第三十三話 会見③
会見は、いつも待機室と階段を挟んだ奥側にある会議室を使って行われていた。
佐山がその外で控えていると、ヒナコが中から呼びかけてきた。
「準備が出来ました」
「そうか、ありがとう」
「例のレポーターさんは、まだ来ていないみたいです」
「いや、もうそこにいる」
ヒナコが佐山の視線を追って玄関ロビーのほうを見ると、ミサコたちがいた。
その横を三玲が通り抜けて行き、エレベーターに乗り込んでいく。
観測室に行くのか………?
佐山がそんなことを考えていると、腕時計を確認したヒナコが言った。
「時間になりました」
「分かった」
そう答えた佐山がヒナコと一緒に会見場に入って行くと、すでに三人の取材陣が待っていた。
全員が準京都の新聞記者だった。
部屋の中央に並べられた十脚ほどの椅子を挟んで、後ろにはカメラマンたち、前には数本のマイクが置かれた簡易な演台がある。
その前に佐山が立つと、すぐに三人全員が挙手した。
それとほぼ同時にミサコが部屋に入ってきたので、佐山はドア脇に控えるヒナコとチラッと目を合わせた。
その間にもトモキと共に手早く機材のセッティングを終えたミサコは、一番左端の椅子に座った。
カツヤとダイスケは、部屋の出入り口近くで会見を見学する腹積もりのようだった。
そして、佐山が三人の記者のうちの一人を手で促すと質疑応答が始まった。
「長官、まず最初に、隕石調査の現状について教えていただけますか?」
早速、質問中の一人目の記者を映したトモキは、続けて佐山にカメラを向けた。
「まだ確認できた隕石はありません」
黄緑色のスタッフジャンパー、左肩のロゴマーク、真摯に記者と対している様子。
トモキは徐々に佐山をアップにしていった。
「それは、地球に向かってきている隕石はないと考えてもいいということですか?」
「いいえ、まだそう断言することはできません。観測できていない可能性も考えられるからです」
「その理由を教えていただけますか?」
「観測機が多少旧式なので、どうしても手間と時間がかかってしまうからです」
「本当に機械が原因なんですか? 人間側の問題もあるのではないですか? トップが役立たずだと組織は機能しませんから」
記者が皮肉を言ったものの、佐山は冷静に答える。
「私は誠心誠意職務を務めています。隕石を発見したら、すぐにみなさんにご報告します」
ここで一人目の質問が終わり、二人目の記者が発言を求めて挙手をして引き継いだ。
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