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誤算


「注意すべきは広範囲かつ即効性の強力な毒のブレスだ。ミミル、これはイヴの恩恵でも無効化できない」

「えっ、そうなの」

「ああ、気を付けろよ。他には前肢、尾、首による物理攻撃だ。どれもまともに受ければかなり効く。そして攻撃ではないが最優先で注意するべきことがある。それは頭部若しくは首を攻撃して機能停止にさせると新たな首が2本生えるという特殊な再生能力だ。首が増えるとどうなるかわかるな?」

「猛毒のブレス範囲は更に拡大、首による物理攻撃の手数も増えてしまうね」

「ゼリウスの言う通りだ。首を増やすのはどうしても避ける必要がある」

「なるほど、だから多頭竜なんだね〜」

「それにしてもミウがヒュドラを倒しているとはね。さすがだよ」

「ああ…だがあのヒュドラは俺が戦ったやつよりも確実に強い。それでも俺はこの『女神の聖槍』なら勝てると踏んだ」

「わかりました、ミウを信じます」

「僕も信じるよ」

「ティオも」

「ウチも〜」

「そうと決まれば作戦を告げる。時間が惜しいから巻きでいくぞ」


全員は真剣な表情で頷いた。


「まずはメティ、あれをやるぞ」

「わかりました」

「ティオは時間いっぱいまで『部屋』の維持だ」

「うん」

「ミミルは…わかっているようだな」

「もちろん。ミウくんが勝てると踏んだ時、ウチの顔を見てたからね」

「さすがだ相棒、頼んだぞ」

「りょーかい」

「ゼリウスが一番キツいかもしれないが…」

「わかっているさ、時間まで奴の注意を引き続けるよ」

「ウチも途中までは一緒に戦うから」

「助かるよミミルくん」

「じゃあ行動開始だ、俺達ならやれる」


4人は顔を見合わせてから笑みを浮かべて頷いた。


先ずはゼリウスとミミルが『部屋』を出た。


「さあヒュドラ、この勇者ゼリウスが相手だっ!」


「ギャオオオーッ!」


「ブレスくるよ勇者くん!」

「ああ!」


ブシューーーッ!!


「なっ!?」


バチィィィィンッ! 「ぐっ!」


なんだと、水のブレス…いや、口に含んだ湖の水を高圧噴射したのか。なんて速さと威力だ、生身で受けたらただじゃ済まないぞ。


だがゼリウスは盾で見事に防ぎきった、いい反応だ。頼むぞ2人とも。


ギュルルルルルッ…!


俺は左手を前に出して『大杭』を創り回転させている。


「メティ」

「はい、シーフナスッ」 ビュオオッ!


メティの小さな竜巻が回転力を上げる。


ギュルルルルルォォォーーッ!!


「くっ…」

「ミウ、血が」

「平気だ」


早くも皮膚が裂けて出血し始めた。だがまだまだ足りない、一撃で仕留める為にはもっと貫通力を上げないと。


「やあああっ!」


ガァンッ! 「ギャウッ!」


ミミルが回り込んで尻尾を突いた。あの位置取り、さすがだな。


「硬いっ…」


バガァンッ! 「ぐっ…!」


バシャーン。


尻尾による薙ぎ払いを槍で受けたミミルは湖に飛ばされた。


「ミミルくん!」


「ギャオオオーーッ!」


ブォーーーッ!!


今度は毒のブレスか、なんて攻撃範囲だ。ゼリウスには『解毒石』を持たせているが吸い続ければ命はない。


毒のブレスを吐き終えるとヒュドラは陸地に向かって歩きだした。毒殺してから捕食するつもりなのか。ブレスを吐く時間が長かったが、ゼリウスは無事か…


「ぷはぁっ!」

「勇者くんっ!」

「はぁ、はぁ、はぁ…!」


ブレスを吸わないように息を止めていたのか。それでも全身に毒を浴びたからゼリウスの皮膚が変色している。『解毒石』を使い続けているゼリウスは既に魔力切れに近い…おそらく次のブレスは耐えられない。


「みんな目を閉じてくれっ!スパークフラッシュッ!」


ガキィィィンッ!


ゼリウスが魔力を込めて盾と剣をぶつけると、凄まじい閃光が走った。


「ギャオッ!?」


「ぐっ…はぁ、はぁ、はぁ」


目を開けるとヒュドラは眩しさで怯み、ゼリウスを見失っていた。


魔力の使い過ぎでゼリウスは片膝をついていた。よくやってくれた、準備完了だ!


「やるぞメティ、ミミル!ティオはゼリウスを頼む」

「うんっ」


『部屋』が解除され俺とメティとティオの姿がさらけ出された。視力の戻ったヒュドラは早々に俺達に気付き、ブレスを吐こうと溜めを作った。


「ハイボルテージタッチ!」


バチバチバチバチバチバチッ!!


「ギャウッ!?」


湖に居るミミルによる強力な雷電魔法でヒュドラの動きが止まった。雷の属性魔法持ちを相手に水辺に居る時点でお前は不利だ、くらえ!


「超高速竜巻回転式大杭っ!」 ドヒュンッ!


「ギャオオオオッ!」


ブシューーーッ! グシャァッ!!


「なにっ!?」


こいつ、4首同時の水の高圧噴射で俺の『超高速竜巻回転式大杭』の威力を削った後、首を重ねて盾にして胴体を守りやがった。


かなりまずい、高火力が裏目に出た…4本全て貫いてしまったから新たに首が生えて数が倍になった。


「くそっ」

「そんな…!」


「マキシマムボルテージタッチッ!」


バリバリバリバリバリィッ!!


「ギャウォォッ!」


あの高威力の雷電魔法で二重魔法だと、ミミルのやつ無茶し過ぎだ!


「エンチャント・スターライトブレイドッ!はあああーーッ!」


ドシュッ!! 「ギャウッ…!」


光の巨大な剣がヒュドラの胴体に突き刺さった。


ゼリウス!?あれほどの魔力、まさか生命力を…いや、ティオがなにかしたのか?


「俺達で決めるぞメティ!」

「はいっ!」

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