第十一話 探索ー1
三玲は車でゆるやかな坂をしばらく上ったあと、いよいよ道がなくなったところでドアを開けて下りた。
そこは町から一時間ほどの距離の山あいの場所だったが、ひっそりと静まり返っていた。
長い年月、人が立ち入った形跡もほとんど見当たらない。
大地が揉み上げられたように波打っている一帯もあり、その上に木々が鬱蒼と茂っていた。
一通り辺りの様子を見終えた三玲は、枝や倒木の間をぬうように森の中へと足を踏み入れた。
◇ ◇ ◇
奥に進むにつれて一段と草木が深まり、足場が悪くなっていく。
いくつもの苔むした岩も散乱している。
見るからに、穏やかな自然環境によって造形された景観ではないと思えた。
どうやら、この辺りも七連災禍の影響を被ったようだった。
やがて、三玲が大きな尖った岩の一つの横を通り過ぎると、前方にさらに巨大なものが見えてきた。
ところどころ出っ張っていたり、へこんでいる箇所もあったが、一応、全体的に三角形状をしている。
三玲はポケットから折りたたんだ一枚の紙を出して開いた。
それはネットで調べて見つけた情報を印刷したもので、ある冒険家が撮った写真とコメントが添えられていた。
【山奥にピラミッドか!? ひっそりと静まり返る樹海の中の摩訶不思議な光景を激写!】
紙面の写真と目の前のものを見比べると、どちらも同じだった。
三玲はその三角の盛り上がりに近づき、周囲を見回ってみた。
すると、不自然な箇所を見つけた。
誰かが側面を掘り崩して穴を開けたような跡があった。
………。
不審に思いながらも、三玲はそこから内部を確認した。
赤土と大小様々な岩。
どうやらこれは、それらのものが積み上がって出来ているようだった。
それを見て取った三玲は、来た道を引き返し始めた。
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