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向上


翌朝、しっかり準備をして俺達『女神の聖槍』はクエストに向かった。


「目的地はこの辺りだね」

「ホブゴブリン3体だっけ」

「そうだ」

「見つけました。11時の方向ですね」

「さすがメティちゃん」

「凄いな、メティくんは優秀なスカウトだ」

「今回は武器を持ってないゼリウスは後衛だ」

「わかっているよ」

「というかウチらって全員前衛だよね」

「確かにそうですね…」

「バランス悪いな」

「うーむ、言われてみればそうだね」


なぜゼリウスが丸腰なのかというと『王宮騎士アンドレイの剣と盾』は現在修復に出しているからだ。


鍛冶屋の主人は剣と盾を見て驚いていたが俺達も修復費用に驚いた。


それよりもパーティーメンバー全員が前衛だとこの先少し不安だな。後衛の仲間か…真剣に考えておいた方が良いかもしれないな。


「ギギィ!ニンゲンダ、コロセ!」


「おや、お出ましのようだ」

「向かう手間が省けたな」

「え〜っと1人1体だね」

「ああ」


「私からいきます、アネモス・ヴェロス!」


バシュシュッ! 「ギャ…!」 ドサッ。


疾風の矢の乱れ撃ちでホブゴブリンはあっさり倒れた。


「次は俺だ、杭っ!」 ドシュッ!


「ギッ…!」 ドサッ。


ただの『杭』でも以前より威力は増している、頭を貫き2体目撃破。


「最後はウチだね…」


プオオオ〜ッ!!


「あれは仲間を呼ぶ角笛!」

「えっ、やった〜!」


「ギギィ〜!ハヤクアツマレッ!」


ホブゴブリンが叫ぶと遠くからゴブリン達の声が近付いて来た。思ったより多そうだが…脅威にはならないな。


暫くしてぞろぞろと数十体のホブゴブリンが現れた。


「ニンゲンドモヲコロセ!」

「コロセコロセッ!」


ホブゴブリン達は前に出ていたミミルを取り囲んだ。


ズズズズズズ…!


ミミルが笑みを浮かべて魔力を高めている、まずいな。


「下がるぞっ」

「はいっ」

「わかった」


ヴゥーーン…!


「サンダーボルトフィールドッ!」


バチバチバチバチッ!!


「ギィ〜ッ!!」

「グギャ〜ッ!!」


突き立てた槍から地面に雷撃が疾走った。ホブゴブリン達は軒並み感電して動きを止めて悶えている。


「さらに〜ハイボルテージフィールドッ!」


ヴゥーンッ!バリバリバリバリッッ!!


「ギェーーッ!!」

「ギィァーーッ!!」


「あれは二重魔法かい!?」

「ミミル、凄いです!」

「あいつ、いつの間に」


二重魔法とは先に放った魔法に同様もしくは酷似した魔法を上乗せして強化させるものだ。卓越した魔法技術が無いとうまく調整できずに失敗し、大幅に魔力を消費するだけで終わってしまう。


ホブゴブリン達は感電死して焼け焦げていた。…嫌な臭いだな。


「メティ、大丈夫か」

「大丈夫です」


そう返したメティは既に鼻をつまんでいた。


「ごめんごめん、加減できなくてさ」

「無理したろ」

「あはは、わかる?さすが相棒、無駄に魔力使い過ぎてもうヘトヘト。ウチはまだまだ未熟だね〜」

「いやいやミミルくん、大したものだよ」

「そうですよっ」

「えへへ、ありがとね」


それから俺達は討伐証明を回収して商都に戻った。


ギルドで換金すると追加報酬で結構な額が貰えた。


そのまま次のクエストを受注してゼリウスは元勇者パーティーの1人に会いに行ったので、俺達は一度宿に戻って荷物を置いて着替えてから都市内の大浴場に向かった。


「大きいね〜!」

「きっと中も広いんでしょうね」

「楽しみだな、じゃあまた後で」

「はいっ」

「りょーかい」


なんて広さだ、人も多いがそんなの気にならないくらいの巨大な石造りの風呂だ。


俺はしっかり身体を洗ってからゆっくり湯に浸かった。


ふう、やっぱ風呂は良いな。


ついつい長風呂してしまったが先に出たのはやはり俺だった。


暫く待っていると2人が出て来た。


前々から思っていたが風呂上がりの女性って妙に色っぽく見える。などと考えていたらメティと目が合った。


「お風呂上がりのミウ…いいです」

「ん?」

「ちょっとメティちゃん変態みたいだよ〜」

「えっ!?そうなんですかっ!」

「あはは、気にするな。そんなメティも俺は好きだぞ」

「ミウ…」

「はいはい、イチャイチャするのは2人きりの時にしてね」

「すまない。お腹は空いてるか」

「ペコペコだよ〜」

「私もです」

「ゼリウスは適当に食べて来るって言ってたから俺達はこのまま食べに行くか」

「賛成〜」

「同じく賛成です」


偶然見つけた大衆居酒屋で食事を済ませ、宿に戻る頃には月が輝いていた。


「さて、明日もクエストに行くから早めに休むか」

「そうだね。オークションまであと3日か〜」

「少しでも元手を増やして参加したいな」


その時、メティに腕を軽くつつかれた。顔を見ると昨晩と同じ表情をしていた。


「すまんミミル、いいか」

「お盛んだね〜」

「そっ、そんなことは…!」

「あるな」

「ミウっ」

「すまない、だがミミル相手に隠すことじゃないだろ」

「ま、まあそうですね…」

「じゃあウチは先に戻ってるからね〜、勇者くんにも伝えておくよ」

「頼んだ」

「ありがとうございます」


それからミミルと別れて昨晩行った休憩宿に向かった。


「あの、ミウ…」

「どうした」


部屋を取って中に入ると、メティが不安そうに尋ねてきた。


「もしも迷惑だったら…すぐに言ってくださいね」

「迷惑なんかじゃない」


そう言って抱き寄せてキスをした。


「さあ始めるぞエルフのお嬢さん」

「はい、お好きなようにしてください」


な、なんだと…その台詞で俺の理性は吹き飛んだ。


日だまり亭に戻るとゼリウスとミミルが入口に立っていた。


「どうしたんだ?」

「ミウ、ミミルくんには先ほど話したんだが…少し面倒なことになってね」

「勇者の剣と盾のことですか?」

「そうだ。取り敢えず座って話そう」


俺達4人は宿の食堂の6人席に座った。

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