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王都


朝が来た、いざ王都アルディアへ。


テルラちゃんとリュヒアさん、冒険者達が見送りに来てくれたのには驚いたし感動した。


居眠り亭の親父さんに2日程歩けば王都に着くと教えてもらった。その時に聞いた話だが町で何かあった時に赤い狼煙を上げると少し離れた所に在る王都騎士団の監視塔から騎士達が駆け付けてくれるそうだ。


成る程だからセルビナが現れた時、助けに来るのが早かったのか。


そういえばセルビナは町の中に入って人々を傷付けたりはせず、町の入り口で止まっていた。魔王軍とは言えやはりどこか憎めない奴だ。少なくとも俺の村を襲った奴とは全然違う気がする。


監視塔が見えてきた、思ってたより高い。


監視塔を横切った時「おお!ミウ殿!」と騎士が近付いて来た。俺の顔を知ってるということはあの時生き残った騎士の1人か。


あの戦いの後、騎士達は俺の名前と素性を聞き何かあったら遠慮無く頼って欲しいと言ってくれた。


「王都へ向かうのですね。馬を貸しましょうか」

「ありがとう。のんびり歩いて行くのでお気遣いなく」

「そうですか!ミウ殿には不要な言葉だとは思いますが、王都までの道中お気をつけ下さい」

「ありがとう、行ってくる」


暫く歩いていると街道から外れた所に魔物が居た。


ゴブリンみたいなやつが6体。体は俺より小さいが割りとしっかり武装している。街道も近いし念のため倒しておくか。


荷物を下ろし短剣を抜き棍棒を創造して走った。


ゴブリン達は「ニンゲンダ。コロセ!」と騒ぎながら向かって来たが棍棒で防具を粉砕、短剣で止めを差してあっという間に戦闘終了。


ここで創造魔法の強みをもう1つ。ズバリ作った物の重量だ。魔法の武器なので重さを殆ど感じない。短剣の方が確実に重いくらいだ。


強みを纏めると視認困難の鋼鉄以上の硬度を誇る武器を軽々と振り回したり飛ばすことが出来る。それが俺の創造魔法だ。まだまだこの魔法で俺はやりたいことが沢山ある…鍛練あるのみだ。


ん?短剣の刃がうっすら赤みがかっている…古いから傷んだ刃の隙間から魔物の血が入ったのか?


まあ良いや。それよりゴブリン退治で遅れが出た、じきに夜が来る。


俺は街道の近くで野営をすることにした。暗くなる前に薪を集め火打石を使って火を起こした。食糧を取り出し食べた後布にくるまって寝た。今は初春なので多少冷える。


それにしても仲間が居ないと見張り無しで寝ないといけない。パーティーメンバーか…でも気を遣う様な相手と旅するくらいなら独りの方が気楽で良いな。今のところそんなに必要性も感じないし。


明るくなってきて目が覚めた。さて出発だ。


それから夜は休み、明るいうちに歩を進めた。


早く身体と衣類を洗いたい…なんて考えて歩いていると遂に王都アルディアが見えてきた。


なんて大きいんだ、高い石壁で囲まれていて都市の中心には城が見える。まさに王都だ。何だかワクワクしてきた。


暫く歩いて王都の門番に監視塔の騎士から預かっていた通行証を見せ中に入ると、物凄い数の人間と様々な種類の亜人が行き交っていた。


おお!異世界っぽい。


沢山の露店が並び活気が溢れている、これが王都アルディアの市街地か。凄い…って圧倒されてる場合ではない、先ずは宿を探さなければ。


しかしこれだけ広くて色んな建物が在ると宿1つ見つけるのも一苦労だな。案内人でも居れば…


周りを見ていると噴水広場の石段で猫っぽい獣人族の女の子が2人で座って喋っていた。か、可愛い。


あの格好、他所者ではなく現地人な気がする。よーし、行くぞ。


「こんにちは」


2人は喋るのを止めて訝しげに俺を見た。


「初めまして、俺の名前はミウ。今さっき着いたばかりで宿を探していて。もしよかったらお勧めの宿に案内してくれないかな、勿論只でとは言わないよ」


「どうする?」

「うーん」


2人は俺をまじまじと見ている。まあ警戒するよな。


「すまない。急に頼まれても困るよね。その可愛らしい耳と尻尾に惹かれてつい声を掛けてしまったんだ」


冗談交じりにそう言うと2人は少し驚いた様に顔を見合わせてから照れ笑いした。うん、普通に可愛い。


そういえば獣人の年齢ってどうなってるんだろう。見た感じテルラちゃんと同じくらいだけど…まあどうでも良いか。


「いいよ、案内してあげる。お兄さん悪い人じゃなさそうだから」


「ありがとう。こんな美人2人に案内してもらえるなんて夢のようだよ」


「変な人」

「変わってますね」


とクスクス笑いながら2人は立ち上がって歩き出した。


こうして俺は猫耳美人姉妹にガイドをしてもらえることになった。

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