1泊10ケルンです」


うーん、流石王都の宿。まあお金には余裕があるから問題無い。今日休んで明日はクエストに行くつもりだしな。取り敢えず10泊分の料金を支払い、部屋の鍵を受け取り荷物を置いて直ぐに出た。


「お待たせ」


外で待たせていた2人は串焼き肉を買って食べていた。


「お部屋どうだった?」


モグモグしながらレリスが言うと「レリス、お行儀悪いよ」と口元を隠しながらルムリスが睨んだ。

「はーい、ごめんなさい」

「2人の家は躾が厳しいの?」

「うん、厳しい方かも。昔よりは減ったみたいだけど、今でも獣人族は野蛮な獣だって偏見持ってる人が結構居るからさ」


偏見か…嫌いな言葉だな。


「きゃあ」

「いてっ」


大柄の男がレリスにぶつかった。


「おい!服に串肉のタレが着いたじゃねえかこの獣が!」


「申し訳ありません!」


ルムリスが直ぐに駆け寄って頭を下げ、レリスにも促す。


「…ごめんなさい」


こいつは冒険者か傭兵か。腰に曲剣を差し背中には大槌を背負っている。


「詫びなんて要らねぇんだよ!服を弁償しろ獣ども」


「そんな…」


2人ともすっかり怯えている。


「おいくらでしょうか」


「何だてめえは。こいつらの飼い主か」


ジロジロと俺を見てからニヤリと笑った。


「そうだな、この服の素材は特殊だから50ケルン貰おうか」


こいつ、服の値段今決めたろ。2人も居るし騒ぎとか起こしたくないけど…振り向くと2人は縮こまって今にも泣きそうだった。


「この様な下郎、殺せばよいではないか」


「!?」


誰だ?俺が周りを見ていると、「おい!どこ見てやがる。さっさと金を出せ!」と胸ぐらを掴まれた。


「ああ、どうぞ受け取って下さい」


「へっ。腰の短剣は飾りかよ、情けねえ飼い主め。ちゃんとそいつら躾ておけよ」


そう言って男は去って行った。


「ミウさん!」


2人が声を揃えて寄って来た。


「ごめんね、格好悪くて」

「そんなことないです!それよりお金はちゃんと返しますので」

「いいよいいよ。俺が2人に案内を頼まなければこんなことにはならなかったでしょ」

「でもっ」


2人は下を向いて鼻を啜っている。俺は2人の頭を優しく撫でた。するとレリスが抱き着いてきた。


「ミウさんごめんなさい。あたしがもっと気を付けてれば」

「謝る必要ないよ、恐かったね」


頭をポンポンしてあげるとレリスは身を寄せて顔を胸に当てた。


「こら、そんなにくっつかないの!」

「あはは、俺は構わないよ。それより2人はもう帰って良いよ。ギルドへは1人で行くから」

「ご迷惑お掛けしたのにそんな…」

「ミウさんお願い。街案内続けさせて」

「お願いします」


むむ、猫耳の美人姉妹が目を潤ませて頼み事なんて反則的だな。


「分かった、じゃあ引き続きお願いするよ」


それにしてもあんな奴に遭遇するとは。叩きのめすのは簡単だが着いたばかりでトラブルは避けたい。万が一ルムリスとレリスに何かあっても困るし。


しかし亜人差別主義の奴って多いのかな、思わぬ出費だ。でもそれ以上に2人には悪いことをしたな…頑張って慰めよう。


それにしてもさっきの声、何者だったんだ…?

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