第二十三話 胎動ー1
黒い砂で描かれた円陣。
その中心部には黒い塊のようなものがある。
それはちょうど人間がうずくまったほどの大きさで、定まった形はなく、ウヨウヨとうごめいている。
しかも、一本の手のようなものが突き出ていて、その上に黒い水晶が乗せられている。
だが、まだ思うように動けない様子で、水晶からにじみ出る光も弱い。
さらには、その塊から小さな黒いイモムシが続々と生み出されており、列をなして一定方向へと這っていく。
と、円陣の中に何かが入ってくる。
一匹の銀色のアリ。
「この円陣の中に異物が入り込むなど………あってはならないことだ………」
黒い塊が低く唸るような声を発すると水晶が光を増し、銀色のアリは蒸発するように消えた。
が、今の出来事で消耗したのか、黒い塊は苦しそうにモゴモゴとあえぐようにうごめく。
そんな折、何かが上からユラユラと降ってくる。
黒く光る球体。
それが円陣に吸い込まれるように消えていくと、黒い塊が息を吹き返すかのようにしばし脈動し、水晶の光度も高まり始める。
「あと少し………それまでは我が子たちを送り込むしかない………」
キュエーッ!
黒い塊がそう言うと、円陣の前にいる一頭の黒い蝶が呼応するかのように鳴き声を上げた。
その黒々とした頭部と胴体。
黒い光沢に縁どられている羽。
薄く黒光りしている目。
人とほとんど変わらない背丈。
「行け………」
黒い塊が一言命じると黒水晶が怪しく光る。
すると、黒い蝶の体がゆっくりと透け始め、やがて消える。
そして、力を使い果たしたかのように水晶の輝きも潰えた。
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