第四十六話 謎の書物③
これは、光の精………!?
が、ちょうど真ん中辺りでちぎれており、上半分がなくなっていた。
しかも、そっと手に持ってみると、後半三分の一ほどだけが残っていたものの、それ以外の部分は失われているようだった。
この本は、何なんだ………!?
ノボルは何故か湧き起ってくる胸騒ぎを抑えつつ、一枚ずつページを見ていった。
すぐに分かったことは、内容を知ることは不可能だということだった。
記号と形象を混ぜ合わせたような見たこともない文字で書かれていたからだ。
それでも慎重にページをめくっていくと、数枚目に二つの月が描かれている挿し絵があった。
一つは淡黄色、もう一つは白色。
オリジナルムーンとエンジェルムーンのようにも見えるけど………?
それは、まるで現在の夜空の様相と同じだと思えた。
引き続きページを進めていくと、今度は二人の人物が描かれている挿し絵があった。
一人は男性で目は暗い色を帯び、もう一人の女性に襲いかかって首元からネックレスをつかみ出している。
これは、バタフライ現象では………!?
ノボルはそう思ったが、何かがおかしい。
挿し絵では、怪しい眼光の男の体が透けるように描かれており、風船のような薄い膜の中にいる奇妙な生き物と重なっていた。
それは黒い蝶らしきもので、羽も触覚も胴体も全て黒く、目は黒光りしていた。
戸惑いながらもノボルが先を見ていくと、別のページに三段に分かれた三つの挿し絵があり、それぞれ無数の場面が描かれていた。
まず上の段には、道に迷っている人に手助けをしている男性や、電車の中でお年寄りに席を譲ってあげている女性などがいる。
どの人物の胸にも白く光る球体があり、それが空へと浮かんで消えていく様子も見て取れる。
頭の上には光る輪もあった。
次に、真ん中の段。
上の絵とよく似た状況のようだったが、そこに描かれているのは困っている他者に対して無関心な素振りの人たちで、誰にも光る球体や円環がない。
最後に下の段。
そこにはゴミを捨てたり札束を独り占めする人、植物や動物や魚の伐採乱獲、海洋汚染、おまけに他人に暴力をふるう男などがいる。
で、どの人物の胸にも黒く光る球体のようなものがあり、それも空へと浮かんで消えていくところが描写されている。
それらは、まさに昨日見た光景だった。
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